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「オール讀物」直木賞特集目次のこと

きょう2月22日は「オール讀物」3・4月合併号の発売日です!

第166回直木賞は今村翔吾さんの『塞王の楯』と

米澤穂信さんの『黒牢城』のW受賞となりました。

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昭和5年の創刊以来、90年以上の歴史を数える「オール讀物」は

直木賞の発表媒体、いわば「公式」です。

芥川賞の発表媒体は「月刊文藝春秋」でこちらは選評のほか

基本的に受賞作が全文掲載されますが、直木賞の場合、長編作品は

とても全部は載せきれない――ではどうしたら一番いいか?

今回は何と書き下ろし短編を今村さん、米澤さんからご寄稿いただき

それを雑誌の真っ先に掲載し、自伝エッセイを続けました。

それ以外にマストものの選考委員の先生の選評、受賞のことばのほか

「オール讀物」でしかできない目玉企画のひとつが、

まず米澤穂信さん×辻村深月さん×道尾秀介さんの座談会です。

実はこの3人は12年前に女性誌「クレア」で鼎談をしていました。

そのことを編集部員は非常に鮮明に覚えていて、今回、

米澤さんの受賞をお祝いするいわば同窓座談会が実現したのです。

さらに12年前の記事を特別にWEBで特別公開しました!

また実はイラストレーションの部分にも非常にこだわりがあり、

今回の目次絵を担当いただいた北村さゆりさんは、

故・山本兼一さんの直木賞受賞作『火天の城』、直木賞受賞作

『利休にたずねよ」の表紙を描いた日本画家です。

今回、2作の受賞作は奇しくも戦国の籠城戦が舞台になっていますが

戦国の城ものの名作の先駆者の山本さんに敬意を表し、

かつ北村さんは、今村さんの『童の神』「羽州ぼろ鳶」シリーズの

挿絵も担当していることから頼み込んでお願いをしました。

さらに今村さんの特別書き下ろし「山茶花の人」の挿絵は

『じんかん』を漫画化した『カンギバンカ』の漫画家・恵広史さん、

自伝エッセイの挿絵は「くらまし屋稼業」表紙絵のおおさわゆうさん、

『塞王の楯』の再録にあたっては雑誌連載で挿絵を描かれていた

渡邉ちょんとさんに新たな挿絵をつけてもらいました。

A4POP_今村

ほかにも宮城谷昌光さん、天野純希さん、井上貴博さん、角川春樹さん、

綾辻行人さん、有栖川有栖さん、北村薫さんらのお祝いエッセイなど、

オールでしか読めない直木賞特集をきちきちに詰め込みました(笑)。

この号に向けて、『少年と犬』で直木賞受賞の馳星周さん、

『星落ちて、なお』で直木賞受賞の澤田瞳子さんの連載スタート、

道尾秀介さんの「いけない」シーズンⅡの90枚の読切など、

半年以上かけて準備したのがこの直木賞特集の目次です。

10年以上「オール讀物」と関わってきて、毎回、直木賞特集は

(いや通常号ももちろんそうなのですが)全力です。

今回その全力マックスだったのでnoteも初めて書いてみました。

どうか読者の方々へ届きますように、願いと呪いをこめて。

2022年2月22日

「オール讀物」編集長 川田未穂

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