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#004 機械学習を用いた売上予測マップでのステーション設置判断の高速化

OpenStreetデータサイエンスチームでは日々様々なデータを扱い、サービス運営支援の視点、実社会へのデータ利活用の視点からデータの価値創出を推進しています。今回は社内での分析事例として売上予測マップによるステーション配置判断の高速化を紹介いたします!

機械学習を用いた売上予測マップ

HELLO CYCLINGは先月でサービスリリースから5周年を迎え、全国約4,200箇所の拠点を抱える国内最大級のシェアサイクリングプラットフォームとなりました。

サービスが拡大するにつれて、
 「駅前にHELLO CYCLING があったら便利なのに!」
 「私の家の周りにもステーションを増やしてほしい!」
 「当社が管理している用地にステーションを設置できないか?」
といった声を多くいただくようになりました。

そのような声に対して、効率よく、迅速にステーション設置プロセスを進めるためにデータチームが開発したのが、今回ご紹介する「売上予測マップ」です。

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まだ粗粗なプロトタイプ時の売上げ予測マップ

これまでのサービス運営を通して蓄積されたデータをもとに「売上予測マップ」を作成しています。これにより、ステーション需要の高い場所を先回りして特定したり、ステーション候補地の収益性試算を迅速に行い、スピード感あるサービス運営を支援しています。

解決したい課題

シェアサイクルはラストワンマイルを支える交通手段として、公益性収益性の両観点を意識したステーション設置を進めています。

公益性の観点からは自治体様と協定を結び、コミュニケーションを図りながらエリア展開を進めています。一方、民間サービスとして自立した運営を行うには収益性の見極めも非常に重要です。

例えば、ステーションを設置するとラックや看板などの設備投資がかかります。またその設置作業や維持管理にも費用がかります。そのため、闇雲に設置するのではなく、一定の収益が見込めるか、ステーションの規模をどうするか(ラックを何台設置するか)を、事前に机上判断する必要があります。

ラック設置イメージ:ZOZOマリンスタジアム前


当初はこれらを、その地に土地勘のある社員同士の対話、いわば主観・直観に依った判断をしていました。しかしサービスが拡大するにつれて、当然このような運用には限界が見えてきます…。

そこでデータチームの出番です!
幸いにもHELLO CYCLINGにはサービス開始以来の膨大なデータが眠っていました。このデータを活用して「もしこの地にステーションを設置するとどの程度の収益が見込めるか」、「ステーションの規模はどの程度が適正か」を事前予測し、客観的な意思決定の仕組みを作ろうじゃありませんか!

蓄積データの選別、特徴量の作成

まずはHELLO CYCLINGのサービスの裏側で蓄積してきた膨大なデータの中から
 ・売上と相関があるデータは何なのか
 ・どのデータを組み合わせることで予測精度を上げられるか
といった検証を繰り返します。

また、立地条件も収益性を考えるうえで重要な要素です。例えば人口統計や近隣施設情報などの地理空間情報を組み合わせることで、精度を高めることができそうです。

キャプチャ

このように様々なデータを整備・入手し試行錯誤を繰り返すこと1か月…売上予測に必要な要素(特徴量)が見えてきました。これらの特徴量を用いて機械学習を行います。過去の売上実績を教師データ(正解データ)として、売上予測モデルを構築します。

メッシュごとに数値を予測、予測値をマップ上で可視化

さて、機械学習によって「ステーション未設置エリアでも事前に売上を予測できる状態」ができました。この予測モデルを社内運用するまであと一歩です。今回のプロジェクトの目的は、ステーション設置時の客観的な意思決定の仕組みを作ることです。そのため、売上予測モデルを構築して終わりではなく、この予測モデルを気軽に直観的に使える状態を作ります。

社内で誰でも売上予測結果が見られるように、メッシュ(区画)ごとに予測値を色分けしたマップを作成しました。マップはBIツールのTableau、GISツールのQGISで見られるようにしています。

キャプチャ
メッシュと呼ばれる区画に分けて色分け

売上予測マップを図にすると、上図のようなイメージになります。実際の売上予測マップでは、メッシュごとに当該エリアでの収益予測値のMax値~Min値を確認することができます。Max値~Min値と、予測結果に幅があるのは、元々予測精度に幅があることや同じメッシュでもそのメッシュ内での立地条件によって収益性は変わるためです。

もっと使いやすい環境を!

…と、ここまで順調かに見えた売上予測マッププロジェクトですが、リリース直後から社内各所で活用された結果、早速いくつかのフィードバックをいただきました。

 ・予測精度をもっと上げて欲しい!
 ・外出先からもより簡便にマップを見たい!

いくら良いプロダクトを作った(と本人が思った)としても、実際に使う人にとって使いやすいものでなければ意味がありません。予測精度は現在もパワーアップ中です!また、より簡便な形でのマップ共有についても、地図データ共有ツールを導入することで運用改善中です(データチームでは、データ分析だけでなく社内インフラの整備も並行して進めています!)

おわりに

当社はより一層みなさまに利用され、愛される”ラストワンマイル”の交通インフラになるべく、今後もHELLO CYCLINGのエリア展開やステーション設置を進めていきます。そしてデータチームはその運営をデータ活用の観点から支え、活動しています。

当社及びデータチームの取り組みに興味を持ってくださった方は、ぜひWantedlyよりお話を聞きに来てください。積極募集中です!

◆一緒に働いてくれる仲間を募集中です!

また、本記事をお読みになって「ウチの会社が管理している用地にもステーションを設置できないか?」とお考えの方がいらしたら、まずは当社問い合わせフォームよりお問合せください。一緒に街の交通インフラを創っていきましょう!

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制作:OpenStreet株式会社 https://www.openstreet.co.jp/

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