羽田空港での話

羽田空港の国際線。リムジンバスから降りて、エレベーターで3階の出発ロビーに向かう。私は大小のスーツケースを二つ、外国人の夫婦がカートにスーツケースを載せてエレベーターを待つ。大荷物だ。もちろん、2階の到着ロビーに向かう人もいる。空港ではよくある、乗る側と降りる側のドアが異なるエレベーターでのこと。

エレベーターが到着して乗り込もうとすると、日本人の男性が前にぴょこっと飛び出して先にエレベーターに乗ろうとした。

外国人夫婦が英語で、「並んでるんだから、後ろに行きなさい」と言って、男性よりも先に乗り込んだ。私は一番前に並んでいたので、先に乗り込んだ。

その男性、人を押しのけて無理やり前に移動してきた。どうやら2階で降りるらしい。割り込んだ後に、「2階だから、前だから」というようなことを片言英語の日本語で言って、一同納得。

その後男性は、「あんなこと言われて気分悪いなぁ」と日本語で言った。

後ろに並べと言われたことに腹を立てているらしい。日本語だから、外国人夫婦は理解できないと思ったのか、聞こえるように数回言っていた。

そんなとき、言葉はわからなくても雰囲気はわかるものである。

「わかった、わかったから、(早く)行けよ」というように外国人夫婦も言っていた。

彼の行いは、ただの割り込みである。乗り込む前に、2階だから先に行かせてくれと、日本語でも英語でもいいから言うべきであった。どうしても、日本語しか話せないのであれば、私を含め、誰かがフォローしたはずである。

2階で降りるから、前に乗るというのは一見正しい行いに思えるが、満員で乗れない人がいたとしたら、本当に単なる割り込みでしかない。

気分が悪くなったのはこっちである。たったの一言の「すみません」「2階で降ります」も言えないような英語教育しか受けていないのか。普段から無言で割り込むのか。日本人が相手でも同じことをするのか。言葉はツール、コミュニケーションはアイコンタクトや声のトーン、ジェスチャーでとれるのだから。

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