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鉄子、大久保駅で立ち尽くす

みなさん、電車には乗りますか? 実はわたし、電車に乗って旅行をするのが好きな、いわゆる「乗り鉄」でした。

20代の頃は青春18きっぷを使って貧乏旅行をしたり、フリーきっぷで1日でどこまで行けるかチャレンジしたりと、暇さえあれば電車に乗っていました。旅のおともはポケット時刻表。電車に揺られながらページをめくり、「〇時〇分に△号に乗り換えて…」と妄想列車の旅を楽しんだものです。

今はすっかり田舎暮らしに慣れて電車旅をすることもなくなり、2ヶ月に1度、出張で新幹線に乗るくらいです。

ときどき乗り継ぎに本気を出すこともあり、

まだまだ現役の鉄ちゃん(鉄子)です! と言いたいところですが、先日の出張でうっかりしてしまい、冷や汗をかきました。

今回の行き先は、新宿近辺。いつものように東北新幹線なすの号に乗り、東京駅で中央線に乗り換えて新宿へと向かいました。

予定どおり1つ目の用事を済ませて、次の目的地まで歩きます。その距離1.5キロ・時間にして20分と、ちょっとした散歩です。

イルミネーション輝く華やかな目抜き通りから、味のある飲食店や住宅が集まる通りへ。徐々に変わってゆく街の景色が面白く、肩に食いこむ鞄の重さや踵の痛みも、それほど気になりませんでした。

途中で波のようなかたちをしたビルを見つけました。

その後2つ目の用事も済ませて、事務所で待つ夫に連絡を入れました。すると夫から「お疲れさま。このあとはゆっくりしてきていいよ。」と一言。

よっしゃー、ここからは自由だ。

なんてったって今日の日のために、残業をして仕事を片付けてきました。というのも、東京国立博物館で開催されている創立150年記念事業が、どうしても見たかったのです。

このとき午後3時10分。
東京国立博物館のある上野駅へは、最寄りの新大久保駅から山手線で23分かかります。国立博物館のことで頭がいっぱいだったわたしは、数100メート先にぼんやり見える高架線と駅らしき場所に向かって、るんるんで向かいました。うまくいけば閉館ギリギリまで一時間半くらい見学出来るかな、なんて考えながら。

やがてこじんまりとした改札口に到着し、鞄の中からSuicaを出すと、そこでうっすらと違和感を覚えました。うん?

というのも、自動改札機の先にぶら下がっている電光掲示板に「山手線の駅ではありません」という張り紙があったのです。

山手線じゃ、ないの…?

駅構内にあるのは、中央線・総武線を示す黄色いラインの看板だけで、山手線でおなじみの黄緑色はありません。そして「JR新大久保駅へは直進400メートル5分」といった感じの張り紙がありました(うろ覚え)。

ほえっ?

そう。わたしはJR新大久保駅ではなく、JR大久保駅に来てしまったのです。

Google mapsより

えええ。駅にある「大久保」の3文字を二度見して、わたしは立ち尽くしました。

電車の時刻ばかり気にして、肝心の地図を見落とすという、なんたる初歩的ミス。慌てて新大久保駅までの道のりを確認し、ダッシュします。しかしながら歩道には商店が立ち並び、通行者も多く、なかなか前に進みません。おまけに鞄はずしりと重くて、履き慣れた靴なのに踵がすれて痛くて。
そしてなにより、栃木から着てきたダウンジャケットの暑さよ…! 


「ぷしゅー」
じんわり汗をかきながら新大久保駅に向かったものの、乗る予定だった電車には30秒ほど間に合いませんでした。

ああ、博物館の受付時間が午後4時までだったら、どうしよう。ホームでぜーはーしながらタブレットと睨めっこする姿は、近寄りがたい雰囲気を醸し出していたことでしょう。でもでもでもでも、そんなの関係ない。

結局、受付時間は午後4時30分までと知り、ひと安心。ていうかさ、もっとちゃんと下調べしておこうよ。


そして次の電車に乗り、最後の目的地であり、メインイベントである東京国立博物館へ到着!

早歩きで息も絶え絶え

チケットに印字された入館時間は「午後3時54分」。ロッカーに荷物を押し込み、汗をふき、閉館時間までの約1時間、お目当てだった展示会をじっくり見学しました。


ああもう、駅を間違えるなんて。
駅どうしが近くてよかったとホッとしたと同時に、これじゃ「元」鉄子だよなあと、少ししょんぼりしたのでした。


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