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#007 シェアサイクルのデータが公開されました。(サンプルコード有り)

ご無沙汰してます。OpenStreetデータサイエンスチームです。

2022年6月28日にシェアサイクルのデータがGBFSという標準規格でオープンデータとして公開されました。身近な移動手段のデータがオープンデータ化されることは画期的なことと考えており、今回はnoteのテーマとして取り上げます。

少し長いですが、最後の方にはデータ取得のためのサンプルコードも載せています。ぜひこの機会にオープンデータについて理解を深めていただければと思います。



1.オープンデータ化した背景

近年、行政・企業問わずデータのオープン化が注目されています。
弊社も公共交通オープンデータ協議会と連携しシェアサイクルデータのオープン化について、その可能性を模索していました。

海外を中心に業界標準規格・GBFSフォーマット(General Bikeshare Feed Specification)の整備が進んでいることやシェアサイクルの公共性を鑑みて、このたびオープン化を行う運びとなりました。

オープン化によって、様々な地図サービス・MaaSアプリでHELLO CYCLINGのステーション情報が表示されるなどサービス認知度向上やユーザ利便性向上の観点でのメリットが期待できます。


2.公開するデータ

データ項目
・ステーション情報(名称、住所、緯度経度、ラック数等)
・ステーションに停車している自転車情報(台数、車両の種別 ※電動アシスト有無等)
・サービス基本情報(サービス名称、アプリダウンロードURL等)

対象エリア
・日本全国のHELLO CYCLINGステーション

ライセンス

使いたいライセンスを選んでご使用ください。
Creative Commons Attribution 4.0 International (CC-BY4.0)
Open Data Commons Attribution License v1.0(ODC BY 1.0)
Open Data Commons Open Database License v1.0(ODbL 1.0)

より使いやすいオープンデータを目指し、公共交通オープンデータセンターの公開データの中で初めてマルチライセンスを採用することにしました。

具体的には、

・国土交通省の地理院地図は、CC-BY4.0
・OpenStreetMapは、ODbL

のライセンスで提供されています。
(地図の側にもライセンスがあります。)

この場合、例えばGBFSデータがCC-BY4.0だけのライセンスですとOpenStreetMapへの取り込みが難しくなるなど利用時の制約が生じてしまうため、3つのライセンスを用意しています。

クレジット表示に関する情報
以下の表記でお願いいたします。

コンテンツ等の提供者名: OpenStreet株式会社 / 公共交通オープンデータ協議会

バージョン

GBFS version 2.3

GBFSはバージョン管理がされており、バージョンによって仕様が異なります。バージョンごとの変更点などは、バージョン履歴をご確認ください。

3.公開方法

公開サイト
公共交通オープンデータセンターよりデータを配信します。


その他
・公共交通オープンデータセンターから株式会社ドコモ・バイクシェアとOpenStreet株式会社で同日にシェアサイクルのオープンデータ公開を行います。
・データのオープン化後も各種データの著作権は当社に帰属します。

4.そもそもオープンデータとは

オープンデータの意義
・国民参加・官民協働の推進を通じた諸課題の解決、経済活性化
・行政の高度化・効率化
・透明性・信頼の向上

オープンデータの定義
国、地方公共団体及び事業者が保有する官民データのうち、国民誰もがインターネット等を通じて容易に利用(加工、編集、再配布等)できるよう、次のいずれの項目にも該当する形で公開されたデータをオープンデータと定義する。

・営利目的、非営利目的を問わず二次利用可能なルールが適用されたもの
・機械判読(*)に適したもの
・無償で利用できるもの

*「機械判読」とは、コンピュータプログラムが自動的にデータを加工、編集等できることを指す。

政府CIOポータル オープンデータ基本指針より
 https://cio.go.jp/sites/default/files/uploads/documents/data_shishin.pdf 


国等が公開しているデータ公開サイト
一部、厳密にはオープンデータではないもの(利用制約有や有償公開)もありますが、分析などによく使われるデータです。

デジタル庁 オープンデータ

総務省 e-Stat 政府統計の総合窓口

国土交通省 国土数値情報ダウンロードサービス

AIGID G空間情報センター

5.GBFS (General Bikeshare Feed Specification)とは

公共交通機関における標準的なデータフォーマットとして「GTFS(General Transit Feed Specification)」が世界的に広く普及しています。日本国内においてもGTFSに則ってデータの整備が進んでいます。

近年では様々なモビリティサービスが展開されており、より「小さな移動体」としてマイクロモビリティのシェアリングサービスが注目を集めています。シェアサイクルや電動キックボードシェアリングなどがこれに当たります。

これらのサービスのリアルタイムな状態を、「GTFSのように統一された情報フォーマットに格納してオンラインで公開しよう」という取り組みの中で生まれたのが、GBFSです。

詳しくはこちらをご覧ください。

GBFS: A Common Language for Shared Mobility

日本語のマニュアルとしては、以下の記事が詳しいです。
GBFS(General Bikeshare Feed Specification)に入門しよう (GBFS v2.2)

6.利用されてこそ価値が出る


HELLO CYCLINGのオープンデータをぜひご活用ください。利用されてこそ価値が出て、オープンデータ化した意義のあるものになると思っています。

また活用いただいた際には、必須ではありませんが、「HELLO CYCLINGのオープンデータを使ってこんなアプリ作ったよ!」などコメントいただけると大変うれしいです。

より広く活用していただくために、データを取得するサンプルコードを書いてみました。

7.データ取得サンプルコード

1.データ取得には、公共交通オープンデータサイトで会員登録が必要ですので会員登録をお願いいたします。
2022年8月16日よりCC BY 4.0のデータについては開発者登録なく利用可能になりました。

2.会員専用画面よりAPIキーを取得してください。

下記のURLへ直接アクセスしてください。
https://api-public.odpt.org/api/v4/gbfs/hellocycling/station_information.json

3.PythonでのサンプルコードのURLのAPIキーを自分のキーに変更してぜひ活用してみてください。

import json
import requests
import pandas as pd

# URLへアクセスしてデータを取得
url = requests.get(
    "https://api-public.odpt.org/api/v4/gbfs/hellocycling/station_information.json")
text = url.text

# 変換したいJSONファイルを読み込む
df_json = pd.read_json(text)

# ネスト(入れ子)構造になっている"data"という項目を展開する
df_data = pd.json_normalize(df_json['data'][0])

# JSONをCSVへ変換して文字コードをutf8で出力
df_data.to_csv("hellocycling_station.csv", encoding='utf8', index=False)

また、例えばAWSなどクラウドサービスを使うと、以下のようなダイアグラムで時間などをトリガーに自動的にデータを蓄積することもできます。Lambdaにて上記のようなPythonのコード書けば、クラウド上で自動化ができちゃいます。

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AWSのLambda,S3ともに一定量までであれば毎月無料枠のあるサービスです。詳しい説明は省きますが、興味のある方はぜひ調べて実装してみてください。

8.取得したデータをMapboxStudioで可視化してみた

HELLO CYCLING, ドコモ・バイクシェアのGBFSフォーマットのstation_informationのデータを使ってMapboxStudioで可視化しました。

Mapbox Studioの使い方はこちらをご覧ください。

Mapbox Studioはカスタマイズ性が高いのでも自分好みの地図が作れます。今回は背景を暗めにして、各サービスカラーでステーションを可視化してみました。

  • 黄:ハローサイクリング

  • 赤:ドコモ・バイクシェア

シェアサイクルマップ © Mapbox, © OpenStreetMap contributors 


拡大するとステーション名と駐輪できる自転車の数がわかります。

シェアサイクルマップ拡大図 © Mapbox, © OpenStreetMap contributors 


9.まとめ

最後まで読んでいただきありがとうございます。OpenStreetデータサイエンスチームでは、GBFSに関する理解が広がり活用されることを望んでいます。

実は今回のオープンデータ化に際して断念した部分がありました。現在のGBFSでは、HELLO CYCLINGの料金体系が表現できないため料金プラン(system_pricing_plans.json)はご用意ができませんでした。

シェアサイクルの料金体系が公開できると、電車に乗るか、バスに乗るか、シェアサイクルに乗るか迷ったときに料金比較ができるので、よりユーザーフレンドリーな見せ方ができると考えています。

GBFSのバージョンが更新された場合には、随時本データも新しく改善していきたいと思っておりますのでオープンデータについてのご意見、ご感想、激励などいただけると幸いです。


◆データサイエンスチームは、新しい仲間を募集しています!
シェアサイクルをはじめ、スクーターや小型EV車など、様々な移動データを分析し、「都市を変え、移動を変える」を共に進めましょう!


◆HELLO CYCLINGのアプリはこちらから!一度登録しておけば、いざという時にスグ自転車を借りることが出来ます。

制作:OpenStreet株式会社

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