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「レス」に悩む既婚男子に、ちょっと同情した話

毎度私の婚活や友人(女子)の婚活について綴ってきたけれど、今日は番外編で、既婚男子の話。

以前働いていた会社の元同僚のAは、中途入社で入ってきた同い年の男子。共通の知り合いも複数名いて、趣味も同じ。退職後には敬語の壁もなくなり、数少ない私の「男友達」となった。

Aは25歳の時、大学時代から付き合っていた彼女と結婚した。その年に子どもも生まれて、マイホームも購入。一緒に働いていた頃は毎日早く帰っていて、休日に子どもを連れて遊んでいるところに会ったことも何度かある。
私からすれば「うまく生きてるな」って感じで、幸せな人生を送っているように見えてならなかった。

Aとは共通の趣味がある。
元同僚というのもあって、喋る時間も多く、たまにご飯を一緒に食べたりもして、私の婚活ネタや過去の残念な経験を話すこともあった。私は自虐的に面白おかしく話していたけれど、それがAにはAの受け止め方があった。

「いいなぁ〜。俺はもう、そういう恋愛ってたぶん一生ないんだよ」

こちらからすれば『何言ってんだ、嫌味かよ』と思ったけど、Aにとっては結構それが深刻だったようだ。

「はっきり言うけど、うちはもう完全にセックスレスなの。
俺は男として誰からも見られないと思うのも悲しいし、このままなのかと思うと絶望にも近い気分になる」

幸せな結婚生活を送っているはずのAから、まさかの赤裸々な告白。私は思わず言葉を失う。

「結婚は絶対ゴールじゃないからね。妊娠も、出産も同じ。それが幸せとも限らないし、ゴールじゃない。だからそんな焦らなくていいし、肩身の狭い思いをしなくていいと思うよ」

自分でも何度唱えたかわからない「結婚=幸せじゃない論」が、こんな形で他人から説かれるとは…。なんか、でも、私が強がりで言うそれとは絶対的に違う。
Aはたぶん離婚するつもりもないから、絶望するしかないのだろう。

「俺、実はちょっと前まで不倫してて。相手がちょっと本気になっちゃって、まずいと思って離れたんだ」

Aは真面目だし、忍耐力があって、人となりが丁寧。何か頼んだり、任せるときもAなら安心して委ねられる。そんなAが、、色々衝撃で私のくだらない失恋話からこんな重大な秘密を引っ張り出してしまった。

「奥さんは本当に気を使わなくていい人で、一緒にいて楽だし、なんとなく勢いで結婚しちゃったところもあるけど、今思えば、もうちょっとゆっくり結婚してもよかったなって思っちゃうんだよね」

驚きの連鎖で私は唖然とする。
真面目ゆえの悩みなのか、セックスがないからなのか。立場も性格も、Aとはいろいろ違いすぎるから、Aの思うことは到底私には理解できないだろう。
でも、彼の悩みはもしかしたら、私の結婚できない悩みよりも出口が遠いのかもしれない。

好きか嫌いかは脳の問題だから。
なんで好きになれなくなっちゃったのかと聞かれても分からない。
でも、Aも奥さんも、たぶんもうどうにも気持ちが向かなくて、できなくなってしまった。

それでも、子どもや社会があるから、継続していく。
それって結構しんどい。

人間として欠陥でもあるように言われてしまう「結婚できない行き遅れのアラサー」も辛い。でもモチベーションを失ったパートナーとあと何十年も一緒に生きなければいけないのも辛い。

なんの力にもなれなくてごめんと思いつつ、この日は返す言葉がなかった。
Aは「帰るのもユーウツ」と自嘲気味に言いながら、反対方向にある私の家まで車で送って、わざと遠回りをして帰っていった。

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