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業績の伸び率は50%超、それでも伝音ホールディングスの株価は下落

「アフリカの携帯電話王」として知られる伝音ホールディングスは2019年10月の上場以来、株価は最高5倍を超えた。その後、伝音ホールディングスは下落基調に入っているが、その一方で業績もファンダメンタルズも悪くはない。

最近、伝音ホールディングスが発表した中間決算によると、売上高、純利益はいずれも前年同期比50%以上増と高い伸びを示している。しかし2021年2月以降では、伝音ホールディングスの株価は低迷している。

伝音ホールディングスの業績が高い伸びを示している背景には何があるのだろうか?株価と業績に乖離が生じているが、市場は伝音ホールディングスの評価をどう見ているのだろうか。

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1. 伝音ホールディングスの売上高、純利益はいずれも50%+の増加を示したが、主な要因は強固なアフリカの携帯電話事業とアジアの携帯電話事業の高成長に依存している。

2. 小米と比べ、伝音ホールディングスの株価収益率(PER)は小米の2倍を上回る。同時に伝音のアジアでの競争力はアフリカでのそれには及ばず、今後の業績の高い成長が持続しにくい恐れがあるため、現在の過大評価を支えきれない。

一、売上高、純利益はともに高成長

伝音ホールディングスの2021年の中間決算の業績を見ると、売上高は前年同期比65.06%増の228.5億、親会社株主に帰属する当期純利益は同58.71%増の17.3億と、かなりの好業績をあげている。その理由は、同社が基本市場とするアフリカの携帯電話市場を安定させると同時に、パキスタンやバングラデシュなどのアジア新興市場の開発に力を入れているためだ。

画像2(データ出典:企業決算)

売上高を見ると、同社の現在の売上高は主にアフリカ、アジアという2大地域に由来している。

「アフリカの携帯電話王」として知られる伝音ホールディングスは、アフリカでの携帯電話市場シェアは40%を超え、1位となっている。同社はアフリカ市場で比較的成功しており、売上高に占めるアフリカの携帯電話の割合が高く、売上高の伸び率も安定的な伸びを示している。

アジア市場では、パキスタンやバングラデシュなどで伝音が実績を上げている。2021年上半期の時点で、伝音はバングラデシュでのスマートフォン販売台数が前年同期比1.1倍に増加し、市場シェアが20%を超え、首位に立った。パキスタンのスマートフォン販売台数は前年同期比34%増加し、市場シェアは40%近くに達し、1位となった。

アジア地域での成功において、その要因は主に2つだ。1つは、伝音ホールディングスはアジア市場への投資を拡大したことだ。販売業者に一定のリベートを与えることにし、より多くの販売チャネルを構築した。もう1つは、シャオミなどの主要なライバル企業が、ファーウェイが失った欧州市場シェアを奪うことに集中していたことだ。一部のアジア市場はあまり競争に晒されることなく、間接的に伝音に一定の発展機会が与えられた。

総体的にみると、2021年上半期の伝音のアフリカ事業の成長率は比較的堅調だったことに加え、アジア事業の成長が比較的速く、全体の売上高を直接牽引した。

コスト面では、パキスタンやベンガルなどアジア地域での伝音の携帯電話販売台数の伸び率は159.12%で、アフリカ地域の18.14%を上回った。会社は市場を先取りするために、チャネル業者に一定のリベートを支払った。同社のアジア地域の携帯電話製品の粗利益率は18.27%となっており、アフリカ地域の30.99%を下回ったため、全体での粗利益率が減少した。

画像3(データ出典:企業決算)

費用側では、売上高が高い成長を見せていることを背景に、伝音は費用の伸びを比較的よく抑えており、伝音の販売費用率、管理費用率、財務費用率はここ数年いずれも低下している。

画像4(データ出典:企業決算)

売上高、売上原価、管理コストを総合的に見ると、伝音はアジア市場での携帯電話事業を大きく拡大し、売上高が急速に成長した。同時に、同社の原価と費用は比較的コントロールされており、親会社株主に帰属する当期純利益は比較的急速に成長し、収益性は良好だった。

二、評価額が高すぎ、業績の高成長は持続が困難な恐れがある

一方で伝音ホールディングスの株価は2021年2月から低迷しており、中間決算の業績が好調であれば市場の信頼感を高めることができると思っていたが、株価はやはり低迷が続いている。業績と株価に依然乖離が見られるのは、いったい何が原因なのだろうか。

<訳者メモ>日本では携帯電話メーカーとしてほとんど無名の伝音は、中国で創業し「TECNO」ブランドでアフリカ市場を一気に獲り、今では年間1,000万台に迫る勢いで世界市場での存在感を高めています。中国市場における株価は冴えないようですが、コスパ良い機能制限機を得意としており、成長余地はまだまだあると思います。


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