見出し画像

沖縄県議選2020情勢分析/その①那覇市・南部離島区

コロナ禍でニュースは少ないですが6月7日には沖縄県議会選挙があります。(29日告示)デニー県政の今後、そしてコロナ後の沖縄にとって重要な選挙。外出自粛などで投票率の低下が予想され、またコロナ経済危機により那覇市では4月、生活保護の相談件数が前月の10倍になりました。これらの状況がどう影響するのか?これまでの背景と合わせ、選挙区別に分析していきます。

ちなみに前回の投票率は53.31% 

定数48名 過半数は25名、現在の議会バランスは、

デニー県政与党27名    中立 (公明・維新)6名 自民15名

デニー陣営は3名ひっくり返されると過半数を失うという気の抜けない選挙になります。

スクリーンショット 2020-05-08 18.07.20


那覇市・南部離島区 定数11名 立候補予定16名

まずはもっとも多くの有権者(25万人以上)をかかえる那覇市・南部離島区から見てみましょう。

前回の選挙結果

デニー県政与党・オール沖縄陣営

スクリーンショット 2020-05-08 17.42.33

スクリーンショット 2020-05-08 17.45.39

スクリーンショット 2020-05-08 17.46.06

スクリーンショット 2020-05-08 17.49.04

スクリーンショット 2020-05-08 17.48.50

中立(公明維新)陣営

スクリーンショット 2020-05-08 17.45.56

スクリーンショット 2020-05-08 17.48.33

スクリーンショット 2020-05-08 17.48.56

自民・県政野党陣営

スクリーンショット 2020-05-08 17.45.26

スクリーンショット 2020-05-08 17.46.14

スクリーンショット 2020-05-08 17.48.40

今回の立候補予定者

11枠を争い16名が立候補予定です。

スクリーンショット 2020-05-08 18.50.57

現在の議席を見てまず内地(沖縄県外)出身者として驚くのは、共産社民の強さ、そして国政野党第1党である立憲、さらには国民民主の議員がいないことですね。

国政と県政与野党が逆転していることに加え、旧民主党勢力がほぼ頭角を現していないという現状は沖縄の政治状況を語る上で重要な点です。辺野古やオスプレイ、自衛隊配備にまつわる旧民主党の失策、さらにはミュージシャンの喜納昌吉元議員が県連会長だったことにも原因があると分析されます。

今回の注目ポイント

引退した議員の3議席に誰がすべりこむのか?

上のデータを見てもわかるように、デニー陣営から狩俣議員(社民)、中立から糸洲議員(公明)、野党から翁長議員(自民)が引退されました。

狩俣8,400票、糸洲8,333票、翁長9,000票この計25,733票がどこに流れるかがこの選挙区の焦点となります。

ここで興味深いデータがあります。

2019年参院選比例区政党別
那覇市

共産  17,989       社民  16,970

立憲  11,797        国民  7,226

れいわ 10,194       維新  6,202

自民  29,196      公明  17,245

これは昨年2019年の参院選比例区の政党別データです。

これを前回の県議選の投票結果と並べると、

        県議選                            参院比例            

共産  比嘉10,465+渡久地9,067=19,532             17,989              +1,543

社民 崎山8,642+狩俣8,400=17,042                16,970             +72

自民  西銘9,851+翁長9,000+山川7,215=26,066 29,196     -3,130

公明 上原8,663+糸洲8,333=16,996             17,245               +249

維新 當間9,084                                                  6,202                +2882

このデータを見ると大体の政党別基礎票が見えてくると思います。とくに社民、公明は驚きの近似値でしたね。ちなみに離島部の票を抜いての結果です。

このデータを踏まえて引退議員の計25,733票がどう動くか考えてみましょう。

自民党沖縄県連の大誤算

まずは自民、翁長前議員の9,000票と公明、糸洲前議員の8,333票についてです。こちらは自民新人の新垣氏と仲村氏への後継がなされると予想されます。

しかしそこに元沖縄自民のエース故翁長知事の息子である翁長タケハル前市議が登場してきたことで、自民党沖縄県連は想定が狂ってしまったんではないでしょうか?翁長タケハル氏がこの自民票をどれくらい得られるか?この選挙区の鍵ですし、デニー県政が議席を伸ばすためにも重要なポイントです。

さらに、公明党の組織票もデニー知事選後、盤石とは言えません。創価学会員であっても辺野古新基地建設を推進する自民に対し疑問を抱き公明党の集票に応じない流れが最近の沖縄の選挙では散見されます。

追記(仲村氏のプロフィールを見たら生年月日がむちゃくちゃでした。いったい何歳やねん!まさかタイムリープできるタイプですか???こういう仕事を細かくできない人に県議の仕事が務まるのかはなかなか疑問ですね、汗

彼には #タイムスリップいえはるくん と名付けて今後も注目していきたいと思います)

スクリーンショット 2020-05-09 1.23.04


さらにさらに自民党沖縄県連の誤算は続きます。嘉手苅氏の存在です。彼は無所属ではありますが昨年自民党から参院選に出馬し惨敗した安里繁信氏が代表を務めたシンバホールディングスの経営企画室に属していたり、安里氏の後援組織「新しい沖縄を創る会」の事務局長を務めた、ゴリゴリの安里人脈です。

スクリーンショット 2020-05-08 23.41.57

スクリーンショット 2020-05-08 21.25.31

彼はもちろん無党派層の開拓を目指すと思いますが、客観的に見れば、沖縄自民党の内紛、もしくは安里氏が自民を割って維新的な勢力と繋がるための観測気球のような存在かもしれません。経済界とのパイプも太く潤沢な資金を元に今回は顔を売って次の一手を狙っているような匂いを感じます。

※補足 嘉手苅きよし氏はオリオンビール会長の子息だという情報が入りました。これからの沖縄の政治状況にとって要注目の新キャラかもしれません。

さらにさらにさらに、沖縄自民党が苦虫を噛み潰すような人物が登場しました。沖縄デマ三銃士で有名な依田氏です。

スクリーンショット 2020-05-08 23.42.03

彼は沖縄県国頭郡東村高江で基地反対運動をしていた女性への暴行傷害事件を始め、ニュース女子などの番組で沖縄にまつわるいくつものデマを流してきた人物で、安倍昭恵氏との交流もあります。

本人は売名のために選挙に出るつもりでしょうが、基地容認票を削られる沖縄自民党からすれば、お願いだからやーぐまい(家にこもること)しててほしい存在でしょう。まあ、沖縄自民がエサを与えて育てたモンスターですから、因果応報ですね。ましてコロナ禍で売名にもなりませんし、依田氏の今回の選挙は供託金没収ラインとの闘いになることでしょう。

速報、依田氏が再び暴力事件を起こしたとの情報があります。告示中の立候補者の暴力事件、、、、事実ならありえないです、、、東村内で起こったようです。調査を続けます。

後継者は?社民の8400票のゆくえ

もうひとつ重要なのが狩俣前議員の8,400票がどう動くかです。

通常のセオリーであれば、社民党の狩俣議員は党内で後継者を指名し、その票を引き継がせることで社民の1議席を守るところですが、なぜか今回の選挙でそのような動きがありません。

内部事情はわかりませんが、社民党から見ればこれは非常にもったいない状態です。なんせ基礎票があと8000票以上あることは参院選のデータからもわかるわけですから。もしかしたら、参院選の8000票も狩俣信子パワーなのかもしれないという仮定もできますが、だとしたらなおさら本人の後継を出すのがセオリーなはずです。

この8,400票がどこに流れるのか?これが絶対に辺野古反対票であること、そして女性への票であることを加味すると、やはり筆頭は立憲公認の喜友名氏でしょうか。しかし、新人ということもあり、狩俣信子さん本人が応援に帯同でもしない限り、その効力はなかなか発揮されないかもしれません。

スクリーンショット 2020-05-08 23.40.19

喜友名氏は立憲のふわっとした基礎票11,797票をいかにして取りこぼさず自分のものにするか?さらには無党派層へどうアプローチするか。それができれば当選圏内に入れるはずです。

スクリーンショット 2020-05-08 23.41.01

狩俣氏の8,400票翁長タケハル氏に流れる部分もあると思います。タケハル氏は保守票と革新票、両方の流れを期待できる稀有な候補ですが、今のところ知名度に比べ、存在感をアピールしきれていない感があります。父の知名度以上のストロングポイントを本人が発揮し、世襲議員と揶揄できないほどの強いイメージ身につければ、当確ラインはゆうに越えられる存在です。

スクリーンショット 2020-05-08 23.42.07

山田マドカ氏へも狩俣氏の8,400票は流れるかもしれません。山田氏は動画などのなかでれいわ新選組との関係を匂わせていますが、地方議員を公認しないれいわ執行部の方針もあり、曖昧な状態です。また、山本太郎氏のトップダウン型の運営や支持者のファナティックな振る舞いもあり、れいわのプレゼンス自体が低下しているので、難しい選挙になりそうです。(れいわ執行部に喜納昌吉元議員や三宅洋平氏のブレーンだった斎藤まさし氏の存在があることも沖縄では大きくマイナスに作用しそうです)

最悪な想定をするならば、狩俣氏の8,400票が社民党現職、崎山氏に大きく流れてしまうことです。崎山氏が票を取りすぎた結果、デニー陣営の議席が減る、なんてことになれば社民党は票割りもできないとんでもないポンコツ政党ということになってしまうので、それだけは避けたいところです。

さよなら沖縄維新

#ミキオ算  など数々のおとぼけ発言でおなじみ下地幹郎議員(まだ辞職してません)が今年1月、中国企業からのカジノ関連マネーを受け取っていたことが発覚、日本維新の会を除名されました。それを受けて沖縄維新の会も解散、消滅となりました。よって當間氏も今回は無所属となります。もともと沖縄維新はミキオ軍団が維新中央からのれん分けを受けただけの地方豪族のような団体だったので、選挙に関しての影響はあまりないかもしれませんが、當間氏の票がどう動くかは選挙クラスタ的には興味があるところです。今後の安里繁信氏の動きとも密接なはずなので。

スクリーンショット 2020-05-08 23.42.12

※ちなみに石田氏はかつて勝手に維新の会を名乗り選挙をしたことのあるいわゆるぶっ飛び系候補なのでそっち系好きな方は注目です。

那覇市・南部離島区  まとめ

現職の候補にはほぼ触れませんでしたが、緊急事態下で行われるかもしれない史上稀な今回の選挙。低投票率が予想され、現職の方々にも新たな戦略が求められることでしょう。

スクリーンショット 2020-05-27 21.24.03

ちなみに現職の中では比嘉みずき氏が私の個人的な推しです。熱意があり献身的、現場でも何度もお会いし信頼できる方です。


辺野古について以上にコロナへの対策、経済の立て直し、そしてネット、SNSを使った新たな戦略が肝になってくるのでまさかの下克上もあるかもしれません。また、コロナ以外の点では、女性候補予定が全体の1割と少なかったり、候補者の高齢化などの問題も指摘されています。

いずれにせよ、デニー県政派がいかにして議席を守るか、減らさずに増やすか。有権者も候補者も個々の目線と全体的な目線の両方を持って臨む必要があります。

かなり不確定要素の高い選挙であると同時に、コロナ後の世界、ポストコロナ時代への始まりになるそんな前向きな選挙になることを期待しています。

大袈裟太郎

※他の選挙区についても追って更新していきます。

//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////通信1812//////////////////////

大袈裟太郎JOURNALは個人からの取材基金によって成り立つ独立型新時代メディアです。大企業などのスポンサーを持たないことで忖度の無い情報発信が可能です。この記事は無料公開ですが、余裕のある方はクリエイターサポートから課金していただけると幸いです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?