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独身女の「家持ってる」は、抵抗になるか

同棲していた彼氏に振られたM子が家探しをし、わたしより一足早く婚活をしていたK子がついにPairsで彼氏をゲットし、元同僚のY子と新しい仕事の作戦会議した週末。私はM子と共通の友人であるR美の家にいった。

R美は派遣社員だ。やりたいことがあって、でも不安定だから派遣。でもその派遣先は世界でも名だたる有名外資企業。仕事は社員と区別がほとんどないし、たぶん社員になろうとすればなれる。

R美は家族の事情でイギリス育ち。頭が良くて英語もペラペラだし、アートの勉強をしてセンスも抜群だ。それなのに人当たりが優しくて、すごく素直なので、私みたいな拗らせ女もハイスペ女子ながら心置きなく付き合える。

長いこと付き合った彼氏は個性的なイギリス人だった。器用だけど仕事も風来坊で、人生観が合わなくて、R美の家族の意向もあり別れた。R美は彼とも家族とも一緒にいたかったけど、彼との人生にはそんな絵面がなかった。

R美はそれから多少の恋もしたけど、結局うまくいっていない。

「私、社員になったらローン組んで家買おうかな」

唐突にR美が言うので、びっくりした。私は財力もないし、結婚ありきで定住の地を考えようとしていたのに、それをさらっと相手もいないのに買っちゃうというのだから。

M子は「それって、男が引いちゃうんじゃないの」と。

R美はセンスがいいから、きっと古民家の改装とかすごく素敵にできると思う。料理もうまいし、オープンな性格だからゲストハウスみたいにするのもきっとできるはず。

不便なところに住むのも不得意ではないし、アリなのかなーと内心私は思った。しかしM子はそうではなかった。「いやいや、家持ってるって言われたらそれだけで引いちゃう男いるよ」と。

経済的な自立はアドバンテージじゃないの?

経済事情が理由の1つで結婚できなかった私からすれば、「え、貯金がなくてもダメで、家持っててもダメなのかい」と言いたかった。そんなに男は微妙なゾーンしかウケないのかと。

一緒に住んで欲しいなんて言わないのに、誰かに貸してもいいし、売ったっていい。どうせ家賃を払い続けるなら、好きな土地の、好きな家を、好きなようにカスタマイズして、暮らしたっていいのに。狩猟から稲作へシフトする頃の人たちはこんな気持ちだったのだろうか。

話が少々ズレてしまったが、婚活は難しい。好きな仕事をしてフリーランスになれば安定を求める人から敬遠されるし、好きな家を買ったら自分より「経済力がある」みたいになってプライドを傷つける。

なんで、、なるべくウケるように好きなことを我慢する必要があるのかと思う反面、チャンスロスをそうやってきちゃったのも事実だ。

結局R美は「そもそも、まだ派遣だから夢のまた夢だけどさ」と言った。でも、R美の描いた「ローンで買うゲストハウス」には、たぶんイギリス人の元彼が付随していた。

本当は彼と二人で生きる道を探してるんじゃないの?と思いつつ、翌日は別の男とデートに向かうR美。幸せならそれでいいけど、本当は自分が一番、どうしたいかわかってるような気がして複雑な気持ちになった。


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