退職して分かった、会社員とは違うお金回りのあれこれ

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私は、個人事業主です。
数年前に、新卒入社した会社を20余年勤めて辞めました。
「退職する」ということが私にとって人生初の経験でした。
さて、辞めると決めて心配になるのが辞めたあとのことです。これは収入のことではありません。

「年金はどうするのだろう?」「私の税金は?」「社会から隔離されちゃうの?」ともやもやした不安が襲ってきます。
そこで、今回は会社員を辞めたあとのお金周りのことをまとめました。
会社員をリタイアしたいひとはしっかり読みましょう。


会社員⇒個人事業主になる

退職後、私は自分で事業をしていくと決めていたので、個人事業主として開業しました。ここに迷いはありませんでした。

しかし、会社員を辞めると所属先がなくなります。いままでは学校とか会社に私のアドレスがあって、居場所があって、所属している団体が仲間意識のような見えないバリアでいつもわたしを守ってくれていました。それがなくなるのはけっこう心細いものなのだな、と改めて感じました。

そして収入がどうこうということより、日本の社会に敷かれた制度やしくみとかに不安を感じていました。

そこで、退職に際して初めて経験した、お金周りの手続きについてまとめてみました。退職後の進路を、
 1:転職する
 2:自営業をはじめる
 3:1と2共通のこと
の3つに分けて説明します。

退職すると、仕事が変わる、働き方が変わるということだけではなく、自分の「お金周り」が変化するのです。

ケース1:転職する場合


【健康保険】
転職先の健康保険に加入します。

【年金】
厚生年金のまま、転職先に切り替えます。

いずれも次の職場へ持ち越して切り替えます。辞める会社での手続きが必要ですので双方の会社に確認しておきましょう。

ケース2:自営業となる場合


【健康保険】
健康保険は、会社の健康保険に加入していましたので、これを会社の健康保険組合に返却して、国民健康保険に切り替えます。

健康保険料は、前年の収入に比例して金額が決定しますので、退職した翌年に掛かってくる健康保険料は驚くような額でした。
退職が会社都合に起因する場合は、所得が減少するということで健康保険料がぐっと下がることがありますのでこの場合は市町村に問い合わせてみましょう。

健康保険は、退職する会社の健康保険組合に2年を期限に加入し続けることができます。手続きは退職する会社に従います。

【年金】
厚生年金から、国民年金へ切り替えることになります。国民年金保険料は、市町村の窓口で切り替えの手続きをします。金額は国で決定され金額は変動しますが、令和4年度で月額16,590円です。

4月に納付通知書が届きます。支払い回数を、毎月支払いとするほかに、6ヶ月分、1年分、2年分をまとめて前納することもできます。

前納制度を利用すると月々納付するよりも納付額が少しだけ割引されます。
平成30年と平成31年の2年分を前納した場合、口座振替なら、月々支払う場合に比べて2年分で15,650円の割引となりますのでお勧めです。クレジット引落としでは14,420円の割引となります。
私は国民年金保険料の納付はクレジットカード決済で2年前納を選択しています。クレジットカードにポイントが付くからです。

年金の支払い方法には以下の3つがあります。

1) 口座振替
国民年金支払い口座振替書に記入して申し込むと、口座引き落としで支払えます。割引率が一番高いので、おすすめです。申込み書類は金融機関や市区町村の年金窓口にあります。

2) 納付書での支払い
金融機関やコンビニで支払いできます。ペイジーでの支払いも可能ですのでスマホで手続き出来ます。

3) クレジットカード
国民年金クレジットカード納付申出書に記入して申し込みます。市区町村の年金窓口に書類があります。クレジットカードで2年、1年、6ヶ月の期間の前納ができます。

ケース3:転職でも自営でも共有

【退職金】
退職金は、1月始まり12月までを1年としたその年の所得になりますので、退職金には課税されて、所得税を払わなければいけません。
退職する会社が予め対応してくれて、退職金から所得税額を差し引いて振込んでくれる場合がありますが、会社の対応がない場合は、自分で確定申告をして納税することになります。
退職する前に会社が対応してくれるのか、自分で手続きするのかを辞める前に会社に確認しておきましょう。

【住民税】
住民税は前年度の所得によって金額が決定します。ですので、退職した次の年に納税通知書が届き、会社員時代の収入に対してかかる住民税を払うことになります。
税金を払えるように心とおかねの準備が必要です。住民税の額は、課税所得の5%です。

【財形貯蓄】
社内で財形貯蓄制度があれば、転職先に持ち越せるのかを確認しましょう。転職ではない場合は、解約の手続きをします。

【企業年金】
私が退職した会社では、企業型確定拠出年金制度がありましたので、これを個人型確定拠出年金へ切り替えました。
退職後6ケ月以内に切替え手続きを完了しないと、積み立ててきた年金資産は国民年金基金連合会に自動的に移換されてしまいます。

<確定拠出年金法第83条>
厚生労働省HP http://www.mhlw.go.jp/topics/0106/tp0628-4.html#chapt4

期限切れで自動移換されてしまうと、無利息の現金の状態で管理されて運用の指図ができないので、年金を殖やしていくことができません。それでも、管理手数料は差し引かれてしまいます。
また、自動移換中は老齢給付金を受けるための加入者期間に算入されないため、受給開始の時期が遅くなる可能性があります。
デメリットが大きいので、手続きは期限内に終えるようにしましょう。


個人年金を企業型⇒個人型に切り替える手続きですが、まずは個人型確定拠出年金を運用していく金融機関の選定をします。
私は、いくつかの金融機関から資料を取り寄せて、そのうち数社に電話で内容の問い合わせをしました。管理に係る手数料やどれほどメニューを用意しているかに差があります。数社、比較して決めていくと良いでしょう。

個人事業主は、税金も年金も健康保険も管理は自分で


退職に際しては、やらなければいけない手続きがあり、辞めた後も、あれこれと忙しかった記憶があります。

辞めた翌年に、国民年金保険料を1年分まとめて納付するという手続きをしていたことを失念しており、1年分の納付通知書が届いて驚きました。

同時期に固定資産税の納付通知も届いて、予定外の支出が続きました。4月末(現金振込は5月初日)に、ある程度まとまった金額が必要になるということを、しっかりと覚えておく必要があります。

まとめ

・会社員をリタイアしたら、年金と健康保険と税金は自分で対応
・国民年金は2年まとめて前納するとちょっとお得
・税金は、自分で確定申告して、納税する

独立して感じたことは、会社員の時よりもお金に関する自己管理が必要になるということです。会社員のように企業が代行してくれません。
自営業を目指す方は、気を引き締めて対応していきましょう。


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