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加熱するゲームバランスの排熱について+宣伝

 最初に宣伝をば。新刊が上がりましたので是非どうぞ。ゲームが商品であることと、商品としての形態の変化によってプレイヤーの楽しみというのもまた変質しますよ、みたいな話になっております。以下本題。

 加熱するゲームバランスとは何かというと、いわゆる「インフレ」などと呼ばれるアレのことだ。インフレ、つまり数字がどんどこ上がっていくこと、より正確には数字の水準が上がっていくことを指す。少なくとも以降でのインフレという語はそんな感じである。バトル漫画の宿命でもある。

 ゲームに変化が現われるのであれば、インフレ方向への変化であることが殆どだろう。この場合のインフレというのは数字の水準以外にも高速化・複雑化していく方向でもある。ゲームにおいてこうしたインフレが起こることそれ自体は仕方がない。問題なのは、そうしたインフレが与える影響がゲームの面白さが損なう点にある。
 そうした状況を回避するために必要とされるのが何かというと、インフレの逆のこと、というとまあデフレといっても良いのだろうが、ここでは「排熱」と呼ぶ。加熱するゲーム環境(インフレ)をゲームから逃がす、といったイメージだ。インフレはともかく、デフレという語は固有名詞みたいなところもあるし、排熱とする。

 ゲームにとって重要なのはインフレを避けることではなく、排熱できることである。ゲームにおけるインフレを避けるというのは、血を一切流さずに胸の肉を切り取るようなものであって、現実的でない。
 商品であるゲームがアイテムなどを販売する場合、商品価値を高めるためにパラメーター上の有利を持つものを販売することはしばしばある。それは金払って売っている以上、ナーフ―というのはつまりパラメーターを下方修正すること―はしにくい。個々に対する下方修正をナーフとして、そうした下方修正が全体的に現れるものが排熱だ。
 個々になされるものと、全体的になされるのとでは、様々な違いがある。全体的になされるものは、バランス全体に係るものであるから、環境を大きく損ないにくい。個々に対してなされるものは、全体的になされるものではないのでそうはならないか、あるいは起こりにくい。つまり、アイテムが販売されたものであったり、あるいはそれに準ずる関係からプレイヤーが得たものであるとすると、排熱というの極めてやりにくくなる。こうした意味で、アイテムらなりゲーム内での利益というものを販売する手法がゲームバランスに与える影響というのは、ゲームが排熱をしにくくなるという形で、そのゲームのタイトルが続いている限り永遠になされるということだ。


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