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俺は変われるのか【舌癌編】19

※この病院食は、去年の春に喉頭浮腫で入院した時のもの。喉の病気なのにフライ物って…

ここから本編

自宅に入ると「自宅の匂い」がする。

しかし、久々の自宅。

その匂いは、何だか他人の家の匂いに感じた。

職場復帰は1ヶ月後。

その間、私は家事全般をした。

私が入院していた期間、妻は一人で家を守ってくれたのだ。
少しでも恩返しをしなくては。

家事の中で、子供を保育園に連れていくという主要任務がある。

自転車の後部に子供を乗せペダルを漕ぎ始めた。 
因みに、退院して初めての自転車だった。

ん?

漕ぎ始めた瞬間、身体中が笑い始めた。

特に脚はガタガタと震え出し、肺がスグに苦しくなり、大した距離を漕いでいないが息切れしそうになった。

2ヶ月間の入院は、思いの外、体力を落としてしまっていたようだった。

そんな現実に落胆しながら、しかしその現実を受け入れたくなかったので、私は自分を偽って平然とした表情を作り、土手の坂道を立ち漕ぎした。

酷く落ちた体力…

偽りの平静顔…

そんな受け入れ難い現実が、辛さを通り越して面白おかしくなった。

笑うしかない。

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