わたしは無意識に、この人は男性、女性どっちだろう？と呟いたらしい。

先日 yamaというアーティストの方をTVで観た時のこと。覆面していたので顔は口元しか分からない。どうやら年齢やその他もろもろ明かしていないようだ。

生で聴いても良い声だね。

そんな話をしていた。

ふと、男性なのか女性なのか
どちらの声なんだろうかと気になった。

どっちだろう？

呟きから少し間をおいて子どもたちが同時に言った。

「そんなの、どっちでも良くない？」

そうだ。ハッとした。

言い訳するようでみっともないが、魅力的な声だからどっちだろう？とシンプルに思っただけなのだ。
でも魅力的な声であることに変わりないんだから、そんなのは確かにどっちだっていい。

わたしは自分でも気付かないうちに、人を分類したがっていたのか。

やだなあ。この感覚はいやだ。

別に視野が広い人ぶっていたい訳じゃないし、意識高いってわけでもない。むしろ意識は低い方かもしれない。このご時世にエコバッグを家に忘れるし。←昨日も地球に謝罪しました

自分が子どもの頃から”女の子なんだから”という言われ方がキライだったのに。
男らしい、女らしいって何？と斜めから大人に疑問をぶつける子どもだったのだ。

性別に基づく先入観はばからしい。

まさか自分が無意識に分けてる側になったなんて。あーやだやだと嘆いたら「人は変わるさ」と言うんだろうか。この方は。
Peopleの歌詞にあったように。

良い、悪い、と断定せずに率直な意見を言ってくれそうな人第一位（私調べ）ゆんぎさんはわたしの正面に座る。

何の話？と思った方、このnoteはJIN編、V編の続きです。推しが決まらないわたしがT-Crownさんの推しへのチャレンジをしてみた結果、それぞれの席に座る方について書いています。

心理テスト どの席を選ぶ？

SUGAは「あなたが対等に話したい人」

わたしは防弾少年団の7人が大好きだ。
推しを1人に決められなくて、ぐるぐる回って頭を抱えている。
決めなければいけないわけじゃない。
でも決められたら楽なのに、と思うことがある。

例えば彼らの写真が印刷されている甘いコーヒーとか、キャラクターが付いてるお菓子とか、そういった物をひとつに絞れない。
まあ店頭で見かけたことは無いんですけどね。
ホントに売ってるの？とブツブツ言ってたら、２本（SIN）をお迎えした妹からドヤ顔のLINEがきた。くそーっ。
ただ、ランダムトレカは誰がきても嬉しいのでその点はラッキーではあります。


何の話？（デジャヴ）


何が言いたいかというと
推しを一人に決めたい。でもこの方にはなるべくしたくないという複雑な心境ということです。
ああそうですか、どうぞご自由にと言われたらそれまでですが、これには沼よりも深い理由があります。


CDTV LIVEを観てBTSの沼に転がり落ちたわたしは、肩の手術でお休みしていた彼のことを認識するまでに時間がかかった。


MVを観てようやく確認した時
えっ、さわやかでかわいい……と目がハートに♡

まさかこの初夏の風のようなさわやかキューティがビジネススマイルだなんて。


この彼は癒し担当かな？


おや、ラップ担当・・・
ONのMVを観て、癒し系ではないことを知った。

それにしても胸さわぎするこの雰囲気。
ちょっと待てと自分にブレーキがかかる。
わたしは女の子らしさとは無縁だったけど、だてに何十年も女として生きてない。
勘だけは一人前なんです。

この人にハマったらマズい気がする。

なんでだろう？
こちらが自爆しそうというか。
「オレに構うな」と言われても目を逸らせなくなりそうな感じ。分かります？

彼は世界中のアミたちから猫ちゃん扱いされているようだ。
確かに、なんか猫っぽい。
しかもちょっと繊細そうな猫ちゃんだ。

傷ついた猫ちゃんは放っておけない。

保護したくなる。

近づいたら引っ掻かれるけど
安全な部屋に連れて帰ろう。

あたたかい毛布の中で神経質に唸りながら、でも眠ってくれるまで

待っていたい。

エサもすぐに食べてくれなさそう。
姿を見つけたら隠れてしまいそう。
甘えてくれるまで時間がかかりそう。

少し慣れてからもずっと窓から外を眺めているし、こちらの呼びかけに答えてくれない。
時々、気まぐれにそばに来るだけ。

なのにこちらが凹んだ時、
泣きながらシャワーを浴びた時は
ドアの外でずっと待ってる。
いつもなら寝てるのに、後をついてきたりして。

離れられないよね。

そんな奴はヤバいのだ。

自分の想いだけ大きく重くなって、抱えきれなくて自爆することになるから。

悔しいが、これは傷ついた猫ちゃんなので保護せねばなるまい。←


ミン・ユンギ＝ヤバそうという勘はそれほど間違っていなかった。


その証拠に彼は世界中にリアコを大量生産しているではありませんか。海外アミなんて、SNSで濃い交流を繰り広げてますもんね。あっちではバトル、こっちでは一緒に結婚してみるかと折衷案が出ていたり。

見事にこじらせている。

わたしは推しというものに人生で初めて出会った今、これ以上にややこしい感情を持つ余裕はないのだ。彼は危険なのだ。


だいたい、なぜこんなにもリアコを生むのか？育てる気もないくせに。いや、あるのかもしれない。育てる気満々かもしれない。


特にサイン会での出来事は罪に問われてもおかしくない。
ご存知の方も多いと思いますが、サイン会ではポストイットやノートに質問を書いておくとメンバーがそこに答えを書いてくれるそうで。
その答えにびっくりです。


噂ではなく、わたしが実際に画像を確認したものを並べてみましょう。

🖋 ユンギは何で私よりオッパじゃないのかな…ㅠㅠ だから、ドキドキできる言葉書いてくれる？
🐱 オッパって呼んで.

🖋 ユンギオッパの理想の人の体重は？頑張って痩せるから！
🐱 80キロ

🖋 目の前にいる人に対して知っているすべてのこと
🐱 俺のものってこと？？

🖋 オッパと私の共通点は？
🐱 お互い愛し合ってるところ

🖋 いつ私と結婚します？
🐱 いつにする？

こんなのが山ほど出てきます。
国が国なら懲役一万年ぐらい科せられそうですね。

とにかく

期待を裏切らない

罪なやつめ。

わたしはサイン会の様子を読みながら途中、外の空気を吸いにいきました。深呼吸が必要になるエピソードってあるんですね…。

一番最初の ”ユンギはなんで私より…” の返しですが、これの何が罪って、韓国は年上の人には絶対に敬語を使いますよね？ このメモを書いた方は内容で分かる通り年上なわけです。それを承知の上でのタメ口「オッパって呼んで」ですよ！！
礼儀に厳しめの彼がヌナに向かって、あえてのタメ口！！これが罪じゃなくて何が罪なんでしょうか。


それと読書家の彼は少女漫画もチェックしているのでしょうか。
目も合わせないクール系無口キャラが急に放つ「お前はオレのもの」発言。こんなの今の時代に言ってたら炎上しそうな案件ですが、二次元の世界とSUGAだけは許されるのでしょう。


このポストイットの画像たちをどう許可を貰ったら良いのか分からず貼れなかったんですけど、字が良いですよね。まだ見てない方はググってみてください。

もう１つ注目が例の「俺のものってこと？？」と「？」を２つ並べているところです。

① 俺のものってこと？

② 俺のものってこと？？

①と②では少しニュアンスが変わりませんか？
クエスチョン１つだとちょっと調子に乗ってて上から目線。それが２つになると、こちらに尋ねてる感じだし、少しはしゃいでる感じがしませんか。

これを一瞬でやってのける男。

殺る気なんでしょう。
そうなんでしょう。

ところで日付も年も違うんですけど、サイン会においてこんな表情が多いんですが、なぜでしょうか。
機嫌の悪い猫ちゃんプリーズって言うとしてくれてたりして？
これで「にゃっ！」とか言われたらたまりません。保護の手続きを始めましょう。そうしましょう。


しかし、リアコになってしまう理由は当然これだけではありません。（ため息）
こんな発言をサラッとスマートにやってのけるアイドルなんて死ぬほどいます。たぶんだけど。


彼の魅力は、色白で透明感のある美肌とか、ときどき片方が二重になる目、ガミースマイル、骨張った大きい手、キレイな膝、細い腰、低い話し声など盛りだくさん。


でもわたしたちはもっとコアな部分に惹かれてしまうのでしょう。


ミン・ユンギ、SUGA、Agust D
アイドルでラッパーでアーティストでミュージシャンでプロデューサーで。
それぞれの役割を完璧にこなすその姿。
プロに徹して、ズルいほど演じられるのに仮面の下の傷が時おりチラリと見える。
そしてそれはどうにも抗えない色気を放つ。

やめて欲しい。


うっかりソロ曲を聴き、しかもseesawなんて神曲だったからもっと聴きたくなって、予備知識ゼロでAgust DのMV…膝から崩れ落ちた。さわやかなビジネススマイルのあの人はいずこ。

痛い…。膝も胸も痛い…。

2016年のミックステープAgust Dは
過去にマウンティングしてきた人々への鎮まらない怒り

誰にも理解されず傷ついて、すり減って病み、自分自身を傷つけた過去

負の感情をコントロールできない若さと、そんな自分を客観視できる冷静さの両方を持て余す

吐き出すように綴った言葉は、彼の喉も焼いているかのようでヒリヒリする。


名優アンソニー・ホプキンスの言葉 *¹ がある。

演じることは常に痛みを伴うんだ。
でもそれが作品になって人々の目に触れた時、その痛みは観客に引き継がれる。
それこそが役者としての真髄だよ。

Agust Dが生み出した作品はわたしたちに引き継がれた。歌詞を読んで泣き、声を聴いて泣く。
わたしたちは自分と重ね合わせたり、代わってあげられない苦しみに胸を痛めたりして、彼のこれまでを想う。


2020年に発表されたD-2
苦悩は変化していた。

記事によるとこのミクテは28歳の記録らしい。
その「28」という曲の中

俺が望んでいたのは何だったんだろうな
今 は 怖 い
夢のかけらたちはどこへ行ったんだろう

目標に近付くほど幸せになれると信じていたのに、成功による恐怖が彼を覆っている。

ゲームの終わりが見えないと嘆いて

本心ではない解放を望む時もあるらしい
とても怖いはずのその想像に、すがりたい夜があるみたいだ。

怒りの炎を抱く昔の自分を燃やしつくし

変わってしまった友だちを恋しがる。


それは悲しそうに。


このミクテのビハインドがあると知ったけど、観るまでに時間がかかった。
解説はしない、ただのビハインドだと話したという記事を読み、やっと観ることが出来た。


画面の向こうでウイスキーを飲みながら淡々と話すAgust Dさま。どうやらご機嫌は良いらしい。

それでも わたしは。

ああこの人は悲しみと憎しみと、それを消化できない寂しさを抱えて生きていると思いながら切なくなった。


しかし中盤をすぎたあたり。


Dear my friendについてアミが「この曲は悲しいです」というコメントをすると

え？


そうなの？悲しくないの？
強がってる？
そんな風にも見えない。

もしかしたら。

彼はその友だちとの関係が終わったと思ってないのでは。今は繋がっていないけれど。
First LoveやSpring Dayなど、折に触れて届けているラブレターなのかもしれない。
届くかどうか分からない手紙を
書きつづけているのかもしれない。

ビルボードのインタビューで
SUGA とAgust D、この２つの自我とミンユンギは違うのかという質問に

違いがあるとも言えるし、無いとも言える。
僕と僕と僕。
全部違っていて、全部同じ。

そう答えた。

Time誌のインタビューでは
SUGAとAgust Dの違いについて、もう少しだけ詳しく話してくれた。

よりオープンに表現できるところと、
素の自分に近いところを見せられるところ。

共通点は夢と希望について歌っているところ

と答えている。


夢と希望について人が語るとき、それは明るく光が差すような方向にむけられることが多い。
でもSUGAもAgustDもそんな眩しさを感じさせない話をする。
光と影。
本当は光の相方のはずのそれを、人は見ないようにする。夢と希望を語りたいとき、うす暗いそれは不安要素だからだ。でも夢と希望が持っている苦しさに気付いたら、その影に救われるときもある。

ビハインドの最後の方でアミの
「D-2を発表してくれて ありがとうございます」という感謝のコメントを読んだ時、そうだ…とそのころ読んだ本を紹介してくれた。

悲しみの慰安  ロン・マラスコ *²
𓏲 𓂃 𓂃 𓂃 𓂃 
悲しみの耐えかた

カフェに行け
できるだけ頻繁に訪れるカフェは避けよ

そして席に座り 苦しいほど 正直な言葉を書け

書き終わったら 紙を破ってゴミ箱に捨てなさい

それで終わりだ

その頃になったらあなたがやるべきことは
終わっているだろう

そして言葉で表現すべきことを
全て表現したはずだ

文字を書くことが合わないのなら
大声で言いたいことを言ってみるのもいい方法だ

たった一人で シェークスピアの主人公のように
悲しみを石に吐露すれば
心がもっと楽になるかもしれない

朗読してくれたあと
「僕は カフェに行って何かを書くよりも、音楽を作って世に出す方が 僕にとっての慰めになるし、だから僕はこれをやってから、すごく心が楽になって、、すごくいいと思いました」と話した。


彼はわたしたちが悲しみや苦しみを受け止めるのを知っている。

思い立ったように本を読んでくれたけど、その本は準備していたんだね。すぐに開けるように、モニターの近くに置いて、読んで聞かせられるように。

荷物を預けっぱなしにしない。

わたしたちにも救われる方法を教えてくれるところ。

本当のところは分からない。

ミクテを聴いたぐらいで、あなたのことを分かったふりなんて出来ない。

年齢的にはとっくに大人のわたしだって、自分の感情がどんな状態なのか分かっていないから。


だけど１つ教えてもらった。

小学生のころ、わたしは公園の陣地をめぐって男子と取っ組み合いのケンカをしたことがある。先に手を出したのは向こうだった。女のくせに生意気だと。絶対負けないつもりでケンカしたので、相手が負傷し大声で泣きわめいた。

近所の人に見つかって、とても怒られた。
その時わたしに「女の子なんだから」と何度も言ったおばさんたちを忘れていない。睨みつける私に困り果て、お母さんには内緒にしといてあげると恩着せがましく言っていた。

今思い出しても腹が立つと同時に悲しい。

その男子とはそれ以来ドッチボールや鬼ごっこで楽しく遊んだし、引っ越してしまう時はお互い泣いてしまうぐらい仲良くなった。

しかし、その近所のおばさんたちに対してはまだ不愉快な感情が残っている。
わたしは根に持つタイプなのかもしれない。(かもしれないどころか絶対そう)

あの時ケンカの理由を言いたかったのに、口を開こうとするたびに「女の子なんだから殴りあいなんて絶対だめ」「男の子泣かすなんて恥ずかしくないの？」「女の子はにこにこしていればいいのよ」と聞く耳をもってくれなかった。

わたしだって痛かったのに一方的に責められて。

今これを書いたことで確かに心が軽くなった気がする。
わたしは おばさんたちにずっと怒っていたんじゃない。そこで上手く言い返せずに睨みつけるしか出来ない自分に腹が立って、悔しくて悲しかったんだ。

未熟なわたしは変なプライドから誰にも話せていなかった。
書いてみたら たいしたことなくて笑える。
なあんだ、わたしはこんなことに引っかかっていたんだな。

あなたのおかげで、荷物を１つ片付けることができたよ。



ゆんぎさんが来世は石になりたいとか、その後は岩になりたいと願っていることは有名だ。

次に生まれ変わってもまた音楽を選択して欲しいけど

賭けてもいい。
次が石や岩だったとしても
人の心を動かす存在に違いない。


わたしたちの心に爪痕を残す人。

人間ミン・ユンギの目標は何ですか？ *³

いい人になりたいです。
でも全ての人に対して いい人にはなれないですよね。これは僕の欲です。少なくとも正直な人間、嘘をつかない人間になりたい。だから僕がこれまでに書いた歌詞のように生きたい。10年、20年経っても、この歌詞に恥ずかしくないように。

こんなことを語ってしまうあなたには
正面に座ってもらって、わたしと対等に話して欲しい。


わたしもいい人になりたい、なんて話はしない。
どこのウイスキーが美味しいとか、お気に入りのネコの動画とか、そんな他愛もない話。

わたしもシングルモルトに氷を入れずに飲むんだ。なんちゃらグラスで。
ホントは水割りが好きだけど。

それでウザがるぐらいのウンチクを語って、オッサンみたいだと呆れさせたい。

あなたの前では、いい人ぶったり、女らしくありたいと、そう思うヨコシマな気持ちを隠したいから。

そんなのお見通しかな？


次のミクテでは何を伝えてくれるんだろう。

あなたがそれで救われるなら
腹をくくって聴く覚悟はできている。

2021.9.15

参考𓍯
*¹ ファザーという作品でアンソニー・ホプキンスが演じたアルツハイマーの役は、同じ病気を患った彼の父親を思い出しながら演じたという。辛くなかったか？という質問へのアンサー。

*² ロン・マラスコとブライアン・シュフの共著の本「About Grief 」（翻訳版は見つからず）

*³ 韓国ファッション誌GRAZIAでのインタビュー

*トップ画像はユンギさんが撮影してTwitterにあげた夕焼けの写真。

*D-2 ビハインド VLIVE

推しへのチャレンジT-Crownさんの記事です。↓

読んでくださって嬉しいです。