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先攻と後攻

 私は事あるごとに将棋を様々な説明の際に持ち出しているのだが、実はそれほど上手いという訳もないし、凝って遊んでいる訳でもなかったから、将棋でも先行と後攻とで有利不利があるということに思い至らなかった。あるという事を知った時は、まあそりゃあるか、と納得はできたが、あまり深くそのことを意識させられる事もなかった。

 ターン制を採用する各種ゲームの先攻と後攻とに現れる有利不利というのは、もうそれはそれは裏があれば表があるのと同じ程度に当たり前のことになる。
 先攻と後攻はスポーツにもあり、これを現行のルールのまま無くすことは、まあ考えるだけ無駄だろう。
 しかし一部のボードゲーム、例えば将棋であれば、やろうと思えば、お互いの駒が同時に動く将棋というのも不可能ではないのではなかろうか。駒の動かす位置を決定し、20秒後に駒が同時に動く。歩が動いたせいで角道が開いて飛車が!というガンダムでいう、ドムが避けたらムサイの艦橋にバズーカが着弾!みたいなこと、あるいは対消滅して消える歩と歩などを将棋でみれるという訳だ。ここだけ切り取ってみるとまあ、それなりに面白そうではある。がしかし、やる前からいくつかのことは予想できる。まず、今挙げたように最初はそれなりの目新しさがあることと、あとそれ以上のことが起こらないであろうということ。

 時間軸を絡める場合、つまり行動が対戦相手の両者で順序付けられているにしても、その行動にかかる時間の単位が異なる場合は、こうした先攻/後攻というルールの束縛から逃れることは可能だろう。FPSとか格ゲーとかを思い浮かべていただければ良いと思う。
  しかしよく考えてみて欲しいが、そうしたジャンルでも、先攻と後攻、つまり相手に先んじて行動をとれる事はある。これは一種の先攻/後攻と呼べなくもなかろう。疑似ターン制というやつだ。
 こうした疑似ターン制はボードゲームやカードゲームでの先攻/後攻と違うかというと、そうした先攻/後攻が与えられたものではなく、選択できるものであるという点にあろう。この選択というのはつまり、各々の技量でどうにかなるわけだから、まあゲームとしては妥当なところだろう。
 という訳で、私は今まで将棋やその一味を、あまり運が絡まないと言ってはばからなかったのですが、先攻後攻というのはゲームの外側に位置するという点において、麻雀の配牌と似た運ゲー的要素であるということに気が付いたのでした。やはり、運を完全(というのがどの程度であるのかはさておき)に排除できるようなゲームが存在するというのは、色々と難しいのだろう。

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