見出し画像

その15 キャリアコンサルタントの使命

校長先生の言葉
 小学生のころ、夏休み明けの朝礼の壇上に立った校長先生が、昇降口の左右の壁にある垂れ幕の話を始めました。そこには「元気な声がひびく学校」といった類の言葉が大書されていたと記憶しています。曰く「この垂れ幕を見て、この学校はこういうことができていない学校なのかと思いました」と。私はずっと「元気な声がひびく学校」だと思っていたのに、そういう見方があるのかと印象に残っています。

キャリアコンサルタントの位置づけ
 今、私はキャリコンとしても活動しています。キャリコンという言葉も役割もご存じない方が多いと思います。正確には「国家資格キャリアコンサルタント」と表記されます。またその業務は、職業能力開発促進法という法律で「『キャリアコンサルティング』とは、職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行う」ことと定められています。

キャリアコンサルタントの役割
 私たちが働く姿は大きく変化し人生100年時代はもはや耳慣れた言葉となり、定年とされる年齢は60、65、70歳と変化し、30年前は「隠居」とされていた世代にも働き続けることが求められる時代となりました。
 様々な背景を持つ人たちが、変化する働き方を理解し心身ともにバランスを保ちながら働き続けるためには一人ひとりの主体的な意識の変容が必要です。
 変化する働き方を理解し、働き続けるための意識変容を促す仕組みの一つとしてあるのがこのキャリアコンサルティングの普及とキャリアコンサルタントの国家資格化という政策と理解しています。私たちキャリアコンサルタントには、このような変化に対応する必要性を伝え、広める力が求められています。

キャリアコンサルティングの世界
「キャリアコンサルティングの世界」ではリスキリング、越境学習などのエンプロイアビリティ(雇用されうる能力)を高める視座の研究や普及活動が進んでいます。また、アイデンティティ、アダプタビリティ、エンゲージメントなど自己理解を深め、個人と組織の関係性をメタ認知するための理論やアセスメントツールが提供されています。しかし、これらの取組は咀嚼がしにくく、コスパに見合った価値提供が見えにくいといった壁があるように思われます。扱う課題が人の心や行動様式に関わる事も少なからずあり、理解が進まない理由になっているかもしれません。

キャリアコンサルタントの使命
専門性は時に狭いコミュニティを作ってしまうこともあります。その専門性をわかりやすく伝える送り手の努力と、受容する実社会の力量が問われていると見ています。社会課題に対応するために誕生したこの制度が、一般化し理解される様な社会実装を切に望みつつ、私は私の活動を続けたいと考えています。

私が校長先生の視点を覚えている一人であるように、私の言葉が誰かの記憶に残り、変化を受容し自己研鑽に取組む人が増えることが私の目指す姿です。

2024©大島智宏

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?