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《全文無料》【マリーンズ略史 92~05/-46- 2003年 NPB記録/リーグ記録/珍記録】

(写真 2004年度マリーンズファンブックから)


(46)2003年 NPB記録/リーグ記録/球団記録/珍記録

 山本功児監督の最終年となった2003年。4番を期待したローズがキャンプ中に退団したものの、代わりに開幕後に合流したフェルナンデスが32本塁打100打点を記録し、打線も活発化した。投手陣は清水直、ミンチー、小野、小林宏、渡辺俊と先発陣が揃い、抑えに小林雅。中継ぎ陣も充実しつつあり、育成に力を入れていた山本監督の蒔いた種の芽が出始めたが、シーズン成績は4位に終わった。

 このシーズン、各種のチーム、個人記録のリーグ記録更新や珍しい記録が飛び出したシーズンでもあった。今回は、2003年に記録された「NPB記録」「リーグ記録」を抽出する。

 なお、文中のNPB記録、パ・リーグ記録の到達者は2003年時点のもの。参考までに《現在》の記録も追加した。

 【堀、スタメン全打順】※NPB2人目・リーグ初

 開幕戦で6番・二塁でスタメン出場した堀。今シーズンは打線の好不調の波が激しい中で、堀自身は好調だった。そのため、器用さを買われて様々な打順でスタメン出場を果たしていた。
 7月までに4番を除く1番から9番まで各打順でスタメン出場していたが、8月12日のダイエー18回戦(福岡D)で自身92年8月27日以来の4番でスタメン出場。今シーズンのスタメン全打順を記録した。
 現役時代に全打順を経験した選手が数多いが、1シーズンで記録したのは、1972年にヤクルト・船田和英が記録したのみ。パ・リーグでは初の珍記録となった。
※8月12日・96試合消化時点での堀の2003年スタメン試合数
・1番…12試合
・2番…3試合
・3番…11試合
・4番…1試合
・5番…19試合
・6番…24試合
・7番…21試合
・8番…2試合
・9番…2試合
・途中…1試合

《現在》2005年にオリックス・後藤光尊、2006年にロッテ・大松尚逸も記録。

 【小林雅 S・高津と新記録】※NPBタイ記録・リーグ新記録

 9月23日の近鉄27回戦(大阪D)、8-5と3点リードした9回表に3番手として小林雅が登板。四球と安打で1点を失ったものの後続を断ち、30セーブ目を記録した。これで、2001年33セーブ、2002年37セーブに続き、3年連続30セーブを達成した。
 今シーズン、ヤクルト・高津臣吾が一足早く記録しており、NPB2人目、リーグ初の記録となった。

《現在》中日・岩瀬仁紀の2005年~2013年の9年連続30SがNPB記録、ソフトバンク・サファテ の2014年~2017年の4年連続30Sがリーグ記録。3年連続30Sは小林雅以降、2007年~2009年に広島・永川勝浩、2011年~2013年に日本ハム・武田久、2015年~2017年に楽天・松井裕樹、2018年~2020年にソフトバンク・森唯斗の4人が達成(リーグ3人)している。

 【井上純 1イニング2三振】※NPB、リーグタイ記録

 9月30日のダイエー26回戦(千葉マリン)の4回裏、先頭打者として打席に立った3番・中堅の井上純は三振に倒れた。その後、打線が爆発して打者一巡。この回2度目の打席に立った井上純は再び三振。1イニング2三振を記録した。
 これはNPBタイ記録。NPB史上36人目、リーグ15人目の記録となった。

《現在》2004年以降、13人が記録している。

 【1イニングで飛び出した2つの二塁打記録】※ともにリーグタイ

 上記井上純が記録した2三振の間に、打線は2つのNPBタイ記録を作った。
 井上純が三振に倒れた後、4番堀が右中間二塁打、5番フェルナンデスがセンター越え二塁打、6番佐藤が左翼線二塁打、サブローがセンター越え二塁打と4者連続二塁打が飛び出した。これはNPBタイ記録だった。
 さらに二死後、2番福浦がライト線へ二塁打を放ち、1イニング5二塁打のリーグタイ記録も達成した。
 なお、この回に6点を奪ったが、6回表に投手陣が崩れて7失点。試合は10-13で敗れた。

《現在》連続二塁打は広島が1986年6月3日に5打者を記録しており、4打者は現在もリーグタイ記録。
  1イニング最多二塁打は2013年8月4日に楽天が7本を記録し更新されている。

 【フェルナンデス 川上哲治、イチローらに並ぶ】※NPB・リーグタイ記録

 9月の最終戦となった30日のダイエー26回戦(千葉マリン)で、第2打席で二塁打、第3打席で左安と2安打を放っていたフェルナンデス。9回裏に回った第5打席でレフト前にヒットを放ち、この試合猛打賞を記録した。
 フェルナンデスはこの試合の猛打賞が9月で8度目となった。
 月間8度の猛打賞はNPBでは
・1951年9月 川上哲治(巨人)
・1950年8月 島田誠(日本ハム)
・1986年8月 クロマティ(巨人)
・1996年8月 イチロー(オリックス)
・2002年8月 和田一浩(西武)
の過去5人が記録しており、6人目のNPBタイ記録(リーグ4人目)、球団最多を記録した。

《現在》2005年・4月に阪神・赤星憲広、中日・アレックス、2015年6月に西武・秋山翔吾、2018年8月に中日・ビシエド、2019年5月に中日・高橋周平が8度を記録している。現在11人が記録。

 【初芝 代打でタイ記録】※NPBタイ・リーグ新記録

 代打としての役割が多かった今シーズンの初芝だったが、9月13日からヒットが続いた。
・1試合…9月13日 近鉄25回戦(大阪D)9回表一死2塁・左二塁打(打点1)
・2試合…9月15日 日本ハム23回戦(東京D)9回表二死1塁・左二塁打
・3試合…9月16日 日本ハム24回戦(東京D)7回表一死無走者・左二塁打
・4試合…9月19日 オリックス24回戦(千葉マリン)8回裏二死満塁・右安(打点2)
・5試合…9月24日 西武26回戦(西武D)9回表二死1塁・左二塁打(打点1)
・6試合…9月28日 オリックス25回戦(千葉マリン)7回裏一死1、2塁・中安
・7試合…10月4日 西武27回戦(千葉マリン)6回裏二死2塁・左本塁打(打点2)
・8試合…10月5日 西武28回戦(千葉マリン)8回裏一死1、2塁・中飛
 10月5日に中飛に倒れるまで、代打として7試合7打数連続ヒットを記録した。これまでのNPB記録は1980年に大洋・松原誠が8月14日~10月12日にかけて記録した代打7打数連続安打に並ぶ、NPBタイ記録、リーグ新記録となった。ただ、松原は1四球を挟んで8打席を要しており、7打席7打数では初芝が初となる。

《現在》現在でも初芝、松原の記録がNPB記録。

 【M打線、53年ぶりの日本記録更新】※NPB・リーグ新記録

 10月10日の日本ハム27回戦(千葉マリン)の4回裏、7番サブローが右中間に二塁打を放った。これが今シーズンチーム277本目の二塁打となった。
 それまでのNPB記録は、2リーグ制が発足した初年度の1950年に松竹が記録した258二塁打が破られていなかった。しかし、今シーズンダイエーが276二塁打を放ちNPB新記録をマークしていたが、マリーンズはこの記録を直後に上回った。マリーンズは最終的に283二塁打を放ち、2リーグ制発足以降破られていなかったNPB記録を更新した。
 なお、個人では福浦が50二塁打を記録。オリックス・谷が2000年に記録した52二塁打に次ぐNPB・リーグともに2位に入る記録をマークした。

《現在》2009年に日本ハムが290二塁打を記録し更新されている。現在はNPB・リーグとも2番目の記録。

(次回)⇒8/26 12:00UP《有料・冒頭無料》絶対的エースとして・清水直行


----- マリーンズ略史 92~05 INDEX ------

 【年度別出来事編】

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(1)《全文無料》『千葉移転前夜』
  (25)《全文無料》 オリオンズ~マリーンズ ファンクラブ略史
【1992(平成4)年】
(2)《全文無料》『千葉移転元年 4月ダッシュも最下位に沈む』
  (42)《全文無料》移転直後の快進撃
  (57)《全文無料》5試合で4完封
【1993(平成5)年】
(3)《有料・冒頭試読》『最下位脱出も大差の5位に低迷』
  (54)《全文無料》1993年 NPB記録/リーグ記録/球団記録/珍記録
【1994(平成6)年】
(4)《有料・冒頭試読》『八木沢監督休養、2年連続5位に終わる』
  (60)《全文無料》1994年 NPB記録/リーグ記録/球団記録/珍記録
1995(平成7)年
(5)《有料・冒頭試読》『球団改革断行、千葉移転後初のAクラス』
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  (18)《有料・冒頭試読》熱く育てた山本監督の5シーズン (1999年~)
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(15)《有料・冒頭試読》『プレーオフで逆転優勝、阪神破り31年ぶり日本一』
(16)《全文無料》(付録)『ポストシーズン詳細、二軍合わせて6冠王者成』
  (49)《全文無料》45年ぶりの12連勝(2005年)
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 【選手編/投 手】

(23)《有料・冒頭試読》チーム支えたエースの苦悶・黒木知宏(1995~2007年在籍)
(26)《有料・冒頭試読》ルーキーからフル回転左腕・藤田宗一(1998年~2007年在籍)
(27)《有料・冒頭試読》低迷期支えたエース、復帰後はリリーフで日本一・小宮山悟(1990年~1999年、2004年~2009年在籍)
(30)《有料・冒頭試読》抑えの切り札への道・小林雅英(1999年~2007年在籍)
(32)《有料・冒頭試読》マリーンズ初タイトル剛腕エース・伊良部秀輝(1988年~1996年在籍)
(35)《有料・冒頭試読》強気なマウンド、マリーンズ初代クローザー・河本育之(1992年~1999年在籍)
(37)《有料・冒頭試読》マリーンズ初の最優秀救援投手から手術へ…・成本年秀(1993年~2000年在籍)
(40)《有料・冒頭試読》7年目のブレーク「サンデー晋吾」(1994年~2013年在籍)
(43)《有料・冒頭試読》先発の柱サブマリン・渡辺俊介 (2001年~2013年在籍)
(44)《有料・冒頭試読》中継ぎ切り札から先発の柱へ・小林宏之(1997年~2010年在籍)
(47)《有料・冒頭試読》絶対的エースの信頼・清水直行 (2000年~2009年在籍)
(50)《有料・冒頭試読》球団創設年以来55年ぶりの快挙・久保康友(2005年~2008年在籍)

 【選手編/打 者】

(24)《有料・冒頭試読》二軍成長記・福浦和也(1994~2019在籍)
(29)《有料・冒頭試読》打線を支え愛された背番号6・初芝清(1989年~2005年在籍)
(31)《有料・冒頭試読》オリオンズ最後の戦士・堀幸一(1989年~2009年在籍)
(34)《有料・冒頭試読》マリーンズ初の新人王、盗塁王・小坂誠(1997年~2005年在籍)
(36)《有料・冒頭試読》「14打席連続出塁」の大記録樹立・南渕時高(1990年~1997年在籍)
(41)《有料・冒頭試読》裏から支えたバイプレーヤー・諸積兼司(1994年~2006年在籍)
(48)《有料・冒頭試読》千葉で途切れた連続記録・愛甲猛 (1981年~1995年在籍)
(51)《有料・冒頭試読》オリオンズ最後のタイトル・平井光親 (1989年~2002年在籍)

 【選手編/助っ人】

(53)《有料・冒頭試読》中4日のタフネスエース・ネイサン ミンチー(2001年~2004年在籍)
(54)《有料・冒頭試読》「神話」と「ナイト」の勝負強さ・フランク ボーリック(1999年~2002年在籍)
(56)《有料・冒頭試読》安定感抜群の助っ投・エリック ヒルマン(1995年~1996年在籍)
(58)《有料・冒頭試読》 窮地を救ったストッパー ブライアン・ウォーレン(1998年~2000年在籍)
(59)《有料・冒頭試読》「いつか必ずロッテに帰ってくる」の約束果たした フリオ・フランコ(1995年、1998年在籍)

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