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The HEROES展(会期終了)


はじめに


※いつもより熱量高めです。
2022年にして、誰が予想しただろうか…
源義経と、能登守教経の太刀が、同時に展示されるなんて─…

ボストン美術館所蔵 The HEROES展
刀剣×浮世絵 武者たちの物語

2022年1月21日(金)〜2022年11月20日(会期終了)

こんな展示だった


江戸時代の絵師が筆を執らずにはいられなかった、かつて躍動した武者たちの浮世絵とともに、彼らにまつわる日本刀を同時に展示するという豪華極まりない巡回展。
戦に勝つも負けるも、天のみぞ知る。
そこに身を投じた男たちの物語を、「ヒーロー」と題し、躍動の合戦シーンを紹介する、私が今まで見てきたテーマ展示会の中で最高 of 最高の展示会だった。

ヒーロー
英傑と訳さずにはいられない。

教経の太刀 第三の友成の展示

教経好きのみんなにはもう同じみ、教経の太刀といえば
・厳島神社の友成(宗盛説もあり)
・赤間神宮の伝友成
この二振りが真っ先に思いつくだろうが、ここ最近になって東京墨田区の刀剣博物館が所蔵の友成が、どうやら教経の佩刀とされているとのこと。
第三の友成とでも言うしかあるまい。
それも、刃先が96センチ、友成の中でも最長のわけわからんデカさの太刀である。
あの大包平よりデカい。なんじゃこら。

私が鑑賞したのは神戸会場のみでしたが、まさかの壇ノ浦だけ独立した小部屋、そこに壁一面に展示される、壇之浦、船弁慶、勧進帳…
平家滅亡の壇ノ浦から、勝者となっても翻弄された義経の最期までをあえて1部屋に納めた主催の妙に、拍手を送りたい。
この部屋にたった二振り展示された太刀。

個人蔵の薄緑
そしてその隣に、上記の友成

そう、この神戸会場、一ノ谷という源平因縁の地で
源平どちらも、トップ武将の太刀を、たった二振りだけ、わざわざ、独立の小部屋に。
わざわざ!独立させて、この二振りだけ!展示させてたの。

これはもう、主催の意図を感じずにはいられませんね。
めっちゃ泣いた。
出品リストで確認したのですが、薄緑の展示が東京、神戸であるのに対して、友成の展示が新潟、神戸だったそう。
これさぁ、明らかに
義経(薄緑)→鎌倉(東京)、一ノ谷(神戸)
教経(友成)→倶利伽羅峠の援軍(新潟)、一ノ谷(神戸)
っていう、二人の歴戦の由来にもさぁ、あてはまるよね…?
やりやがったな…!

この神戸会場の友成の展示で第三の友成があることを知ったのですが、その衝撃もものすごかったけど(このあたりの記憶がないです)、この二振りを神戸でぶち当てようと企画した人、本当に、天才。ありがとう。
あなた源平だいぶ好きだね??

本当に、本当にね、もう、それぞれもう、一騎討とでもいうか
本当にこの部屋の真ん中に、
薄緑と友成のたった二振りが、たった二振りだけが、源平の趨勢を描いた浮世絵に見守られるかのように、たった二振りだけが相対していたのよ。
本当に。

これ夜な夜な、この二振りで義経と教経戦ってるな、と思いたくなるような、そんな厳かな雰囲気で最高でした。

さらに音声ガイドでこの友成、薄緑のコンテンツがあって、私は生きていて初めて教経が音声ガイドになって最高にハッピーでした。
しかも黒羽麻璃央。(トドメ)

まとめ

話のほとんどが教経になっちゃった…笑
そういうコンセプトで運営してるから許してほしいです。

要はこの展示会は、浮世絵と刀剣を同時に展示するっていう面白いコンセプトで、結構平安時代・戦国時代あたりのウエイトが多め、全体的には神代~戦国末期あたりまでの日本史の有名どころを描いた浮世絵を集めましたよ!というものでした。

私にとったら、これは義経と教経の、特に教経の再戦だという会でした。

公式リンク(会期終了)


森アーツセンター https://macg.roppongihills.com/jp/exhibitions/heroes/
静岡市美術館  https://shizubi.jp/exhibition/20220702_theheroes/220702_01.php
新潟県立万代美術館 https://banbi.pref.niigata.lg.jp/exhibition/theheroes/
兵庫県立美術館 https://www.artm.pref.hyogo.jp/exhibition/t_2209/

文字通り兵どもの夢の跡。

最後に


私が死んでも、noteのサービスが残る限り、後世に伝えたい。
義経と教経の太刀が、一ノ谷の地で、800年後に展示されるなんていう信じられないことが、起きたんだと。
伝えたい衝動が、しょうがない。
きっと平家物語も、伝えたくて仕方ない誰かが語りだしたんでしょうね。
この展示はそんな気持ちすら抱かせてくれます。

あったんだよ…本当に、信じられないけど。
この展示会、写真撮影OK SNS投稿OKだったので
ばっしゃばしゃ写真撮って、2回おかわりしたほど、すんごい良い展示だったので、眼レフでも撮ったんですが、本当に、素敵な展示でした。
もう語彙力がないのよ。

鑑賞した日、昼に初めて食べた神戸牛の上質な脂におなかがびっくりして、体調が逆に挙動不審だったので行くのやめようかと思ってたんですが、これも何かの縁と思って這う這うの体で行ったんですが、友成を見た瞬間からなにもかも体調がよくなったのは言うまでもありません。

noteに写真掲載がOKなのかわからないので、控えますが、ただただ最高の展示であったことは間違いない、という備忘録です。
神戸でこの二振りだけ展示しようと企画した方、ありがとう。
どうか幸せに生きてください。


鑑賞のあと思わず描いた一枚 2022/10

本当に義経と教経の太刀だけが、ただそこに展示されてたんだって…!
本当に…!!