シーブリーズ使い切れんかった。

運動が嫌いで苦手だった。訂正する。今でも嫌いで苦手である。この前初めてスポッチャに行ったが輝いたのはダンスダンスレボリューションだけだったし、肉弾戦の激しいアクション映画を見て安易に影響されて虚空にジャブを打ち続けたら筋肉痛が2日続いている。それくらい苦手なのである。今まで経験したスポーツは小学校4年間のスイミングと1年間のダンス教室だけである。そのため中学高校の青春時代を汗とは決別して生きてきた。家や教室や図書館にいた。

だから憧れていたのだ。シーブリーズに。
皆さんもご存知だろう。学生が1番使っていると言っても過言では無い制汗剤シーブリーズ。つかうと汗をかいた肌をサラサラにしてくれてなおかついい香りがする。CMでは輝かしき男女の色恋沙汰を描いている。私はこれに中学の頃憧れていた。中学は制汗剤を使っては行けないというゴミ校則田舎の時代遅れ学校だったので使っては行けなかった。まあ知らないだけで運動部とかは部活の時とか使っていたのかもしれんが。クーラーもついていなかった学校だったため、汗はそりゃかいた。中学の頃の部活は美術部で夏休みも美術室に入り浸っていたが吹奏楽部の部室には冷房がついているのに美術室には扇風機すらないというめちゃくちゃ悪く言えば迫害を受けている部活だったのでめちゃくちゃ暑かった。なんなら作品に没頭していると水分補給を忘れ熱中症で1回ぶっ倒れた。ちなみにぶっ倒れた時に描いていた絵は賞を取り電車に飾られた。やったぜ。でも電車に飾られてもシーブリーズは使えなかったし持ってなかった。

やがて私は高校生になる。変わらずシーブリーズはキラッキラのCMをしていた。CMに使われた音楽は当時大好きだったミセスのロマンチシズムだった。それに伴いミセスのポスターが当たるキャンペーンもやっていた。私はここでシーブリーズを買わなければ一生買わないかもしれない。そう感じた私はいつもTSUTAYAに行く足でマツキヨに向かった。恐る恐る入ったマツキヨにはたくさんの色のシーブリーズが。正直使ったことが無かったし匂いの名前も単語が意味がわからなかったのでシンプルに好きな色かつクラスの運動部と被らなそうなやつを買った。この頃から私はひねくれだった。エメラルドスカイという香りだった。エメラルドスカイ?未だに自分以外にこれを持ってる人をリアルで見たことがない。エメラルドスカイってまじで香りの情報無さすぎないか。

エメラルドスカイを買ったはいいものの、使う機会がなかった。それはそうである。部活は4月のみパソコン部に体験入部したがすぐに幽霊部員になり退部し、その後はゴリッゴリの帰宅部だった。体育ももちろんあったが、信じられないくらい運動部がイキるだけの体育だったのでほんとにやらなきゃいけないことだけを軽くやる以外何もしてなかった。木陰で大人しくしてた。終盤はルーズリーフ持ち込んでnoteの原本書いてた気がする。つまり汗なんてほとんどかかないのである。体育が終わり教室に戻ると運動部がシーブリーズをバシャバシャ使ってたくさんの香りが混ざった匂いで気分が悪くなり、冷たいスプレーをかけあってギャーギャー騒ぐ上裸たちに嫌悪感が芽生え、シーブリーズなんて使う発想にならなかった。汗かいてないし。気に入らない男女が同じシーブリーズなだけで盛り上がっていた。エメラルドスカイも私も輪には入らなかった。入れなかった。彼ら彼女らは蓋を交換したりしてゲラゲラ笑ってたが本当に何が楽しくてやってるのかマジでわかんなかった。読んでるみんなに教えて欲しいんだけどシーブリーズの頭だけ色が違うのって面白い???まあ面白いんだったらわしのセンスが無いんだけど。

高三の頃には登校中に交通事故にあった。めちゃくちゃ腰を痛めた。整骨院に通ってる学生で唯一シーブリーズを使ってなかったと思う。体育もただでさえ参加しないのに強制見学だった。まあありがたかったがシーブリーズはさらに減る量が遅くなった。

もちろん休日だって私は外にいなかった。いると言えば一人でTSUTAYAか図書館か家。CDを買っては聞いたり本を買っては読んだり借りたり。今みるとゾッとするようなクオリティのネタも書いていた。絶対みたくない。
高校生になり定期を手に入れておりバスで移動するようになったので自転車に乗ることも無くなった。ほんとに汗をかくことがなかったし行く場所も全て室内だった。そのため私にとって夏は涼しい季節で冬は暖かい季節だった。そんなやつのシーブリーズなんて無くなるわけないのだ。

結局高一の頃に買ったシーブリーズは高三の頃まで残っていた。なんなら半分くらい残ってた。逆に半分どうやって使ったのだろう。恐らく無理やり使っていたのだろう。こうして私はシーブリーズを使い切ったことのある人間に劣等感を覚える人間になってしまった。エメラルドスカイはさっき調べると廃盤になっていた。


ここからは後日談だが、先日春休みで実家に帰るとめちゃくちゃ父親の部屋に私のエメラルドスカイがあった。ほとんど無くなっていた。恐らく私が福岡にきて私の部屋を掃除している時に出てきたから使っていたのだろう。父親はどうやらシーブリーズを使い切れる人間みたいだ。父親の背中はまだまだでかい。

支援をすると私にnoteをサボるなという プレッシャーを与えることができます