見出し画像

障害別“クラス分け”って?パラクライミング解説!

パラクライミングのコンペには、
▼視覚障害と、
▼身体機能障害のある選手が出場します。
選手は、障害の種類や、程度によって、いくつかの“クラス”に分けられ、順位を競い合います。ここでは、その“クラス分け”について解説していきます。


▼視覚障害【B】クラスは3つ

先天的または後天的に視覚に障害があり、日常生活や就労等において不自由を強いられている人が対象です。
選手は、光覚や視力・視野など、医師の診断をもとに、B1~B3クラスに分けられます。
以下、クラスごとに基準となる視力・視野です。

【B1】クラス
⇒視力0.0025未満。

B1の會田祥選手。B1のみ、選手はアイマスクで視界を完全に覆って登る

【B2】クラス
⇒視力0.0025~0.032、または視野直径10度以内。あるいは両方に当てはまる。

【B3】クラス
⇒視力0.04~0.1、または視野直径40度以内。あるいは両方に当てはまる。

※【B】クラスでは、選手は、“サイトガイド”と呼ばれるパートナーとともに競技に挑みます。サイトガイドに、声でホールドの位置を伝えてもらい、その声を頼りに登っていきます。

B1の選手に指示を出すサイトガイド

▼身体機能障害は、さらに細かく分類

先天的または後天的に、身体に障害があり、日常生活や就労等において不自由を強いられている人が対象です。

選手は、残存する身体機能によって、
<上肢機能障害>
<下肢機能障害>
<関節可動域、筋力、およびその他の機能障害>
に分けられ、さらに、それぞれの中で、障害の重さによって分類されます。

▼<上肢機能障害>【AU】クラス

【AU1】クラス
⇒片方の腕が欠損している、または片方の腕をクライミングに機能的に使用できない。
 ※2023年より、RP1クラスに統合。

【AU2】クラス
⇒片方の腕の肘から、肘から下で機能が低下しており、かつ機能的な手首関節を持っていない。 

【AU3】クラス※2023年から新設
⇒片手、または両手の複数の指が欠損しているか、機能が低下している。

AU3の安良岡伸浩選手。事故で右手の親指以外が欠如。元々、RP3だったが、ルール変更でAU3にクラス変更された

▼<下肢機能障害>【AL】クラス

【AL1】クラス
⇒両脚の機能の大幅な低下、または欠如。

AL1の平井亮太選手。足を使わずに登る

【AL2】クラス
⇒片方の脚の障害、または脚の長さが違う。

AL2の結城周平選手。小児がんの手術で左脚を切除した

▼<関節可動域、筋力、およびその他の機能障害>【PR】クラス

【RP1】クラス
⇒少なくとも 2 つの四肢、または 1 つの上肢に影響を与える、重度の機能障害。
※かつてのAU1(片方の腕をクライミングに機能的に使用できない)の選手もRP1に統合。

RP1の加藤あすみ選手。重度の四肢麻痺がある
大沼和彦選手。右腕が神経の障害で使えない。

【RP2】クラス
⇒体幹、または四肢に影響を与える中程度の機能障害。

【RP3】クラス
⇒体幹、または四肢に影響を与える軽度の機能障害。

RP3の高野正選手。小児がんの手術の影響で、左足首の可動域などに障害がある。

これらのクラス分けについては、国際パラクライミング連盟(IFSC)の公開資料を参考に記述しています↓

クラスごとに、そして選手の特性ごとに異なる、登り方の多様性が、パラクライミングの醍醐味です。

(了)


みなさんのサポートは、パラクライミングの発展のため、日本パラクライミング協会にお届けします。https://www.jpca-climbing.org/