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ミュージアムの中の人が、なぜかいろいろあって「スポーツ(「との比較を行う上で」というテイで美術館・博物館も対象とした「文化観光」も無理やり含めた)ツーリズム」の非常勤講師をしている話 #04


自己紹介はあらためて行いますが、いろいろな業界を見聞きした経験をもとに、現在関わっているミュージアム業界(そんな言葉ないw)についての(あまり知られていない)ことを中心にご紹介できればと思い、noteをスタートすることにしました。誠に申し訳ありませんが、このシリーズはおおむねミュージアム色は薄いです。



前回に続いて、今回も「【Do系】スポーツツーリズム」について事例をもとに理解を深めていきますが、今回はアウトドア・アクティビティについてご紹介していきましょう。


アウトドアっていうと、キャンプもグランピングも…な感じになって「キャンプのどこがスポーツやねん」ってお門違いで不条理なお叱りを受ける可能性もあるので整理が必要ですね。ここでご紹介するのはあくまでもアウトドア・アクティビティ。といっても前回で少しだけご紹介したゴルフやスキー、さらには登山にいたってしまうともう昭和というか戦前、なんなら大正期からブームが起こっていたわけなので、ここではご紹介しません。スキューバダイビングみたいなバブリーなものももうご紹介はしません。この10年くらいに普及してきた(日本では)新しいアウトドア・アクティビティはざっと以下のサイトで取り上げられているような感じですね。




上記サイトで紹介されているなかで注目度が高いのはSUP(スタンド・アップ・パドル)でしょうね。お手軽だし、(それほど水質がよくない都市部でも)気軽にでき、ヨガなどをミックスさせたバリエーションが展開しやすいなど、事業者側のメリットが多いのも普及に貢献しているといえるでしょう。個人的にはより水面に近い目線で景色を楽しめるカヌー(カヤック)の方が魅力を感じます(なんならビール飲みながらとかも可能だし!)が、確かに手軽さ気軽さの面からはSUPが人気なのも理解できます。




山に目を転じるとトレイルラン、トレイルバイクも人気ですね。ですが、正直に言えば日本の山ではルートを明確にわけておかないといけないような気がします。山で事故が起こってもすぐに治療ができない環境にあることを、どうもあまり理解されていない方が多いような気がします(特にトレイルラン、トレイルバイクなどをされようとしている方々に)。



これらアウトドア・アクティビティ、実は国(観光庁、スポーツ庁)などが積極的に後押しをしています。「【Watch系】スポーツツーリズム」の展開が難しい地方、特に山間部や沿岸部などでは施設整備にかかる多額のコストを投じることなくコンテンツ化することが可能だからです。明治期の神戸・六甲山の開発ストーリーを見てもわかるように、特に欧米系の方々にはアウトドア・アクティビティのニーズが潜在的に高いということも背景にあります。さらにいえば欧米と日本では植生分布も違いますので見た目のコンテンツとしても十分に魅力になりえるという点が挙げられます。




さらにいえば沿岸部であれば魚料理、山間部であればジビエなど地元の食材に加えて周辺の温泉施設などとのパッケージでの展開で滞在型の商品造成がしやすいなどといった観点での期待も高まりますよね。



なお、アウトドア・アクティビティに関しては屋久島や小笠原諸島などが先進的な事例としてはわかりやすいかもしれません。アクティビティの種類や質といった側面ではなく、自然環境の保護とツーリズムの進行とのバランスを考えたうえでのオーバーツーリズム対策の問題などは多に学ぶべきところがあるはず。そんな堅苦しい(といったらアレですが)問題抜きに純粋に自然を楽しめるところですので個人的にはおすすめしたいところ。ちなみにオーバーツーリズムは京都など都市部で問題になる傾向がありますが、自然環境のほうが深刻ですよね。実際。




こういう背景をもとに近年、力を入れてきているのが神戸市。上述の六甲山や摩耶山へのアクセスルートとして新幹線(さらにいえば「のぞみ」)が停車する新神戸駅にサービス拠点を設置するといった施策を打ち出しています。実際、ルート的には新神戸駅から摩耶山や六甲山を経て有馬温泉へ、というルートも可能は可能なので、インバウンド的にもありなコンテンツだと考えます。ただ、もともと地元の方々に愛されていたルートが既に確立されていただけあって、オーバーツーリズムになってしまう恐れがあるのと、実は近年、周辺では熊の目撃例なんかもあるようです。まあ自然を相手にしている以上、天候も含めすべてをコントロールできるものではない、というのがアウトドア・アクティビティの最大のウイークポイントかもしれません。


ということで、今回は「【Do系】スポーツツーリズム」の中からアウトドア・アクティビティについてご紹介しました。次回はスポーツ以外の「【Do系】ツーリズム」をご紹介することで、スポーツツーリズムと比較していきます。