ある日の夜遅く、私はリビングルームのソファに座り、目を閉じて内側に意識を向けた。すると、風の音と思われる音が聞こえてきた。そして、外の空気が穏やかだったことを思い出し、その音が自分の心の奥底から聞こえてくることに気がついた。

突然、その音が大きくなり、私の内なるビジョンにある光景が映し出された。三十名くらいの人物が、巨大なクリスタルを囲んで輪になって座っていた。上から光の柱がクリスタルに注がれ、根元から流れ出て、周りの席の人達に均一に広がっていた。目の前にいる人達は、私がこれまで出会った人間と同じようにリアルだった。ある者は、人間の形をしたエネルギーの渦に過ぎず、その他は、明らかに人間の姿をしており、それぞれが異なるスタイルと色の服を着ていた。彼らの仕草から、彼らが盛り上がって会話をしているのがわかった。

私はその輪の外に立っていた。しばらくして、私の左側にマイケルが現れた。右側には、以前にも会ったことのあるスピリチュアル・マスターがいた。膝丈の栗色のローブに乾燥した肌、そして短い黒髪と髭は見覚えがあった。

「彼らはある本について議論している」 とマスターは言った。「自分達のことが書かれる本について」彼の深い茶色の目は、私の目を鋭く見つめた。
輪の中にいた男が立ち上がり、クリスタルの方へ数歩歩いた。そして振り返って私達の方を向いた。彼は長い白髭を生やし、紫のローブを身にまとい、白木の杖を持っていた。彼は、私達にグループに加わるよう合図した。すると、輪の中の会話はいっせいに止まり、全員の顔が私たちに向けられた。マイケルと私は、驚きと好奇心を募らせながら、その輪の中に入っていった。紫色の衣をまとった男性に近づくと、突然、何かとんでもないことが起こりそうな予感がした。

「地球人が宝石についての真実を知る時が来ました。特に球体の宝石の使命と癒しの効果について」と男は言った。

「ここに集まった人達は、ジェムストーン・ガーディアンです。彼らは宝石の守護者です。ガーディアンは、それぞれの宝石の目的を果たし、その効果を維持することが、古来よりの務めであります。近年、ガーディアンは、さらに別の責任を与えられています。それは、人間と直接仕事を始め、彼らに宝石の正しい使い方を教えることです。このサークルに集まったガーディアンは、インタビューという形で行う一連の対談について議論しています」。
「このインタビューは、ガーディアンが新たな責任を果たすための重要なステップとなり、ガーディアンが責任を担う宝石に関する知識を共有することができるようになります。これらの話が完成したら、編集して一冊の本にする予定です」。

私の好奇心は、刻一刻と強くなっていた。マイケルと私は、ちらりと顔を見合わせた。私達はマイケルの仕事で長年宝石を扱っており、その癒し効果に深い関心を抱いていた。私たちはこのテーマに関する多くの本や記事を読みあさったが、驚いたことに、それらの情報は曖昧で不完全、あるいはあまりにも一般的なもので私達は失望の中にいた。度々、特定の宝石の特性について、それぞれの文献で異なることが書かれていた。まるで全く異なる宝石の説明をしているようにも思えるくらいに！　私たちは苛立ちを覚えながらも、この強力なツールの効果に関する真の権威を探すことをあきらめない決意をしていた。

そしてその時、私の心の中に問いが生まれた。話しかけてきた男性の豊かな紫色の瞳を読み取りながら、この 『ガーディアン 』達は、私たちの探究心を知っていたのだろうか？　私たちが探している情報を見つける手助けをしてくれるのだろうか？

この先どうなるのだろうと思いながら聞いていると、話しかけてきた男性の豊かな紫色の瞳が気になった。その瞳は、最高級のアメジストを思わせた。そして、彼は私の言葉にならない質問に答えてくれた。

「あなた方は、霊的な道を歩むことでスピリットの光と音に導かれ、このような非物理的な場所に意識を持って旅するアートとサイエンスを学んでこられました。過去数年間にあなた方が受けてきたテストや試練は、あなた方が内なる導きを信頼し、規律、そして集中を維持する方法を教えるために用意されたものです」。

確かに、ある種のスピリチュアルな訓練を毎日行うことは、マイケルの人生においても私の人生においても重要な側面だった。目を閉じたときに聞こえた音は、この日常的な経験のほんの一部であった。とは言え、時折、物理的な環境から意識の焦点を外し、意識的に内なる世界へ旅立つことができるのは、とても幸せなことだと考えていた。

「ジェムストーン・ガーディアンのインタビューは、あなた方にお願いしたいのです。あなた方がその特権を得たということなので」と彼は締めくくった。

求められていることの大きさがわかってくると、私は恐れ多いと感じるのかと思いきや、それとは逆に、当然であるようにも感じた。この任務の重要性を理解した上で、ジェムストーン・ガーディアンにインタビューするというアイデアは適切であり、論理的であるとさえ思えたのである。宝石を最もよく知る人物から、宝石について学ぶ機会が与えられたのだ。

「ありがとうございます。私たちを信頼していただき、光栄です」と私は答えた。マイケルもそれに同意してうなずいた。

インタビューはいつ始まるのだろうと、頭の中が真っ白になった。そんな私の気持ちを察したのか、「むこう二カ月の期間で日にちと時間帯を選んで、インタビューを行ってください。邪魔が入らない時間を選んで。そして、楽な姿勢で座り、目を閉じて下さい。スピリットが、各インタビューの待ち合わせ場所まであなたを導いてくれるでしょう。神の言葉に耳を傾けてください。それは、生命の源からあなたの心を通って、再び戻ってくる音楽の流れとして現れるでしょう。その音について行きなさい。そして、目を開き、目の前にある世界を見てごらんなさい。あなたが開く目は物理的なものではなく、あなたが知覚する世界ではありません」。

マイケルは、この機会を最大限に生かし、ガーディアン達に本についての提案やアドバイスを求めた。ある人とはじっくりと、ある人とはほんの少し、ほぼ全員と話をした。マイケルがガーディアンたちと話しているとき、私はサークルの外に立っている女性に目を奪われた。彼女は輝くような白い光を放っていた。その女性は、話し合いが終わったのを確認すると、私たちの輪の中に入ってきた。

「この方は鉱石界のガーディアンであり、すべてのジェムストーン・ガーディアンの監督者です」と、誰かが言うのが聞こえた。

監督者は私たちに話しかけた。「インタビューを始める前に、お二人にアドバイスをしたいと思います。ガーディアンの話をすべて記憶して、後で書き留めようと思わないでください。そうすれば、多くの情報が忘れ去られてしまうでしょう」。

「その代わりに、スピリットに身を委ね、ガーディアンを取り巻くオーラ、つまりエネルギーのフィールドに入る方法を教えてもらうのです。あなたは自分の意識とアイデンティティを失うことはありません。また、ジェムストーン・ガーディアンになることもありません。しかし、あなたの肉声は、各ガーディアンのハートから流れ出る言葉を話すことができるようになります。この言葉を録音するために、テープレコーダーを用意して下さい。ガーディアンは、あなたの心の中にある言葉やイメージを引き出すことができるようになります。できるだけ多くの人が宝石の本質、目的、効果を理解できるように、理解しやすい言葉を使うでしょう」。

「マイケル、あなたはガーディアンに質問をすることで、インタビューを指揮・指導する役割を担ってください。彼らは自分の宝石についてだけでなく、すべての宝石の働きを理解するために必要な情報を話してくれるでしょう。各ガーディアンが語る知識は、これまでのインタビューで得た知識の上に成り立っています。ですから、読者の皆さんには、本書の冒頭から各章を順番に読んで頂くことをお勧めします」。

「ところで、ガーディアンの中には、宝石をさらに区別するために、「アース・ストーン」と「オーシャン・ストーン」という名称を選ぶ人もいます。アース・ストーンは地球の岩石、オーシャン・ストーンは海の宝物です。まずはジェムストーン・ガーディアン、次にアース・ストーンのガーディアン、そして最後にオーシャン・ストーンのガーディアンにインタビューしてください」。

「他に何かアドバイスはありますか？」とマイケルが尋ねた。

「そうですね、もう一つあります。この本を書きながら、今あなたが見ている、この円の中央のクリスタルを流れる光の柱の中にいる自分を想像してみてください。それは愛の柱です。愛と光を込めて書き、作品を楽しんでください」。

そして、アメジストの守護者と思われる人物が、もう一度話しかけてきた。
「私もアドバイスしたいことがあります。あなたの仕事は、与えることも、奪うこともできます。もし、奪うことを選んだら、あなたの選択肢は消えてしまいます。与えることを選べば、選択肢は無限に広がります。選択肢の有無は、あらゆる所に反映されるからです」。

「選択肢の多寡にかかわらず、課題を成功させるための鍵は、「集中力」です。今回は本の完成に言及していますが、このアドバイスはあらゆるプロジェクトに応用できます」。

そして、栗色の衣をまとったマスターは、私たちが輪から離れるタイミングを告げた。私たちはその場を離れ、ガーディアンたちは再び話し合いに戻った。

「最初のインタビューは、クオーツのガーディアンにお願いします。インタビューの時間を決め、スピリットと一緒に待ち合わせ場所まで行くことを忘れないでください」。

突然、その光景は消え去った。再び、リビングルームが私の意識の焦点となった。私は数分間、動かず、目も開けずに座って、今経験したことを吸収し、胸の高鳴りを静めようとした。マイケルと私は、まもなくクオーツの守護者と出会い、人生最大の冒険を始めることになるのだ。

►第二章　クオーツの守護者

►クオーツの使い方、選び方