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テレワークにより失われがちな用事のないコミュニケーションの方が人として本質で、非合理的な冒険こそ人生を前向きにしてくれる話

いま世界的にテレワークが増えているしこの状態はしばらく続くと思うけど、テレワークの真の課題は仕事ができるかではなく、出会いと仲間意識、承認が生身の時と同じように得られるかどうかだ。

同僚が隣にいて、話に頷いて貰える事、微笑んでくれたり視線を送ってくれる僅かなリアクションがどれだけ重要な事か。一見無駄な身体性、雑談のコスパの良さを、そろそろ多くの人が解り始める頃だ。

偶然の出会いや、働く中で人に喜ばれている”実感”をリモートの中でどう実装するか。いまは亡き寝たきりの研究仲間、番田雄太はかつて「外出ができないという事は出会いと発見がない」と言い表した。

同じクラスだった友人、たまたまバーで隣に座って意気投合した人、旅先で一緒に観光する事になった人、タクシーの運転手、お節介なおばちゃんに紹介された偶然居合わせた人、よく行くコンビニの店員、飛行機や新幹線で一緒になった人、行きつけの美容師、友人のパーティーで話した人。

ふとした出会いから誘われるコミュニティや、お願いされる仕事、ひらめく発想、広がる興味、未知の経験。
そんな”偶発的な縁”を、テレワークは切り捨てる。

テレワークは楽だ。外出しなくてもいいし、着替えなくてもいい、仕事に集中できる。電車や車に乗らなくてもいいし、熱い夏や梅雨、花粉症やウイルスにも悩まされない。しかし、長く続けるなら意識的に雑談や寄り道、出会いを作る事が大切だ。
車が発達し、肉体労働から離れ、運動しなくてよくなった現代人が運動をジムに求めて身体を鍛えるように、長時間テレワークし、人前に出たりコミュニケーションしなくてよくなった未来人は声を出して笑ったり、対人の環境を意図的に生活の中に作っておく必要がある。

長期間テレワークのコツ、
いつもよりオーバーにリアクションし、無駄話を設定し、沢山笑い、沢山反応する。チャットには「!」や伸ばし棒、絵文字を多めにつけて感情をチャットに乗せ、とにかく多めに人を褒め、身体と共に心まで家に縛らないよう心掛ける。skypeでもzoomでもDiscordでもいい、誰かと毎日話す訓練は怠るな。
あるいは、OriHimeを使い周囲に視線を送ったり、番田雄太が私につけさせたOriHimeの腕をぐるぐる回したり無駄にパタパタさせてみる事で、そのパフォーマンスの良さに気付くかもしれない。

ふとした用事のないコミュニケーションの方が人として本質で、非合理的な冒険こそ人生を前向きにしてくれるものなのだ。

 
「オリィ研究所が大きくなっても、それはオリィ達は嬉しいかもしれないけど、私はあんまり嬉しさを感じないんだよね・・・」(2015年 番田雄太)

2020.03.23
吉藤オリィ

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