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【スタートアップ】D2Cの前にDNVBをしっかり理解しておきたいっていう話だよね

ちょっと昔から気になってたD2CとDNVBのビジネスモデルを参考にしてメモがてらアイデアを残しておきたいと思う。

こんなnoteを書くきっかけになったのはこの記事のおかげです。

まず、DNVBとはD2Cの一種だと思って良い。「Digitally Native Vertical Brand」の略だがこんなものも覚えなくて良い。ただ商品のブランド価値以外の価値を提供すると言うふうに思っておけば良い。

D2Cとはシンプルに仲介業者等を挟まずに自分でブランドを作り直接売るものだが、今までの小売商売と違うのは、消費者へのアピールの仕方が現代風になっているだけだ。最近よく言われるD2C系スタートアップは、「物売りの皮を被ったテックカンパニー」であるから、これからこのビジネスを始めるならまずテックな部分をカバーできないといけない。「オシャレな服作れるよ!」ってだけで始めるのは正直怖い。

こういうスタートアップが得意なのは、マーケティングや販路を全てテクノロジーに置き換えているからである。もちろんインスタなどのSNSは駆使しているし、的確なターゲットに広告を売って、販路は自前で作っている。

cohinaやバルクオム、17kgは成功していると言われているが、どれもインスタを駆使していた。そしてしっかりニッチなターゲットに絞っていた。

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しかしここで注意しておきたいことがある。

この前D2CやEC系を担当しているベンチャーキャピタルの代表の方に伺って驚いたのが、「インスタじゃ全然効果出ないよ」と言われたことだった。

ん〜、てっきりインスタでうまくやれば良いのかと思ってたけどそうでもないみたいだ。良いものを作っただけでは売れないし、マーケティング、ブランディングだけでも売れない。プロダクト、ユーザー体験、データ活用を完全連動させる必要があるとのことだ。

これは相当力のいる作業になりそうだ。特にデータ活用というのがネックである。データを活用するということは、そもそものデータを持っていないといけないということになる。売れないとデータが取れないし、データが取れないと売れない。

大きな企業になればそういうことが出来るが、始めはそんなことは出来ないので違うやり方が必要そうだ。

それはファン作りである。それがDNVBの話になるんじゃないかと。(インスタでフォロワーを集めればいいんでしょ、なんて軽い発想はやめておきたい。)

例えば近年での成功事例をいくつか見てみると、

メガネブランドのWarby Parkerはメガネというブランド以外の部分でファンをつけていた。「メガネを通して社会課題に向き合う」というメガネ以外でのブランドを作り上げたのだ。一つ売り上げたら一つ寄付をするといった形だ。LGBTや人種差別に関する協会に寄付をしている。

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消費者から見たら「なんて優しい会社だこと」と思ってファンになるのだろう。


スーツケースを売っているAwayは自らを「旅を売る会社」と位置付けて紙雑誌「HERE」を発行している。つまり、旅好きな人や旅をしたい人たちを別のブランド(HERE)から取り込んで、スーツケース(Away)に持って行っているということだ。

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マットレスを売っているCasperは睡眠やウェルネス系の雑誌「WOOLY」を発行している。これも同じことだ。

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さらに面白いのが、こういうことはD2Cなんて言葉が出るはるか昔にも行われていたことだ。三つ星レストランガイドで有名な「ミシュラン」だ。

ミシュランは本来タイヤの会社である。それがなんと100年以上前の1900年に、運転主向けのガイドブックとしてフランスで「ミシュランガイド」を発行している。当時は旅行情報やガソスタの位置やホテルの位置、車の整備の仕方などが載っているガイドブックだった。当時は車が当たり前じゃなかったのだろう。そんな時代に「車があれば人生楽しいよ!」みたいな感じで車の価値をあげるために発行したのだ。そして車が流行れば必然的にタイヤが売れるという施策だ。そして時を経てレストランガイドブックになっていったわけだ。

もう一つ面白いのが、300年以上前からあるビールの会社「ギネス」だ。1954年のある日、ギネスのCEOがなんとなく「ヨーロッパで最も速く飛ぶ鳥はなんだ? 」という質問を投げかけたことから始まり、「色んなナンバーワンを集めた書籍」を作ったら面白くないか?となり、そして今「ギネスブック」がある。

正直ギネスブックとビールは関連性がないとは思うが、ギネスという名前を覚えてもらうには十分すぎる施策だったに違いない。

こんな感じで、自社のプロダクトとは違う方面からブランドを作り上げていくことを考えるのは面白いと思う。(もちろんその方面でもしっかり認知されないといけないわけだが。)

そしてDNVBの考えはそれだけではない。

DNVBには、「そのブランドの存在意義や制作秘話などを語ることで消費者の共感を得よ」という教えがある。(勝手にそう思ってる)

だからこそ「なんでこの服を作ろうと思ったのか」ということをしっかり表現しているブランドは強いのだ。

ブランドの存在意義

例えばcohinaだって「155cm以下の小柄な女性のために!」ということをしっかり伝えているし、逆に渡辺直美のPUNYUSも「ぽっちゃり女子にもかわいい洋服を!女の子の持つ感情を表現するために!」としっかり伝えている。渡辺直美の存在や生き方とマッチしているから更に強い。

これらはそのブランドの存在意義がとてもわかりやすい。そして分かりやすいものは消費者にとって手に取りやすいというのが事実である。

もちろん渡辺直美のようなインフルエンス力がないと難しいように思うが、ここで重要なのはインフルエンス力というよりも、マッチ度である。

だからただインフルエンス力の高い人に大金払って宣伝させるようなことはするべきではなくて、そのブランドにマッチする人に宣伝させることが一番重要というわけだ。マッチしていればインフルエンス力のない一般人でもいいくらいだ。その一般人に本当に自社のブランドがマッチしていれば、その人は喜んで口コミを流してくれるはずだ。そしてその人の周りにも似たような人が多いので口コミが広がりやすくなる。類は友を呼ぶというわけである。

むしろそういうコミュニティを先に作ってしまうということがDNVBの考えでもある。自社のブランドにマッチしそうな人たちを、何かしらの理由をつけて集めるのだ。マットレスを売っているCasperだったら、「睡眠に困っている人向けの睡眠講座(適当)」を開いて人を集めたり、小柄女子向けのcohinaだったら「彼氏と身長20cm以上差がある女の子コミュニティ(超適当)」みたいなのを作ったりと。

普通にリスティング広告を打つということも正直やりたくない。消費者が検索したキーワードに合わせて自社ブランドを見てもらうよう押し掛けても消費者の心には響かないだろう。もちろん数字として獲得できるのは事実だが、ファンになってもらえてるかは眉唾物だ。

自社メディアでSEO勝負をするのも面倒くさい。というより、SEOを始めてしまうと数字ばかりに目がいって本来の目的や夢を忘れてしまうことがある。(経験済み)

消費者は広告にファンになるのではなく、世界観と人にファンになるのだ。

ファッションブランドで言えばスケーターファッション界隈はすごすぎると思う。スケーターとファッションは切っても切れない存在なのだ。

スケートを本気でスポーツとしてやっている人よりスケートすることをファッションの一つだと思っている人の方が多くて、スケーターはスタイルこそが命だ。

SupremeやObeyはカルチャーを基盤としてブランドが成り立っているのが強さの理由だ。自分もブランド系をやる場合はカルチャー基盤で進めていきたいと思っている。カルチャーにハマれば何も怖いものはないだろう。言ってみれば宗教だ。この人類史で一番最強のビジネスは宗教なのである。

Thrasherもよくできてる例だ。スケーター向けのマガジンだったのがブランド化していった。ロゴがすごいかっこいいわけではないが、スケーターに愛されるブランドであるが故、それを身に着けるカッコいいスケーターのおかげでロゴが美化されていったようだ。

カルチャー基盤のブランドの場合はロゴが命だと思う。

スケーターファッションに近いブランドでいうとロックバンドだろう。ローリングストーンズやAC/DCのロゴは特に強い。

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もはやロックバンドということを知らずに身につけている人もいるくらいだ。それでいい。

ブランドはロゴが一人歩きし始めたら勝ちなのだ。

cohinaからローリングストーンズと話が飛んでしまったが話を戻そう。

制作秘話

そのブランドの存在意義や制作秘話などを語ることで消費者の共感を得よ」の制作秘話の部分だが、これはプロセスエコノミーの話でもある。

プロセスエコノミーについてはクリエイター向けサービスのアル開発室のけんすうさんがうまく体現しているものだと思うが、クリエイターだけではなく、ブランドにも置き換えることができるはずだ。

プロセスエコノミーのいいところは消費者が仲間意識をもってくれることにあるはずだ。

プロセスエコノミーが今流行っているのはいうまでもないが、商品ブランドにおけるプロセスエコノミーはあまり聞いたことがない。そりゃOEM関連のところを発信するのは気が引けるかもしれない。そんなとこはみせてはいけないからね。前澤社長が洋服の原価の話をして炎上して株価が下がった話もあるし。。

ディズニーでミッキーの中身の話をしてはいけないのと同じだ。

ちょっとブランドにおけるプロセスエコノミーは難しいのかな・・・いつかは見つけ出したいと思う。

ブランドの差別化

自分でブランドを作ろうと思ったら、やはり差別化はしないといけないなと思っていたのだが、いざ考えてみると差別化って難しいよなぁってことをメモしとく。

他のブランドと違えば良いってわけでもないのがミソ。大事なのは「棲み分け」っていう話だよね。

どんな人がそれを求めてるのかしっかり理解していれば、その人に刺さるプロダクトを提供できる。他のブランドとただ違うものを作ろうとすると、消費者のことを無視していることになるので、どのターゲットにも刺さらなくなってしまう。

例えば電子レンジでブランドを作ってみよう。

電子レンジの形はどこも長方形だから縦長の上から入れる式の電子レンジを作ろう!なんて差別化を考えようものなら、もはやバカである。

差別化というのはそういうことではなく、この場合は「みんな電子レンジを料理するためだけのものと思っているのかな?」と考え直してみることから始まる。

もし料理するためだけなのであれば、「魚の骨だけを消滅させる電子レンジ」とか「温めるだけじゃなく一瞬で冷たくできる電子レンジ」のようなアイデアが思い浮かぶ。もちろん可能であれば良いのだが、こういう差別化は技術的な話なので、レベルが違う。

そうじゃなく、「もしかしたらキッチンを彩るインテリアとしても価値があるんじゃないか?」という気づきが生まれるかもしれない。

ということはデザイン勝負ってことになる。難しい技術ではなく、インテリアとしてのデザイン勝負なのだ。その方が実現性が高いという判断ができる。

「よし、お洒落なインテリアになれる家電を作ろう!」となればちゃんとした差別化というわけだ。

そして生まれたのがバルミューダだ。

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ちゃんと他の家電と差別化して成功している。ダイソンなんかは逆に技術力で差別化に成功した例だろう。

家電は安くて使えれば良いって人もいるし、高くてもオシャレなのが良いっていう人がしっかりいる。ちゃんと「棲み分け」ができているジャンルで差別化を計ったことが成功の要因だろう。

復習

消費者の共感を得ること、そしてファンを作ることがスタートアップレベルのD2Cブランド作りにおいて一番大事ということだ。

・インスタで自社ブランドとマッチした消費者を集める

・自社のプロダクトとは違う方面から新たなブランディングで囲い込む。

・消費者コミュニティを作り上げる。

・可能であればプロセスエコノミーを用いて仲間意識をつけさせる。

・販路は自前で決済させる。

この5つくらいかな。

これらを一つ一つやっていくのは相当大変だから一つのプラットフォームでできたらなぁなんて思ってたりする。

奇しくも今自分が作ってるプロダクトならそういう使い方ができるではないか!と、ステマっぽいことを思いついた。

もともとはクリエイター向けSNSというコンセプトのサービスで、一つのページに自分の作品やSNSや趣味をフォルダに分けて投稿、または反映することができるアプリを作っている。

でも自分がもしD2Cをやりたくなった時はどういう使い方をするかなぁって考えると結構使い道があった。

それぞれフォルダを自由に作れるから、1つ目のフォルダにはブランドを表す写真を投稿する。(インスタでやってるならそのインスタを反映するだけでいい)

2つ目のフォルダにはそのブランドのカルチャーを表す写真や動画を投稿する。(SpremeだったらSpremeを着た写真とかではなくスケートに関する写真や動画である)

3つ目のフォルダには商品を投稿する。(そのまま購入可能。カテゴリ分けでシューズやバッグといった感じに分けられる。)

4つ目のフォルダはみんながタグづけしてくれた投稿を反映する。

5つ目のフォルダはコミュニティとして、スレッド機能でみんなが情報交換したりする場所となる。レビューなんかもそこで見れるから消費者と運営側両方にとって有益。

6つ目は非公開フォルダにして、サブスクで購入してくれている人だけがみれるフォルダ。そこでレア商品を販売したり定期的に商品を郵送したり。

などなど可能性は無限だ。

そんなアカウントがあれば、それを見た消費者はきっとファンになってくれることだろう。なにせ色んなプラットフォームに飛ぶ必要なく全てここだけで見れるのだから。

ブランド側は自社の想いや商品をちゃんと伝えたいはずだ。しかしそれが色んなプラットフォームに分散して行われていたら、消費者はページを飛び回る羽目になる。その時点でユーザー体験はひどいものになってしまう。

そんなことを解決していきたいと思うこの頃だ。

おしまい。

(半分くらい音声入力でやってるから文章がおかしいかも。)



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