英語の日常会話とは(実はハイレベル?)

英語の「日常会話」ってなんだろう。普段おしゃべりするような他愛もない会話ができるレベル?

「お元気ですか?」「今日は何をしたの?」「旅行に行ってきました」「休日はアウトドアでアクティブに過ごします」英会話の初級クラスでは、このような会話の練習から始まる。

いわゆる「日常会話レベルです」というのは、簡単な自己紹介や旅先での会話(ショッピングやホテルのチェックイン、道を尋ねるなど)であり、日本語が通じない場所でも、かろうじて生きていけるレベルだろうと思う。

「日常会話」を誰とするのかにもよる。日本語が片言でもわかる英語のネイティブ、日本語が通じないネイティブ、日本語はわからないけれど英語を第二言語とする外国人などなど。英語での会話が必要となるシチュエーションは様々だ。

一番難しいのは、ネイティブ同士の「日常会話」に混じって話すこと。一対一の会話であれば、彼らは私の英語レベルに合わせて言葉を選び、スピードを調整し、そしてジョークを言わない。

ネイティブといっても地方の訛りはあるし、話すスピードも早い。それに慣れたとしても完全に会話を理解すること、もっと言えば笑いを共有することは非常に難しい。友達ができて、わきあいあいと話ができて、心が通じ合ったように感じても、突然やってくるあのジョークは理解しがたい。直訳で言っていることがわかっても、意味がさっぱりわからないのだ。

そしてまた気づく。彼らは、私と話すときには言葉と内容を選んでいるのだと。彼らの心遣いに感謝の気持ちでいっぱいになるが、時折寂しくもなる。彼らの全力の笑いについていけない、全力の笑いを出し切ってくれないことに。それでも心は通い、共通の楽しい話題もあることには違いないけれど。

だから、冒頭の会話例のような近況報告をした後に、仕事の話をするビジネス会話のほうが簡単なのかもしれない。リスニング、リーディング、スピーキング、ライティングの全てにおいて高度な英語力を求められるが、突拍子もないトピックに戸惑うことは少ないだろう。

昔読んだ英語関連の本に、「日本人は共通のバックグラウンドをたくさん持っているから言葉にしなくても通じる。アメリカには移民が多く、様々なバックグラウンドを持っているから、はっきりと言葉にしないと伝わらない」と書いてあった。そのとおり、と思うことはある。

ただし、アメリカ人にも、どこの国の人にも、それぞれの共通のバックグランドはあるのだ。コンテキストともいう。歴史や宗教など普遍的なこともあるだろう。しかし、流行語や映画やテレビのトレンドなど、彼らが共通としてもっているものは日々更新されていて、「英語の勉強」をどんなにしても決して追いつくことはできない。

英語は目的ではなくコミュニケーションの手段。そう割り切って英語を学び、ビジネスライクな当たり障りのない英語を使えることを目標として、こちらに合わせてくれるネイティブには感謝をし、非ネイティブ以外との会話では「英語」という共通語を取得したことに喜びを感じて生きていく。

そして、ネイティブの友人ができたときに少し寂しい思いをしながら「そのジョークどういう意味?」と尋ねて、その度に喜んで説明してくれる友人の優しさに、また感謝をするのだ。

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