見出し画像

のめりこみの賜物。

鹿児島県出身でチャリ圏内に海も山も川あった。
気が付いたら海釣りが好きになっててほぼ週1で堤防の釣りをしてた。
それが中学卒業まで続く。

高校に入り環境が変わる。
ぴたりと釣りを止める。

それに代わって音楽にのめりこむ。
高校卒業間際にブラックバス釣りに興味が惹かれる。
バスはいる場所が限られているので、機動力がなく出来ずに終わる。
高校を卒業し東京に出てくる。

それからずっと音楽を続けた。
なんとなく頭にブラックバス釣りの事がずっとあった気がする。


釣りには結構な金がかかる。
音楽で売れてればいいが、そんなに甘くはない。
趣味の釣りと、売れたくてやってる音楽の両立は結構難しい。

音楽を完全に辞め、真面目な人間(まっとうな人間とも言う)に戻った。

親友にそそのかされブラックバス釣りを始めたのが2017年の6月。
そりゃハマるよな、わかってた。

そして今はブラックバスだけではなく海釣りもしている。


前置きが長くなったけど、2級船舶の免許を取った。

ちゃんとしたスクールに問い合わせて、実技と学科の講習・試験。
費用は約7万円で丸4日かかった。(いろいろあるけどこれは最長かも)
交通費とかいろいろ含めると8万円くらいか。

久々のこういう試験は本当に緊張したし、けっこーちゃんと勉強した。
ちゃんと勉強してさえすればほぼ受かる。

実技の試験の日は春の嵐で、熟練の運転士でも難しい環境だったみたい。
ほぼ運転なんかしたことない人たちに何が出来るというのだ。

という事で「本当にこいつはやばいな」って人以外は実技では落ちない。
とオレは直感的に思った。本当はそうじゃないのかもしれないけど。
「ちゃんと予習をしてる人」「そうじゃない人」は試験官から見たらすぐにわかるはず。もしくは完全になめてかかってるやつとか。
それで決めてるんじゃないかなって思った。

そして本題はここから。

当日の実技試験の試験官がもうマジで凄すぎた。
例えるなら昭和の甲子園常連の野球部の監督。
※個人の勝手な想像です 本当にそうなのかは知らんけど


試験は自分のほかに2名一緒に行う形。
自動車運転の実技試験に近い形なのかな。

自分(男性40代)以外は男性30代、女性20代(10代かも)という感じ。

男性30代の方は実技講習も同じで、「試験も一緒なんですねー」なんて話しながらちょっとホッとした。なんとなく緊張も和らぐし。

まず女性20代が出船準備の確認。
それを自分たちはちょっと離れたところから見守る。

試験官がなんかすごいしゃべってる。
女性20代がなんかテンパってる。
「まぁ緊張するよな、がんばれー」って感じで見守ってた。

次は男性30代の人。女性20代はなんかうなだれてる感じ。
「おー彼もテンパってるな、がんばれー」って感じで同じく見守る。

自分の番。

ああこれか、これはやばいな。
例えば自分が「出船する準備」を「1.2.3.4.5」と覚えたとする。
慣れるとその順番が「3.1.2.4.5」でも準備自体は終わり。
試験官はまず「3」をやってくださいと言ってきた。
1と2を飛ばされた。
「ん?」と詰まる。
「何をしとんのや!3や3!」と畳みかける。

あ、これはテンパるわ。

なんとか3の工程を終了。
そのあと3の工程のダメ出しを大阪弁で延々と罵られる。

なんか久々にこういう人と接するなあと思いつつ、対処法というか対応の仕方を思い出す。
まあとにかくハキハキとやり取りをすれば大丈夫な感じ。
モジモジしてるとさらに畳みかけてくる、さらにモジモジしだす、相手はもっとイライラと悪循環に陥る。

出船の工程が人数分終了。
近くで待ってたふたりも船に乗り込む。
ふたりの顔を覗き込むと完全に目が死んでる。

途中で男性30代と目が合う。
目が「こいつやばいですよ」と言ってる。
オレは「どうにか乗り切ろう」と目で伝える。

女性20代に至ってはうつむいたまま目も合わせられない。
船はかなり小さくて半密室なので助言もかけられない。
見つかると大阪弁で罵られる、たぶん。
ていうか試験中は私語は禁止だ。

そこから約1時間半。
途中でオレはその環境が楽しくなって、マスクの下でにやにやしながら試験を終えた。

「お前なにやっとんねん!オレはやる事やってから出発やいうたやろ、お前は今何をしてる?!」
「確認せんと人を殺してまう!それを考えて行動せえ!」
「人命救助や!四の五の言わずはよ動け、死んでまうぞ!」

試験中に放たれた罵詈雑言の数々。
ちなみに3つめはオレに向かって。

確かに海の上は非常に危険だ。
そして本当に死に直結する。

去年の初夏に千葉県の大原港の船宿でイサキを釣りに行った。
本当に楽しかったしその船宿の船長さんもすごい良い人で、また必ずこの船宿から釣りに行こうって思ってた。

それから数日後、その船宿さんが海上で衝突事故を起こした。
お客さんがひとり亡くなった。

このあいだやっと営業を再開できたみたいで、今年もぜひこの船宿さんを利用したい。逆に信頼できる。


が、しかしよ。
言い方ってもんがあるだろう、今はもう令和の時代だよ。
定年間際の頭の固そうな、もう固定概念がバッキバキに凝り固まったじいさんだったけどさ。

試験が終わった後、バッキバキに心を粉々にされたふたり。
オレは「いやぁ、あんなのまだいるんだねー」って笑い飛ばしたけどふたりは完全にグロッキーの様子。
女性20代に至っては「ママにもあんなこと言われたことないですよ、なにあれ!」って憤慨してた。

自分たち3人が船を下りたあと、次の実技試験の人がふたり近付いてきた。
女性30代と女性40代くらいだろうか。

オレが思わず「うわあ、これまたかわいそう。。女性ふたりって。」とつぶやいたら、ふたりが笑ってくれた。


どうやら当日の実技試験は全員受かってた模様。
あの風でボートの運転は無理だよ。

ちなみにその2日後に釣りの予定だったけど、荒天で船が出せないからキャンセルになった。


3月はそういう日が多い。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?