見出し画像

半導体について 〜設計から製造までのプロセス〜 ⑤ウェハー製造編

どうも、おらうです!
今回は半導体 ⑤ウェハー製造編についてまとめました。
*本記事は全て無料でお読みいただけますので、ご安心ください☺️

本作はシリーズ物となり、以下は前回分となります。
半導体への理解が進むかと思いますので、こちらもご活用ください😄

半導体について 〜設計から製造までのプロセス〜
①設計編
②シュミレーション③プロトタイピング編
④フォトマスク作成


⑤ウェハー製造

ウェハーとは?

半導体で使用されるウェハーとは、主にシリコンなどから作られる薄い円盤状の基板のことです。
ウェハーは半導体の製造において、複数の電子回路が形成される基板となり、ウェハー上に微細な回路が構築され、その後個々のチップに切り分けられることで、コンピュータのCPUやメモリ、スマートフォンのセンサーなど、様々な電子デバイスになります。

複数の電子回路が形成される基板(ウェハー)のイメージ

画像のようなイメージで、ウェハー上に複数の半導体回路が形成されるんですね🧐

主な原料シリコンです。
シリコンは地球の地殻に豊富に存在する元素で、砂や石英として自然界に見られます。
その半導体特性、豊富な量、比較的安価であることから、半導体デバイスの製造において最も広く使用されている材料です。
また、シリコン以外にも、ガリウムアーセナイド(GaAs)、インジウムリン(InP)、ゲルマニウム(Ge)など、特定の応用に適した特性を持つ他の材料から作られるウェハーも存在します。
これらの材料は、シリコンに比べて使用される頻度は少ないものの、高周波アプリケーションや特定の光電子デバイスなど、特定の技術的要求に対応するために選ばれます。

ウェハーは例えるなら、絵を描く『キャンバス』のようなものですね☺️

上がステンシル(フォトマスク)で、その下にキャンバス(ウェハー)


重要性

ウェハーの品質は、最終的な半導体デバイスの性能や信頼性に直接影響を及ぼします。
ウェハー上の微細な不純物や欠陥は、製造される半導体デバイスの性能低下や故障の原因になり得るため、ウェハーの純度や品質管理が非常に重要です。
そのため、高品質なウェハーの製造は、高性能で信頼性の高い半導体製品を市場に提供する上で極めて重要です。

上の画像のように、キャンバス(ウェハー)に描かれた綺麗な海の絵(電子回路)も、黒点(ウェハー上の微細な不純物や欠陥)のせいで、一部が台無しに😑

イメージいただけたでしょうか🧐?
ウェハーの品質が悪ければ、ウェハー上に複数の電子回路を描いても、画像の黒点のような欠陥により、一部の電子回路が台無しになってしまうんですね。
ウェハーに描いた電子回路の一部が使えないということは、最終製品である半導体の歩留まり(生産効率)が悪化してしまうんですね🧐

ウェハーの重要性やその品質による影響への理解が深まれば幸いです☺️


ウェハーの製造手順

①原材料の精製
自然界に存在するシリコンを取り出し、化学的な処理を通じて不純物を取り除きます。
この過程で、シリコンは極めて高い純度(99.9999%以上)に精製され、半導体製造に適した材料となります。
精製されたシリコンは、その後の単結晶成長プロセスのための出発点となります。

②単結晶の成長
Czochralski法(CZ法)やフロートゾーン法(FZ法)などの方法を用いて、精製されたシリコンを溶かし、徐々に冷却させながら、完全な結晶構造を持つ単結晶シリコンインゴットに成長させます。
この単結晶インゴットは、後の工程でウェハーに切断される前の形状で、高品質のウェハーを生産する基盤となります。

③インゴットの切断
成長させた単結晶シリコンインゴットを、ダイヤモンドワイヤーソーや内部応力を利用した方法で、目的の厚さに薄く切断します。
この工程では、ウェハーの厚さや平坦性が重要な品質指標となります。
切断されたウェハーは、半導体デバイスの製造プロセスへと進む準備が整います。

④表面処理
ウェハーの表面に残る微細な傷や不純物を除去するために、化学的または物理的な手法で研磨が行われます。
この研磨プロセスにより、ウェハーの表面は滑らかになり、後続の微細加工工程での欠陥の発生を最小限に抑えることが可能になります。

⑤検査
製造されたウェハーは、サイズ、厚さ、平坦性、表面状態、不純物の濃度など、さまざまな物理的および化学的特性に関して厳密に検査されます。
この検査プロセスを通じて、ウェハーが次の製造ステップ、つまり半導体デバイスの製造工程に進むための基準を満たしていることを確認し、高品質なウェハーのみが半導体デバイスの製造工程に送られます。

『ケーキ作り』に例えると、
まず最高品質の原材料を精製し(精製)、それを使って均一な生地を作り、ゆっくりと焼き上げます(単結晶の成長)
次に、焼き上がったケーキを均等にスライスにカット(インゴットの切断)し、各スライスの表面を綺麗に仕上げてデコレーション(表面処理)を行います。
最後に、デコレーションが施された各スライスがきちんと均一かつ高品質であるかチェック(検査)します。

理解が深まれば幸いです☺️


市場規模

2023年、世界の半導体ウェハー市場規模は213億1300万ドル(3兆1700億円)であり、2033年までに年平均成長率(CAGR)5.6%で成長し、367億5200万ドル(5兆5100億円)に達すると予測されています。
成長を後押しする主要な産業には、消費者向け電子製品、自動車、医療があり、アメリカと中国で市場の拡大が見込まれています。
(参照元:Future Insights)


代表的な企業

①信越化学工業株式会社 (4063):
日本に本社を置く化学製品製造企業で、世界最大のシリコンウェハー供給者の一つです。
高純度のポリシリコン製造からウェハーの製造まで一貫して行い、その品質の高さと供給能力の安定性で業界をリードしています。
特に、大口径のウェハーにおいて強みを持ち、半導体業界の技術進化を支えています。

②SUMCO株式会社 (3436):
日本に本社を置く世界有数のシリコンウェハーメーカーであり、半導体製造に不可欠な高品質なウェハーを提供しています。
同社は技術革新に力を入れており、特に大径ウェハーの製造技術において業界をリードしています。
顧客との強固な関係と高い製品品質が競争力の源泉です。

③GlobalWafers:
台湾に本社を置くGlobalWafersは、世界的にウェハーを供給している主要企業の一つです。
高度な製造技術と幅広い製品ラインナップを有し、特にカスタマイズされたウェハーソリューションで顧客のニーズに応えています。
グローバルな生産拠点と販売ネットワークを通じて、安定した供給能力を持っています。

④Siltronic AG:
ドイツに本社を置くSiltronicは、高品質なシリコンウェハーの世界的な供給者です。
同社は特に、先端技術を要する300mmウェハーでの強みを持ち、半導体産業のニーズに対応するための技術革新に注力しています。環境への配慮と持続可能な製造プロセスも強調されています。


以上となります!
如何でしたでしょうか?
また次回お会いしましょう☺️


お読みいただきありがとうございました!
良いね
と思ったら、好きまたはフォロー、をしていただけると凄く励みになります☺️

また、「面白かった」「ためになった」「次回も期待してる」と思っていただけたら、ご支援いただけますと、
非常に嬉しいです😄

ここから先は

0字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?