映画『燃えよ剣』における、雪の人物像脚色に関する覚書
映画『燃えよ剣』は、膨大な原作小説のエピソードや複雑な史実をうまく処理しつつ、原作者・司馬遼太郎の描いた「己の美学に生きる土方歳三」を、監督・原田眞人のフィルターを通してうまくスクリーンに現出させた作品であると感じる。なかでも近藤勇、土方歳三、沖田総司といった主要キャラクターの再現度の高さには感服させられる。たとえ語られるエピソード自体は映画オリジナルだとしても脚本の隅々にまで"司馬遼太郎らしさ"が行き届いており、原作のイメージと大きく乖離することはない。
ゆえに本作のもう