詩村あかねの「絵本の庭で」(おとなも子どもも楽しめる絵本紹介)

おとなも子どもも楽しめる絵本の紹介。絵本ライフスタイリスト/詩人(近著詩集「鳥がいる場…

詩村あかねの「絵本の庭で」(おとなも子どもも楽しめる絵本紹介)

おとなも子どもも楽しめる絵本の紹介。絵本ライフスタイリスト/詩人(近著詩集「鳥がいる場所」)/朗読家/絵本読み聞かせ歴30年/大人のおはなしサロン「うたの樹」主宰/童話・民話・詩集/絵本にまつわる子育てのこと/絵本好きの方、子育て中の方 のお役に立てたら嬉しいです。

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この星の摂理をめぐる~星野道夫の旅~

『クマよ』(星野道夫/文・写真 福音館書店)  あけましておめでとうございます。 すっかりご無沙汰している間に年も改まってしまいましたが、今年も精力的に楽しみながら、絵本や児童書をご紹介してゆきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。  昨年10月にブログをアップしてのち、次にご紹介するならこの一冊…と、決めていた絵本があります。  それが今日ご紹介する写真家・星野道夫さん作『クマよ』です。 この絵本は小学校高学年を中心に、数え切れないほど、子どもたち

    • 夢はみるものじゃなく、実現するもの!

      1990年代、日本にもファンタジー小説ブームが巻き起こりましたねー。 それまで本などに目もくれなかった男の子たちが夢中になって読んだのが、『ハリーポッターと賢者の石』(J.K.ローリング/著 静山社)。 我が家の息子たちも例外ではありませんでした。一時、野球よりサッカーよりハリーポッター!という時期がありました。 でもそれは初めてのブームではなく、1970年代、J.R.Rトールキンの『指輪物語』やC.S.ルイスの『ナルニア国物語』などが邦訳され、当時の子どもたち(いや、大人

      • いのちと死について、子どもとかたり合う秋。

        みなさん、こんにちは。 今日もお越しくださいまして、ありがとうございます。 突然ですが…わたし、ミイラが好きで…。 えっ?変人?? いえいえ、結構いらっしゃると思うんですけどねー。 あえて「わたし、ミイラがすきなもんで~」なんてアピールする機会がないから黙っているだけで(笑)。 というのも、以前、国立科学博物館で開催された「古代エジプト展」に行った時、ミイラの前にたくさんの人が立ち止まっていて動かないんですよ。 そのとき、見たかったミイラをよく見ることが出来なかったので…

        • だいじなコワいものの話。

          こんにちは。 今日もお立ち寄りくださいまして、ありがとうございます。 8月も今日でおしまい。 小学校で読み聞かせをしていた頃、「夏のおはなし会」というイベントを毎年やっていました。 プール帰りの子どもたちや、夏休みの課題で調べものをしたい子どもたちのために夏休み中も図書室を開放していたので、その開放日の最初の3日間、日替わりプログラムでおはなし会を開いていたのです。 プログラムに必ず入れていたのが…ちょっとコワいおはなし。 創作、民話、紙芝居などの中から、ちょっとコワいお

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        • 絵本のある生活
          33本
        • 子育ての日々
          31本

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          わたしは、ぼくは、なにでできているか?

          こんにちは。 今日もお越しくださり、誠にありがとうございます。 私事ですが…。 今月、上の息子が30歳になりました。 この夏の大片付けの最中に見つけた子育て日記をぱらぱらめくっていたら、彼が幼稚園年長の時、初めてお小遣いでわたし(の誕生日)に買ってくれたイヤリングの記述があり。 年と共に涙もろくなっているわたしの涙腺は、またまた大崩壊してしまったワケです(笑) その時、彼はひとりで(おじいちゃんに貰った)千円札を握りしめ、歩いていける雑貨屋さんに行き、「いま32歳のお母さ

          愛を贈り続けてくれる人をおもって…。

          こんにちは。 8月になってはじめての記事になります。 みなさん、いかがお過ごしでしたか? 夏休み中のわたしは、ほとんどの時間を書棚と本の整理をして過ごしておりました。 息子たちに読み聞かせた童話を箱から出して並べてみると、またあの頃の時間が戻ってきたみたいに…部屋の中は明るくあたたかい雰囲気に。 好きなものに囲まれていることは、とっても落ち着くことなのだと改めて感じております。 さて。 今年の夏休みはコロナの蔓延で旅行をあきらめたという方も少なくないと思い…せめて、楽しい

          子どものかなしみに寄り添うもの。

          こんにちは。 今日もお越しくださいまして、ありがとうございます。 思い返せば、自分はさみしい子どもでした。 二人の弟(上の弟とは二歳、下の弟とは九つ半、年齢が離れている)の世話と、父が営んでいた工場の仕事、従業員や取引先の対応、帳簿つけ、少し離れた場所に暮らしていた祖父母の世話などで、母はとても忙しかった。 学校での話や友だちのこと…母に聞いてもらいたいことは山ほどあったけど、母が私の顔をみてゆっくり話を聞く余裕は当時の母には(たぶん)ありませんでした。 だから、母が工

          夏本番!クジラの海で冒険しようよ!

          こんにちは。 いつもお越しくださり、ありがとうございます。 いよいよ梅雨も明け、本格的な暑さがやってきましたねー。 2021年の海の日は7月22日。 というわけで本日は、古き良きアメリカの薫りただよう上質な海の絵本をご紹介します。 『沖釣り漁師のバート・ダウじいさん』(ロバート・マックロスキー/作 わたなべしげお/訳 童話館出版) 作者のロバート・マックロスキーは1914年アメリカオハイオ州の生まれ。 児童文学作家ルース・ソーヤーの娘である妻と二人の娘と共にメイン州にあ

          ことばあそびで笑っちゃえ、歌っちゃえ。ちょっとだけ泣いちゃえ。

          「まどさんとさかたさんのことばあそび」(まどみちお・さかたひろお/文 かみやしん/絵 小峰書房) こんにちは。 いつもお越しいただきありがとうございます。 言葉あそびやダジャレって、昭和の遺物みたいに思っていらっしゃる方も少なくないと思います。 IT技術の発展とともに、子どもたちにとって「遊び」の種類が昔よりぐんと増えたとおもうし、今や「AIは小説をかけるか?」…なんてことまで話題になる時代(詩も書けるんじゃないかっていう話も読みました😢)。 対して、芸人のダチョウ倶

          ことばあそびで笑っちゃえ、歌っちゃえ。ちょっとだけ泣いちゃえ。

          最終ステージは幼な子。無邪気は無敵。

          「おなかのすくさんぽ」(かたやまけん/作 福音館書店) こんにちは。 昨日は七夕でしたね。 ホントは七夕や星に関する絵本を選ぼうと思ったのですが、本棚を眺めていたら一冊の本が妙に自己主張しておりまして…。 そうそう、この絵本も夏の本だな…元気が出るよねー…と(絵本と)折り合いがつきまして(笑)本日は日本で大人気の絵本作家・片山健さんの「おなかのすくさんぽ」(福音館書店)をお届けしようと思います。 突然ですが… 哲学者ニーチェは、著書『ツァラトゥストラかく語りき』の中で、

          ほんとうにこわいのは、自分をしんじていない自分?

          「グレイ・ラビットのおはなし」(アリソン・アトリー/作 マーガレット・テンペスト/絵 石井桃子 中川李枝子/訳 岩波書店 このところ時間があると可愛いウサギの動画を見ています。 自分の干支が卯年ということもあってか、子どもの頃からウサギ大好き(小学校の頃は飼育係もしていましたっけ)。 「グレイ・ラビットのおはなし」は、ぜひご紹介したいと思うウサギが主人公の物語。 ウサギが主人公と言って、まず思い浮かぶのは「ピーター・ラビットのおはなし」かと思いますが、作者は、ビアトリク

          ほんとうにこわいのは、自分をしんじていない自分?

          親ではなく、ひとりのおとなとして…。

          絵本「ぼくのおじさん」 作:アーノルド・ロベル 訳:三木 卓 文化出版局 突然の悲しみに遭遇した人を支えようとするとき、どんな言葉をかけ、何をしてあげればいいのか…もし、それが子どもであったなら? ここに、静かな答えがある…とおもった。 たまたま同行しなかった家族旅行で両親が事故に遭い、突然孤児になってしまったゾウの少年。 ひとりぼっちになった少年のもとへ、彼を引き取るためにおじさんが現れる。 文章から推測するに…少年はそれまで、おじさんとの交流はあまりなかったよう。 突

          きょうだいって、ちがっているから面白い!

          今日は夏至。 昼間が最も長い一日・・・なんだか、それだけで嬉しいのは、いきものは太陽が好きだからなんだろうなー。 まだ梅雨の最中ですが、陽射しがキラキラとまぶしい。 今日は、美しい梅雨の晴れ間を思わせるような一冊をご紹介したいと思います。 アメリカの絵本作家でコラージュの名手、エリサ・クレヴェン作「ぼくの水たまりバケツ」(たがきょうこ/訳 徳間書店)。 実はこの絵本も現在、品切れ状態(わたしが紹介したい絵本って品切れ、絶版が多すぎる!) それでも、こうして紹介しているの

          どこにもない世界。どこでもない世界。

          こんにちは。 いつもお読みくださり、ありがとうございます。 「なんだ!これは?」  絵本作家であり彫刻家、民族学者でもあった土方久功(ひじかたひさかつ)の絵本「ぶたぶたくんのおかいもの」(福音館書店)を初めて読んだ時、わたしが発した一言です。 この驚きの感覚は・・・これまで出会ったことがない妙ちきりんなものに出会って驚いてしまったが、これはひょっとするとクセになるかもしれない、愛を持ってしまうかもしれない自分に対しての戸惑いが含まれた言葉でした。  まず、表紙の主人公

          おとなって…。

          こんにちは。 今日もお越しくださいましてありがとうございます。  突然ですが…自分が大人であると自覚したのっていつでしたか? 成人式? その式典に出席したからと言って生活が一変するわけでもなし…わたしの場合「自覚」というところまでハッキリとした記憶はなく。 じゃあいつだったんだろ? 社会人になったとき? 結婚したとき? 母親になったとき? ・・・いや。もしかしたら、人の顔色を見て自分の意見を飲みこんだとき?自分のやりたいことより他者の意向を優先したときだったのかも・・・

          詩って、イイ から読んでみてよ。知らんけど。

           こんにちは。 今日もお越しくださいましてありがとうございます。  かれこれ20年くらい前の話になりますが…。 ブックトークや読み聞かせ活動を小学校で始めて5年ほど経った頃。 隣町の小学校から「国語の授業の一貫で、詩集のブックトークをしてほしい」との依頼を受け、会のメンバーと多数の詩集を読み込み、6年生の授業に臨んだことがありました。  その時に、メンバー全員が「これは入れたい!」と言ったのが「詩なんか知らないけど」(糸井重里/詩 大日本図書)でした。 「愛されたい」金

          詩って、イイ から読んでみてよ。知らんけど。