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考察までが読書です

と、いうのは大袈裟だし作品を楽しんだ後に、考察を読むのは私の個人的な趣味なので、推奨するつもりは全くないのだけど、ど〜〜〜しても!この作品だけは読み終わった後に考察を読んでほしいという作品がある。

それは夢野久作が書いた『瓶詰の地獄』という短編。

タイトルを見て、不穏な感じがしたらその直感は合っています。期待を裏切ることは恐らくないでしょう。

考察を読まなきゃいけないなんて、何だか理解するのが難しそうだな…と思いましたか?大丈夫です。考察を読んでもこの作品に描かれていることは、どこまで信じていいのかわからなくなるだけです。
つまり、この作品に描かれていることは、どこまでが本当でどこまでが間違っているのか、まるでわからないんです。
でも、そこがたまらなく魅力的なんだな。

短編と書きましたが、本文は表紙を除いてわずか14ページ。短編小説よりも短い作品を表す時に使われる「掌編」と呼ばれるジャンルのボリュームで、活字に親しみがない人にもとっつきやすいページ数なのではないかと思います。

一度目はとにかく普通に読む。ストーリーだけを追って読めばこの作品のもつ不気味さにはきっと気づかないでしょう。「随分変わった作品と聞いていたけど、思っていたよりも肩透かしだったな」と思うかもしれません。

そこでグーグルを開いて「瓶詰の地獄 考察」でヒットした記事を読んでください。魅力的な記事ばかりなので、どれを読んでも構いません。書いてある数だけそれぞれの解釈が存在します。それを読んだら、必ずもう一度初めから読みたくなるでしょう。


もしこの作品が肌に合いそうなら同じ作家が書いた『ドグラ・マグラ』もおすすめです。ボリュームはかなり増えてしまいますが、どこまでか本当のことだったのか、もしかしたら同じ毎日をずっと続けているだけなんじゃないかと思える不気味さに心地よさを覚えてほしい。

そこから先は、信頼できない語り手に振り回される楽しい人生が待っていますよ!