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きょうだいって、ちがっているから面白い!

今日は夏至。
昼間が最も長い一日・・・なんだか、それだけで嬉しいのは、いきものは太陽が好きだからなんだろうなー。
まだ梅雨の最中ですが、陽射しがキラキラとまぶしい。
今日は、美しい梅雨の晴れ間を思わせるような一冊をご紹介したいと思います。

アメリカの絵本作家でコラージュの名手、エリサ・クレヴェン作「ぼくの水たまりバケツ」(たがきょうこ/訳 徳間書店)。

実はこの絵本も現在、品切れ状態(わたしが紹介したい絵本って品切れ、絶版が多すぎる!)

それでも、こうして紹介しているのは・・・すぐれた絵本が再販、復刊してほしいからデス。
この絵本もこれまでの品切れ、絶版絵本同様、子どもだけでなく、大人が読んでもたのしく明るい気分になれる良書です。

ぼくの水たまりバケツ①

主人公はワニの兄弟。
兄、ソルの趣味は収集。 

子どもって、石や瓶の蓋や貝殻や鳥の羽・・・いろんなものを拾ってきて集めるのが好きですよね。
一方、弟のエルンストはちょっと変わった男の子。
空に浮かぶ雲を眺めて
「くもって、おもしろいんだなぁ。くもをあつめたいな」とか「ぼく、ほしをながめるのがすきなんだ」と言って、星をあつめられないかと真剣に考えちゃう。

兄のソルが、星より、星に形が似ているクッキーを集めたら?とか、瓶のふたがピカピカ光ってきれいだよ・・・とすすめても、エルンストは乗り気じゃない。
瓶のふたもきれいだけど、「ぼく、水たまりのほうが、すきだな」「…空のかけらが、じめんにおちているみたいなんだもの。水たまりをあつめられたらいいなぁ」と言うエルンスト。

ソルはそんな弟の言葉に、ちょっとあきれて、お口あんぐり。
そこは兄さんらしく腕組みをして…
「そんならぼくは、ひとりでかいがんへいって、ちゃんとしたものをあつめるからな!」と言い放って行ってしまう。

うーん。
わかるなぁ…エルンストはよーするに、芸術家肌なんだよね。(と、わたしも腕組み)

ここからエルンストの水たまりコレクションが始まるのです。
晴れた日の水たまりって近くにあるものが何かしら映っている。
空だったり、花だったり、壁の模様だったり、自転車の車輪だったり。
それを少しずつ、大切に、バケツに集めていくエルンスト。
集めていく途中で様々なことに気づき、どんどん楽しくなっていく。
しまいには歌をうたいながら、トプン、チャポン、トプン、チャポン。

ぼくの水たまりバケツ②

その間にも兄のソルは、海岸で石や貝や羽、ビー玉、クルミの殻、など…集めたものでバケツを山盛りにしていきます。

この兄弟間の性格の違いって、あるあるですよね(笑)
我が家の息子たちもそうでした。 堅実でせっかちな長男に比べて、次男はロマンチストでのんびり屋。
この絵本を読み聞かせていた時も、長男はソルに、次男はエルンストに感情移入してました。

違っているからこそ、おもしろいのがきょうだい。

エルンストが集めた水たまりのバケツを覗きこんだソルは当然、こう言いました。
「たくさんあつめたって、ひとつにまざっているじゃないか。ただの水が、バケツにいっぱい、はいっているだけみたいだ」

それに応えるエルンストがいいんです。
「ひとつの大きな水たまりになったんだもん。にいちゃんと、ぼくの水たまりだね」
うんうん。エルンストは優しい子だ。

それからエルンストは水たまりバケツを何に使おうか考え始めます。
その間も、バケツの水には夕焼けが映ったり、月や星が映ったり。
そして…とうとうエルンストは素敵なアイデアを思いつくんです。

ぼくの水たまりバケツ③

おはなしの最後で、エルンストのアイデアと行動に、兄のソルが素直に感心するところがまたいいんです。
「すごいじゃないか!」っていう兄さんの言葉に、エルンストはうれしくて胸をはります。

作者のエリサ・クレヴェンは透明水彩、グアッシュ、カラーインク、色鉛筆、パステル、マーカー、クレヨンなどのあらゆる画材を使って絵本を仕上げています。その上、雑誌、新聞、布などを使ったコラージュの手法も取り入れて。

きっと作者のエリサが、エルンストみたいな子だったんじゃないかしら。


この絵本の他にも、「わたしのおひめさま」(徳間書店)、「おひさまパン」(金の星社)などがあります。

エルンストを主人公にした他の絵本もありますので、探してみてくださいね。

雨の季節でも、見ているだけでウキウキ楽しくなる素晴らしい絵本たちです。


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