「なないろ」が指し示すモネの未来

2021年5月17日にスタートした朝ドラ「おかえりモネ」。

主題歌はBUMP OF CHICKENの「なないろ」だ。

楽曲が望む形で唄を届けたいと公言する藤原さんはこの朝ドラにどんな言葉を選んだのか。

内容は宮城県に住む女の子が気象予報士を目指す物語だという。

なるほど。藤原さんの個人的な経験を因数分解的に細分化させていき顕になった感情を、天気や天体等近くて遠い現象事象に例えて唄うことにより歌う人聴く人の境界線を取っ払い経験を疑似共有させてきたBUMPにぴったりではないか。などとファン心理全開で放送開始がとても待ち遠しかった。

楽曲制作のオファーは2020年8月頃だったという。つまりあのスキャンダルが報じられる前だ。白紙判断も止むなしの状況の中で信じてBUMP OF CHICKENに主題歌を任せてくれてNHKさんありがとう。

私はBUMP OF CHICKENの唄が好きだからBUMP公式アカウントが投稿した「なないろ」の歌詞を、「おかえりモネ」1週目を観た感想も交えつつ書いていきたいと思う。

まずは曲のタイトル、「なないろ」だ。

七色と言えば当然虹を連想するし、BUMPはこれまで何度も作中に虹を登場させてきた。ハルジオン、ゼロ、虹を待つ人、月虹。

上記4曲の歌詞を見るとどの歌でも虹を希望や希望への目印として使用しており、「なないろ」でも希望の意味合いは強化され明確に押し出されている。

歌詞には「虹」が出てくるものの劇中ではサヤカがモネに彩雲は幸運の兆しだと語るシーンがあったり「なないろ」のジャケットが虹ではなく彩雲となっていたり、なないろ=虹と決めつけるのは早計な気もする。

聴いていてまず引っかかる歌詞は

「ヤジロベエみたいな正しさだ」だ。

最初の歌詞はわかる気がする。「闇雲」や「ひとりぼっち」が表す不安感とそれでも進んでいる方向がきっと前なんだと信じる気持ち。

ただヤジロベエとは。

私はこれをコロナの脅威に晒され世界的な混迷に生きる2021年の私たち(視聴者=現実)と、東日本大震災の被害を受けたモネたち(演者=虚構)の両者をリンクさせる言葉なのではないかと感じる。

2011年は不謹慎だと自粛を求められ、2021年は緊急事態宣言により不要不急に仕分けられたエンターテイメント業界。文化芸能芸術が窮地に立たされ賛成と反対とに二分された世間にいやでも揺れ動かされてしまう個人をヤジロベエ的正しさと表現したのではないか。

震災を経験したモネは「人の役に立ちたい」という漠然とした気持ちを抱えている。

その背景は「何もできなかった」という無力感に起因しているのではないか。好きだった吹奏楽を止め直視できない何かから逃げ出すように亀島を離れたモネは登米の自然の中で見えない傷を癒すように生活を送っている。

BUMP OF CHICKENは震災から3ヶ月後の2011年5月11日に「Smile」というシングルを発売した。収益は全て義捐金として赤十字を通じて寄付されその総額は¥69,627,833だった(金額はwikiより。私の¥1,000も含まれているはず)。

震災後初のライブツアー(GOOD GLIDER TOUR)ではチャリティーリストバンドがグッズとして発売され、ツアーファイナルは宮城県のセキスイハイムスーパーアリーナで開催された。

どのような意思が込められていたのかはわからないしそもそも日程や会場スケジュールの都合かもしれず迂闊なことは言えないが、ツアーファイナルが宮城で行われたのはこのツアーが初めてだった。

BUMPの活動に話が逸れてしまった。

ただ当時のアクションを知っているファンとしてこのドラマの主題歌を担当しているのがただ嬉しい。

時間が遅くなってしまったのでここで一旦切る。

次はもっと頭を整理して歌詞の内容とドラマの感想を書きたい。


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