見出し画像

分断の町で分断を忘れる?

”分断”っていつのまにか退屈な決まり文句になってしまいました。分けて断つ。野菜や木材を分断するのは理屈があっての話なんで、人間同士の営みにも理にかなった分断はあるわけです。

人気の韓国ソウルフード屋台における行列 leica m typ240, carl zeiss c sonnar t* 1.5/50 zm
寄り添う母娘 leica m typ240, carl zeiss c sonnar t* 1.5/50 zm

考えれば考えるほど摩訶不思議な空気の中、”分断”を忘れることができそうな街が大阪市・生野区にあります。

平野川 leica m typ240, carl zeiss c sonnar t* 1.5/50 zm

話は脇道にそれますが、大阪市内にはこのように東西南北に分断する人工河川がいくつか流れています。下町の代名詞とも言えます。この平野川は、ここで紹介する「大阪・生野コリアタウン=御幸通商店街」の成り立ちに非常に深い関わりがあるのです。

コリアンタウンの人出 leica m typ240, carl zeiss c sonnar t* 1.5/50 zm
コリアンタウンの人出 leica m typ240, carl zeiss c sonnar t* 1.5/50 zm

平野川西岸にあたるこの一帯は、「猪飼野」と古来から呼ばれていた地域で、朝鮮半島からの渡来人が、この地で豚(猪)を飼い始めたことによるそうです。
のみならず、現代に至るまで朝鮮民族と関わりが深い土地柄で、有力な一説によると、かつて蛇行していた平野川は洪水を度々引き起こしていたため、抜本的な対策として直線的な運河化されました。その工事に朝鮮半島からの出稼ぎ労働者が数多く従事し、彼らがこの地に定住を始め、次第にコリアンタウンが形成されていったとあります。

パラソルのある店 leica m typ240, carl zeiss c sonnar t* 1.5/50 zm
トルネードポテト leica m typ240, carl zeiss c sonnar t* 1.5/50 zm

それにしても、撮影当時、コロナ感染者は減少していたとはいえ、ずいぶんな混雑具合です。

豚足 leica m typ240, carl zeiss c sonnar t* 1.5/50 zm

ありのままのコリアンフード、韓流スターの雑貨、化粧品…
人それぞれ、このコリアタウンに魅力を感じ、「密」な環境をむしろ享受しているように思えます。

タッチレス決済など無粋な決済方法はない leica m typ240, carl zeiss c sonnar t* 1.5/50 zm
キンパなどソウルフードを選り取り見取り leica m typ240, carl zeiss c sonnar t* 1.5/50 zm
品定めも楽しい leica m typ240, carl zeiss c sonnar t* 1.5/50 zm

ここでは、身につけるものも気持ちも普段着感覚が丁度いいようです。母娘のカップルも多く見かけました。

買うかどうか母娘で相談中か leica m typ240, carl zeiss c sonnar t* 1.5/50 zm

また、街全体が完全にコリアン風味かと言えばそうでもありません。鎮守森が西の入口近くにあったり、日本的なレトロな店もあちこち見つけられます。

御幸森天神宮の入口は良い休憩場所 leica m typ240, carl zeiss c sonnar t* 1.5/50 zm
懐かしいお好み焼き屋さん leica m typ240, carl zeiss c sonnar t* 1.5/50 zm

コロナ前とコロナ後、人はあたかも"分断"があるかのように語りますが、この地を訪れると一瞬ウソのように勘違いしてしまいます。
不思議なものです。大阪の中で民族的な理由によってある種"分断"された地域をまたいで、個々人が抱えている"分断"からむしろ開放されているように見えるのです。
いつものように家族や友人が寄り添いながら、見ず知らずの人に囲まれて食事をし、買い物をする。
その通底に流れる温かいものは、その見ず知らずの人々との共感を込めた"分断"からの越境があるように思います。

御幸通商店街の入口 leica m typ240, carl zeiss c sonnar t* 1.5/50 zm

あなたも、この門をくぐりませんか?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?