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2021.12.04|東京Z@青森|愛しさと拙さと心細さと

東地区の最下位争い、アースフレンズ東京Zと青森ワッツの今季初対戦は見どころの多い試合となりました。それは試合のレベルがとても高いとか、白熱したシーソーゲームだったとかいうことではなく、未完成だからこそ愛したくなるような、壊れそうなものばかり集めてしまうような、極めて情緒的なものです。

試合の序盤はぶっちゃけターンオーバー合戦。特に東京Zが酷くて、なんでもないところでパスミスをしたり、青森のゾーンに慌ててボールを奪われるシーンが目立ちました。だって1Qだけでターンオーバーが6だぜ(青森のスティールは5)。一方の青森も、ルーキーながらエースの駒澤颯が、増子をはじめアスフレのディフェンダー陣にべったりマークされ、ボールすら渡せないので攻撃が上手く組み立てられません。そのおかげで(?)臼井のフェイダウェイが見られたりしたわけですが。

両チームとも若い選手が多いチームであることに加え、新加入の選手が多いことも、ここまでの低迷と無縁ではないでしょう。さらに青森に至ってはマイケル・クレイグの謎退団により、外国籍選手はレナルド・ディクソンのぼっち体制が長く続いています。ライアン・リチャーズは何してるんだ?と聞いてみたくもなる。だから、できるかどうかに関係なく、とにかく全員がやれることを増やさなければならないのは必定なのですが、それがチームとしてはいいことなのかはまた別の話。

その点では東京Zの方がチーム状態はいいのだろうと思っていたのですが、ところが青森の2-3ゾーンに戸惑う戸惑う。B2でもポピュラーなゾーンなのでそれほど対処は難しくないはずだし、お世辞にも青森のゾーンの完成度は高くありません。サイドを変えられると簡単にズレができるし、そもそもサイズが足りていない。アスフレもセオリー通り、ネイル(フリースロライン付近)にビッグマンを置いて、ミドルやベースラインカットでの合わせなどで対抗しようとしていたのですが、判断が遅いのか青森の出足が鋭いのか、崩せないどころか青森にボールを奪われる始末。そのためかスリー中心に打開しようとしたものの、増子以外は当たりが来ない。アスフレはアスフレでまた拙さを隠せないのでした。

そうこうしているうちに、ディフェンスリバウンドでインテンシティを見せ始めた青森が徐々に差を付け始めます。2桁点差になり、もしやこれはワンサイドか思ったものの、2Qの終盤、アスフレが自らのフリースローのオフェンスリバウンドを拾って得点に繋げるという変則スリーポイントプレーを連発。これはこれでまた青森の拙さ(というか足りてなさ)だったりするわけですが、11点差というアスフレにとっては傷口を最小限に抑えた形で前半は終わりました。

後半は流し見だったのですが、アスフレは外国籍選手にボールを集めてシュートを打たせるものの、一向にシュート確率が上がりません。逆にそれが青森のファストブレイクを誘発する引き金になり、駒澤や臼井にいいように得点を許して3Qでほぼ試合が終わってしまいました。

さっき言った変則3点プレーがヒントになったというか、アスフレもインサイドで優位を築くタイプのチームではないけれど、この試合に限ってはそこしかなかったと思うんだけどな。38本ものスリーを放ちながら、2割ちょっとしか決められない(8本)という不発のアウトサイドと共に敗れた感がありました。増子と高木が11本ずつ、久岡が7本と、シュートの得意な選手が打ってるから良しとするんだろうか。

でも、シュートが武器のはずだったパット・アンドレーは2本しか打ってないよ。チームの強みがどこなのかよくわからないという課題を青森との対戦ですら露呈してしまうアスフレの行く末に、どうも明るさを感じられないのでした。そもそもアスフレは外国籍選手のラインアップに象徴的なように、編成の意図がよくわからない。ストレッチ系多投型ビッグマンのジョシュア・クロフォード、ペリメーターからインサイドが主戦場のハードワーカーであるマークエディ・ノエリア、そしてアンドレー。この3人でどういうローテを組むつもりだったんだ。でも、なんかこう憎めない魅力がアスフレにはあるんだよね。腕白でもいい、たくましく育ってほしい。その未来が今はまだ上手く描けないだけだ。

ところで、全体的に両チームとも謎というか改善点の多い試合ではありましたが、駒澤だけは別格というか次元が違いました。立ち上がり、相手のマークが厳しいことを悟ると、2Qは高い位置でボールをもらってドライブを仕掛けるスペースをつくり、見事にディフェンスを引き寄せておいてからお洒落なアシストを連発。3Qはランニングプレーからそのまま自分で決めてしまうなど、常に相手の対応の上をゆくプレーを見せていました。1Qは1本しかシュートを打てず、スーパールーキーも人の子かと思ったのですが、すぐにアジャストしてしまうあたりに非凡さを感じます。

ホームでようやく初勝利を上げたとはいえ、駒澤や臼井がどんどん成長を見せているとはいえ、青森もまだまだ苦しい状況が続きます。ロスターが十分に揃わないことで、無理が祟って怪我に繋がるなどのリスクも高まります。来季果たして駒澤がいてくれるだろうかという不安も含めて、逆境の続く青森にも愛しさと心細さを感じずにはいられないのでした。

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