「なぜアメリカの金利が高くなると、円安になるのでしょうか。」
夕食後、経済ニュースを見ていた夫が突然言いました。洗い物をしていたわたしは「えーっと、アメリカの銀行にお金を預けたほうがよくなって...」
「うん。」
「...みんなが円を売って円の価値がさがるから、円安になるんでしょう。」
「もっと具体的に。」

コロナを機に投資信託スクールを受講し、夫とともにつみたてNISAやiDecoを始めて、3年半が経ちました。経済や社会の動きを気にするようになりましたが、いざ質問をされると、答えは曖昧で自信がありません。
夫に助け舟を出してもらいながら、わたしなりにこたえを出しました。

アメリカの金利が高くなると、日本との金利差が広がる。すると、金利の高いアメリカの国債や社債、株などが購入されやすくなる。つまり、金融機関を通して自分の持っている円を売ってドルを買うひとが増える。そのため市場に円が増え円の価値がさがり、円安になる。

こちらが上がると、あちらが下がる。
経済のしくみは天秤のようでややこしく、理解しているつもりでも実は理解していないとか、勉強したけれど忘れてしまう、ということがしばしばあります。

とくに最近、新聞を読んでいて気になるのは『国債の利回りが低下（価格は上昇）』というフレーズです。毎日のように出てくるのですが、どういう意味なのだろう。

そこで国債について調べてみました。
そもそも国債は満期になると元本が返済され、あわせて発行時に決められた利率で一定期間ごとに利子が支払われます。
また、発行された後は債券市場で国債を売買することができ、需要と供給に応じて価格が変動します。この価格変動によって、国債の利回りが変動します。

たとえば、満期までの期間が1年で、利率が1％の額面100円の国債が1000円分あるとします。

①発行時に1000円で購入した場合
1年後の満期に利子10円がついて1010円となります。つまり利益は10円、利率1%です。

② 債券市場で買われて値上がりし、1005円で購入した場合
満期（償還日）に1010円となるため、利益は5円、利率0.5%になります。→値上がりすると利回りは下がる

③債券市場で売られて値下がりし、995円で購入した場合
満期（償還日）に1010円となるため、利益は15円、利率1.5%になります。→値下がりすると利回りは上がる

利子は発行時に決められた1%（10円）で変わりません。だから価格が安いときに購入すると利率は上がり、高いときに購入すると利率は下がるのです。

じゃあ、日銀が時々、国債をたくさん購入しているのは、なぜ。
国債を大量に購入することで、債券価格が上がって、利回りが下がる…。
つまり、金利を下げたいのか。だんだんわかってきたぞ。
難しいと敬遠していたことも、じっくり考えれば徐々にわかってきます。

さらに興味深いのは、自分の生活が日本の国際収支に少なからず影響を及ぼしていることです。というのも今、日本では海外のIT（情報技術）サービスへの支払いが急速に膨らんでいるそうです。

何気なく使っているクラウドサービスや、YoutubeもNetflixもSpotifyもDAZNも、海外のサービス。料金を海外の企業へ支払っているということは、つまり、円を外貨に換えて支払っているので、円安要因なのだそうです。

しかもこういった「その他のサービス」によるデジタル赤字は、インバウンド需要によるヒト関連収支黒字を上回っていることを知りました。

また、2024年1月から始まる新NISA。
なにかと全世界株式投資信託が注目されていますが、実は国外株式や債券を購入することも、円を外貨に換えるということ。なんだか深くて、おもしろいです。

資産運用を始めて3年半。今では、資産の増減に一喜一憂することなく、貯金感覚で積立投資をしています。少しずつですが資産は着実に増えており、最初に決めたとおり、まずは14年間続けるのが目標です。

ただ、最近はお金に関する基本的な勉強をおろそかにしていました。物価、賃金、ガソリン代。お金や経済は日常生活と密接に関わっており、仕組みを知ることは自分の資産を守り育てることにつながります。
わからないことをわからないままにせず、すこしでもわかる努力をしていきたいです。そしてもし忘れてしまったら、もう一度調べよう。何度も、何度でも。

そして先日、12月14日。
米国連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ）により、2024年以降は政策金利を段階的に引き下げる見通しとの発表がありました。
さて、アメリカの金利が下がると、どうなる。
これからも勉強は続きます。

参考にしたもの