WBPCの評価委員会で随意契約の議論はあったか?

Ⅰ 随契の手続きと事業者評価委員会

東京都では随意契約にあたり、合議制の委員会により随契の必要性等を吟味する等の内規が定められている。

財務局では合議制の委員会において特命随意契約の必要性、特命理由が基準に沿ったものであるかをよく吟味した上で採用の可否を判断するよう各局に通知している。特命随意契約を行った場合は件名、相手方、契約金額の他、当該事業者を採用した特命理由などを明らかにした見積経過調書を作成し東京都電子調達システム等で公表することとして透明性の確保を図っている。

3月15日 東京都議会財政委員会答弁

若年被害女性支援事業のWBPCへの随意契約を行った福祉保健局は、受託事業者評価委員会で適格との判断をもって当該手続きを踏んだと主張しているようである。

令和4年度については、外部有識者を入れた受託事業者評価委員会におい て、本事業の目的及び期待される効果を十分に理解して事業を実施している か、団体の強み・特徴等を活かして支援を行っているか、行政の各支援機関 等と連携協力しながら実施しているか、などの観点から、4団体について、 事業の履行状況及び適格性を審議し、受託事業者として適格と判断した。

WBPC契約監査結果の福祉保健局見解

しかしながら、事業者評価委員会では次年度契約に関する評価は目的としておらず、評価項目も当該年度の履行状況に関するものしかないの前回の記事での指摘のとおりである。

Ⅱ 事業者評価委員会に関する開示請求

事業者評価委員会で都の内規が求める「随契の必要性等の吟味」が行われた形跡がないことから、開示請求を行った。

(1)2種類の開示請求とその結果

具体な随契の記述がなく総体(雰囲気)として「随契の必要性等を吟味した」と福祉保健局が解釈し既往の資料を再度開示する可能性があったことから、より具体的に「随意契約の単語を使用した資料」も合わせて請求することとした。なお、都議会答弁等より「適格性」の単語の拡大解釈の危険があったため対象外とすることを明示した。

開示請求内容と結果

「随契」「随意契約」という単語を使用した資料はなく、既に判明している評価結果資料をもって「随契の必要性等に関する吟味を実施した」との開示結果となった。

(2)「随契」の用語を使わず随契の議論は可能か?

随意契約(随契)は国及び地方自治体の調達に関する法律で使用された用語であり同義語も存在しない。役所の発注事務に携わった経験がある人であれば「随意契約(随契)」という用語を使用せずに随契理由等を議論することは極めて難しいことはわかると思う。
福祉保健局は平成30年から5回の団体選定や契約手続きを行っているが、契約締結の起案文書、選定委員会、評価委員会の資料に一度たりとも「随意契約」との用語を使用していない。意図して使用しなかったとしか考えにくく、やはり「公法上の契約(類する契約を含む)」を随契とは別の契約と捉えていたのではなかろうか。

(3)令和3年度の評価委員会は議事録さえ作成してない

令和3年度の評価委員会の議事録は「白塗り弁当」さえなかった。議事録自体が存在しないと思われる。杜撰すぎる。

非開示文書

「随契の必要性等を吟味した」とする開示資料


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