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ホーンテッドマンションとゴシック:ゴシック文学のすゝめ

「私たちはゴシック的な時代に生きている」

アンジェラ・カーター

※この記事はシリーズものです。

ホーンテッドマンションの建築についてはかつて記事や動画にしたことがあるので、そちらを参照願いたい。


今日はゴシックの概念の根幹をなす「ゴシック文学」について紹介いたそう。

ゴシック文学は、18世紀末から19世紀初頭にかけて、特にイギリスで発展した文学のジャンルである

ゴシック文学の主要な要素


ヨハン・ハインリヒ・フュースリー『夢魔』(1781)はゴシックロマン主義絵画の傑作


悪夢的な場所

ゴシック文学の作品は、古い城、修道院、荒れ果てた館など、不気味で不安を感じさせる場所が舞台となることが多い。
これらの場所は物語の雰囲気を強調し、登場人物や読者に恐怖を与える。

超自然的な要素
ゴシック文学では、幽霊、吸血鬼、呪われた物体、生ける屍などの超自然的な要素が頻繁に登場する。これらの要素は、不可解な出来事や奇怪な現象の説明として使用され、作品に神秘性をもたらす。

ヒロインと悪役
ゴシック文学の作品には、しばしば弱いヒロインと邪悪な悪役が登場する。ヒロインはしばしば無力で抑圧された存在であり、悪役は彼女に対する脅威を象徴する。ヒロインが恐怖や危険に立ち向かう姿勢が描かれることもある。

恐怖と不安
ゴシック文学は、読者に恐怖や不安を与えることを主な目的とする。物語は不気味な出来事や予測不可能な展開で満ちており、読者の想像力を刺激する。

これらの要素はホーンテッドマンションの雰囲気を説明するのに容易い。

代表的なゴシック作品

ゴシック小説の元祖 ホレス・ウォルポール「オトラント城奇譚」(1764)


「オトラント城奇譚」は、1764年にイギリスの作家ホレス・ウォルポールによって執筆された。
この作品は、ゴシック文学の元祖であり、そのジャンルの初期の作品の一つである。

ホレス・ウォルポールは裕福な生まれで、当時の英国紳士の教養の一つであったグランドツアー(教養の総仕上げとして行うイタリアへの旅行)にも参加している。


この男、ゴシックロマン趣味への愛が昂じて「ストロベリー・ヒル・ハウス」という自分好みのゴシック邸宅を何十年もかけて建ててしまったというから驚きだ、、、。

物語は16世紀のイタリア、オトラント城を舞台に展開され、宮廷陰謀、秘密、不可思議な予言、超自然現象などが物語を特徴づけている。読者を不気味で恐ろしい世界に引き込む。

「オトラント城奇譚」は、当時の恐怖と驚異の要素をうまく組み合わせ、読者に恐怖感や緊張感の渦に引き込む。
また、怪物、幽霊、秘密の地下室など、ゴシック文学の特徴的な要素が数多く含まれている。

この作品は初版から大きな成功を収め、多くの模倣作品や影響を与え、ゴシック文学の進化に大きく寄与した。その独自のスタイルとテーマ性から、今日でも高い文学的評価を受けている。

「オトラント城奇譚」は、ゴシック文学のパイオニアとして、恐怖、不気味さ、超自然的要素を巧みに組み合わせた作品であり、ゴシック文学愛好者にとっては永遠の名作だ。

アラビアンゴシックという斬新さ ウィリアム・トマス・ベックフォード「ヴァテック」(1786)


オリエンタリズムとゴシック
という当時の知識人の関心ごとを属性てんこ盛りにしたのが「ヴァテック」だ。

この小説は、アラビアンナイトの物語やオリエンタリズムの影響を受けており、エジプト、アラビア、そしてインドの伝説や風景に触発された。作品は、架空の東洋の王国「サマルカンド」を舞台に、権力と野心、道徳的堕落などのテーマを探求している。

あらすじ

主人公ヴァテックは、サマルカンドのカリフである。彼は非常に野心的で、力と富を追求し、あらゆる手段を使ってその目的を達成しようとする。彼は魔法使いに協力し、さまざまな秘術を学び、不死の力を求める冒険に身を投じる。
ヴァテックと彼の部下は、奇怪な場所や危険な冒険に挑み、最終的に「堕落の丘」と呼ばれる場所に到達する。この場所で、ヴァテックは魔法の秘密を知り、不死の力を手に入れることを決意する。
しかし、彼の欲望と堕落が極限に達すると、最終的には不死の力が呪いとなり、彼の運命は転落する。物語は道徳的な教訓として終わり、ヴァテックの野心と欲望が彼自身を破滅に導く過程が描かれる。

影響と評価
「ヴァテック」は当時大きな注目を浴び、ゴシック文学における重要な作品の一つとされている。エキゾチックな舞台設定、不吉な出来事、道徳的な教訓など、ゴシック文学の典型的な要素が含まれている。また、オリエンタリズムの影響も受けており、東洋の神秘さと異国情緒を魅力的に描写している。
「ヴァテック」は、ゴシック文学の初期の作品として、後のゴシック小説家たちに多大な影響を与えた。特に、アン・ラドクリフの「ユドルフォ城の怪奇」など、ゴシック文学の先駆的な作品に影響を与えたとされている。


オリエンタリズムとゴシックの系譜は「タワー・オブ・テラー」にも引き継がれている。

メアリー・シェリー「フランケンシュタイン」(1818年)



言わずと知れた超名作。
サイエンスフィクションとゴシックの要素を組み合わせた作品で、人造人間の怪物が登場する。
「フランケンシュタイン」という名をこの怪物の名と勘違いされることも多いが、この名は怪物を想像したフランケンシュタイン博士のものだ。

ゴシック文学とメアリー・シェリー:
• 「フランケンシュタイン」はゴシック文学の代表的な作品であり、恐怖、不気味さ、人間の野心、科学の倫理、孤独な存在など、多くのゴシック要素が含まれている。
• この小説は、主人公ヴィクター・フランケンシュタインが死者の部品から生み出した人造の怪物が、次第に制御を失い、恐ろしい出来事を引き起こす物語である。この作品は人間の傲慢さや科学の限界についての深い考察を提供している。
ゴシック文学の至宝であり、科学とヒューマニズム、道徳と人間性についての洞察を通じて、永遠に読まれ続ける文学の名作となっている。

エドガー・アラン・ポーの「アッシャー家の崩壊」(1839)



個人的に特にホーンテッドマンションに影響を与えていると思うのがポーだ。

あらすじ
物語は、名前のない語り手が、久しぶりに連絡を受け取った幼なじみであるロデリック・アッシャーの家を訪れることから始まる。アッシャー家は古び、荒れ果てていたが、その美しさと不気味さが同居していた。

ロデリック・アッシャー自身が体調を崩し、精神的にも不安定な状態にあった。アッシャー家は家族の血統が絶えつつあり、家と家族の運命が不吉な未来を予感させた。

物語は語り手がアッシャー家に到着し、ロデリックの奇怪な行動や幻覚、そして家の不気味な雰囲気に驚かされる様子を描いていく。。。

アメリカの作家であるポーはアメリカンゴシックの文化の形成に一役買っているひとりだ。

朽ち果てた不気味な屋敷の様子や、かつては栄華を誇った屋敷が人を狂わせ一族を悲惨な末路へ導く、という設定はホーンテッドマンションのコンセプトにも多く通ずる部分がある。

まとめ

ゴシック文学は、恐怖やロマンス、不気味さといった要素を組み合わせて、読者に強烈な印象を残す作品を生み出した。

また、後の文学や映画にも影響を与え、今日でもその影響が感じられる。

みなさんも読書の秋にはゴシック文学に触れてみてはいかがだろうか?

Reference



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