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〈ゲーム感想〉【FE エンゲージ-邪竜の章】いろいろ詰め込めこまれたたらればワールド

心のゆとりがない世界に墜ちて

(ネタバレあり)
配信一週間経ったので今回も良いトコ悪いトコキャラクターひっくるめて語っていきます。プレイ難易度は程よいハードです。

毎度お馴染みとなった、元の歴史と違う運命を辿った世界を舞台にしたコンテンツです。作風的にはifの『泡沫の記憶』が近いでしょうか。PV時点で、そのあまりにも本編と異なる有り様に興奮されていた方も多いかと思います。配信されるまで各所で妄想が捗っていましたね。やはり悲劇は人を昂ぶらせる。

妄想ひっくるめたキャラ語りはこちら:


世界観

ソラネルの不思議な井戸の底がこの終焉のエレオス大陸と繋がっています。不思議…というかこれ飲水用の井戸じゃないんだろうな、こっちも武器とかいらん物投げ込むし。

パラレルワールドは少し違うどころか、大陸が線対称だったり方針やその人の好みが本編と正反対だったり、神竜が全滅してたり、生き残った邪竜が全然違ったりします。生き残った邪竜の子エルとイルは神竜軍の味方側につき、我らが本編の主人公は彼らの助けに応えるようにやってくるのが物語の始まりです。本編とは逆回りに大陸を渡りながら、どこかで見たような人たちが味方になっていきます。

身も蓋もない言い方をすれば本編の敵側が味方、味方側が敵といったところですね。

小悪党顔の異界スタルーク。

本編で味方だったキャラたちはみな先の戦で神竜を喪ったことを引きずっている上に、心の支えであった臣下たちすらいなくなっており、完全に心の余裕が無くなっています。

キャラによっては反転した性格のように見えますが、よくよく話を聞いてみると、王族たちは本編でもどこか共通する部分を持っており、それが悪い方に表出してしまったとも言えるかもしれません。

時として非情な道を選ぶ人の例。

この世界では七つの腕輪を巡る闘いが繰り広げられており、敵側に落ちたこれらを封印して回るのが旅の目的となります。腕輪はこれまでのDLCで配信されてきた七つ。後で気づきますが、神竜の章で「チキたちが眠っていた」という伏線がここで回収されるようになっています。その他にも本編でなんじゃそらと言いたくなった設定を所々で活用しており、本編の補完としての役目を果たせているでしょう。


テキスト

本編で目立ったテキストですが、これについては間違いなく意識されています。というより、本編のテキストとは違うんだという主張を、まざまざと見せつけられます。少なくとも首を傾げてしまうような単語は出てきません。

急にボキャブラリーが増えるじゃん。変な口調だけど。

一方で、舞台を盛り上げるためなのか、とってもポエミーな「誰か」のお気持ちの朗読が章冒頭で展開されます。これについては声優の方々の力を以てしてもあまり頭に入ってきません。雰囲気重視の文章のため文字起こしすると不自然な部分はありますね。

そんなわけで、テキストとしては普通…と言いたいところですが、実は邪竜の章にはかなり気合の入ったテキスト群があります。

それは戦闘会話。

こういうシチュで、戦わせてみたくなる顔してるんだよね。

前述の通り異界の王族たちは臣下を失ってなお、戦いを続けているので、本編の歴史から連れてきた臣下キャラ、身近な人々をぶつけるとそれまで抑えていた感情を爆発させてくれます。

本編では見られなかったその人への思いの丈がボロボロ出てきて、単純な性格反転世界ではないことを表現してくれています。

臣下じゃなくてもあるのは想像できていた。

DLCはレベル固定、役職固定のため、それまで使っていなかったユニットを引っ張り出して、わざわざ会話を見に行くプレイも可能です。攻略が難しいなら、セリカ、リン、カミラあたりを身につけて無理やり遠距離攻撃で会話を見た後にリセットすればよいでしょう。


演出

演出面も強化されています。前回の悪いトコ編でおぽのは「会話がサイドターン制」と揶揄していましたが、それがだいぶ目立たなくなっています。

それはイベントシーンの止め絵だけではなく、ちゃんとその画面に映っている人物たちが各々行動を取っていることが想像できるようになっています。

こういうイベントカットもいいですね。

余白に立たせっぱなしではなく、ただのリアクションのモーションのことを指すのでもなく、ちゃんと警戒のために武器を構えるなど、その場にあった動きをとっていると言ってもいいでしょう。

また、ゲーム内容に設定を落とし込んでるのも良演出です。異界の王族たちのあまりの変わりっぷりにステータス画面を覗いてしまった方は多いかと思います。ポーズも違う、スキルも違う、クラスもなんか変…個人スキルは名前が違うのに効果が全く同じものなのが、本人の本質を捉えているような印象を受けます。

飛行、竜、あっ…

そしてよくよく見ると…その後きちんと明かされるのですが、異形特効をバッチリ受けるステータスになっています。設定を無為に扱わず、ゲーム部分に反映しているのは本編と変わらずエンゲージの優れている点だと思います。

これを皮切りに徐々にすべてが明らかにされていきますが、この世界に生きているのはイルエルと四翼だけという事実が待っています。これは虚無のスキルより虚無。異界のエレオスは、邪竜による邪竜のためのおもちゃ箱のような状態です。

非常に惜しいなという点は、本編の終盤でも見られた、帳尻合わせのような怒涛の説明回です。限られた章数で話を畳もうとすると、どうしても出したい部分を列挙して、片っ端から片付けていく必要があります。その影響で会話が説明臭くなっていくのです。


ゲーム性

事前に公式から言われていた通り邪竜の章の難易度は高めです。これは間違いありません。ただ、本編のような面白い難しさはあるものの、ステージによっては若干の面倒臭さを感じてしまいました。

ステータス、役職、使える武器が固定された代わりに、先程も書きましたがこれまで使ってこなかったユニットもしっかり戦わせられるのは良い点です。

すべてのステージがほぼほぼ総力戦となり戦力に遊びがないのも良い点です。

何人か落ちても大丈夫だよ!ってアナウンス。

しかし、いえだからこそ、ターン制限は面倒くさい。5章、6章はとくに実質ターン制限のような設定がされており場合によっては無理攻めを強いられるため、プレイヤーは結構な頻度で取捨選択を迫られます。そして6章ではその取捨選択に、仲間までもが含まれます。何度でも遊べる設定の性質上、ユニットロストはないですが「戦力が減る≒余裕が無くなる」なので、味方切りは基本的に下策です。ちなみに無理攻めが中策、かんじんの上策は申し上げるまでもありますまい。


キャラクター

惜しい点をひと言。

どのタイミングで邪竜の章をやればいいんですか…。

今回のクリア報酬は新規キャラクター5名と新規クラス2種類。ただし加入時のレベルは特殊職20だの上級職Lv1だのゲームクリア時点だと低すぎて、途中でやるには欲しい指輪が揃っていないことがありますよね。

レベル的に良さそうな10章前で6つ揃っていますがルキナ~エイリークまでが使えず、16章クリア後ではマルス~リーフが使えないちょうどいい位置を狙おうとすると今度はレベルが高すぎたり…。

4人勢揃いのカットは四狗にもあったのでスタッフの推しはこの人たちという説。

せっかく仲間になったのに扱いづらいのが難点です。そっくりさんと戦わせたくてもクリアしてるなんてことはざらでしょう。ここはとっても惜しい。せめてエンドコンテンツがあれば…。


あまりにも語ることを凝縮しているせいで長くなってまいりましたので、キャラ語りについてはまた別の機会に。

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