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材料費ほぼ0円の修理。

靴修理屋の仕事として先ず最初に頭に浮かぶのが、ヒールやソールの交換等、靴底周りの修理かと思います。

しかし、実際は同件数ぐらい靴底以外の修理のご相談を受けます。

アッパーに関しては、そもそも交換を前提とした作りではないので、現物を確認してどの様に修理をするかを考えます。

このオールデンのvチップは羽根の付け根の裂けでお持ち込み下さいました。

状態はと言うと、モカ縫いのステッチがほつれて、羽根の根本で裂けています。

先ず、モカ縫いは元穴を拾えば縫い直しが可能。

裂け目の99%は羽根の内側なので、裂け目を補修すれば補修痕はほぼ目立たないと言う判断から、羽根周りをバラしました。

では、補修はどうするかと言うと、裂け目の裏に補強の革と補強テープを貼り付けます。

そして、ほつれていたモカ縫いを縫い直すのと一緒に補強革は千鳥縫いで縫い留めます。

最後は羽根を元の位置で縫い留めると、補修痕は羽根の内側に隠れて補修痕は見えなくなります。

と、以上の様なシュミレーションを頭の中でして、それに伴う作業時間と材料費からお見積りをお出ししております。

今回の場合、材料は2x1センチの靴を作った時の余り革、同サイズの補強テープのみ。副資材でノリ、糸。材料費ほぼ0円です。

そして、今回の修理代金は¥4000です。
ほぼ、技術料なんです。

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