文章を書く際に私が気をつけようとしていること

私のトロすぎる文章のアウトプット速度をあげるため、いくつか本を読んで文章技術について勉強しました。その中でも特に参考になった文献から学んだ点についてまとめようと思っていたんですが、結局ただの感想文になりました。

<新版>日本語の作文技術 (朝日文庫)
本多勝一著
https://www.amazon.co.jp/dp/B01MYXH4J1/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1

迷わず書ける記者式文章術:プロが実践する4つのパターン(慶應義塾大学出版会)
松林薫著
https://www.amazon.co.jp/dp/4766424964/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_l-XkCb1TVDX86

この二冊の筆者は、どちらも新聞記者として文章の技術について考察し、それを技術書としてまとめています。アプローチのベクトルは異なっていますが、どちらも体系的に文章技術が解説されており、大変参考になりました。

『日本語の作文技術』では、日本語の文章構造を大量の例文とともに徹底的に解釈し、その上で読みやすい文章とはいかなるものなのかということを考察しています。本多勝一といえばエグい左翼として有名ですが、あくまで本書は作文技術について述べられたものなのでそういう面はあらわれていません。例文が異様にアカい主張をしているだけです。

本書が特に項数を割いているトピックが、「修飾語の使い方」と「句点の打ち方」。ここでいう修飾語の意味は、国語の授業でならったものとはやや異なり、文の主体を修飾するすべての句、節を指します。例えば「私はサッカーで遊ぶ」という文は、この定義からすれば「遊ぶ」という主体を「私は」・「サッカーで」という句が修飾しているという形になります。主語という単位も修飾語という定義の内側に入っているわけです。この定義に基づき、どのような修飾語をもちいるべきか、またどういった順番で修飾語を並べるべきか、という議論がされています。

続いての議論が「句点の打ち方」。私も読む前はたかが句点と思ってたわけですが、これが非常に面白い。句点とは息継ぎのように適当に打つものではなく、文章の意味が句点一つで変わってしまうということがとてもに説明されています。また、前述の「修飾語の使い方」で解説された、節・句の並べ方というトピックと関連して、句点を置く位置がいかに文章の可読性を上げるかについて細かく考察しています。

この本のなにがありがたいかというと、論理的な議論から導かれたルールとして文章技術が提示されているため、自分の文章を客観的な視点で改善することができるところです。これまで私は、文章を直すという行為には少なからず主観的な部分がある、平たく言えば良いと思う文章は人によって異なると思っていました。なので、自分の文章が良いか悪いのかを判断する自分に自信が持てませんでした。この本を読んだ後は、自分の文章を「ルールに沿っているか、そうでないか」という観点で見直すことができるようになったため、書いている最中に迷うことが減ったように思います。

『迷わず書ける記者式文章術:プロが実践する4つのパターン』では主に、「個性を必要としない標準化された文章体系」、そして「文章を書く前の準備の重要性」について解説されていました。前者はテンプレート的な文章を使えということではなく、標準化されたルールに従うことですばやく読みやすい作文が可能になるという内容です。『日本語の作文技術』と重なる部分が多いですが、こちらは論証についてはそこまで論証とかはしてないです。文章技術の解説本だったらまあこちらのほうが普通なんでしょう。

そちらよりも印象深かったのが後者の「文章を書く前の準備の重要性」についての内容。さまざまな文章ハウツー本にある内容ではあるんですが、新聞記者としての経験というバックグラウンドがあるので主張の説得力が強いです。アウトプット速度を上げるためには、まず情報のインプット方法とその整理法を見直すことだという話です。書きたい事柄とその順番を決めてしまえば、あとは標準化されたルールに沿って文章化するだけでいいですからね。

私のアウトプット速度における課題はおそらくここにあるのでしょう。「言うは易く行うは難し」ってやつで、書くべき事柄を整理してあとは文章にするだけ!という状況にもっていっても全くまともな文章にならないんですよね。わかりやすい文章構造的なメソッドは結構すんなり身についたのに、なぜかこちらはさっぱり手になじまない。これをなんとか改善する方法を探していきたい。