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2021.10.23|福岡@越谷|シンプル・イズ・ベスト

ライジングゼファー福岡が下馬評を覆す健闘を見せています。前節まで8試合を終えて4勝4敗。青森や愛媛といった下位チームからの3勝があるとはいえ、アウェーで福島から1勝をもぎ取り、越谷とのGAME2も勝利まで目前でした。この試合ではバッツやブラッキンズや長谷川よりも、田村や落合らのサポーティングキャストの積極性と充実ぶりが目立ち、越谷に層の厚さを見せつけられる格好となりましたが、他のチームなら勝っていた可能性が高いでしょう。そこは強豪との差とも言えるわけですが、チャレンジングとも呼べる編成で臨むシーズンとしては上出来なのではと思えます。

正直、もっと苦労すると思っていました(すみません)。好調の理由はどこにあるのでしょうか。基本的なチームスタッツを確認してみます。

■ライジングゼファー福岡の1試合平均スタッツ
3FG|7.1/20.0(35.6%) 2位
IP|16.9/28.9(58.4%) 4位
FG|30.2/66.4(45.6%) 5位
FT|15.5/21.1(73.4%) 5位
AST|23.0  4位

中・外バランスよく点が取れており、アシストもきちんと付いている。ORtgは100.7でリーグ5位。これはFE名古屋や熊本よりも上です。つまり効率よく点が取れているわけだ。一方、DRtgは103.1で11位と良くはないものの、スティールもブロックもそこそこ多くて(いずれも5位)著しく悪いという印象はない。対戦相手のFG%は昨季よりも3ポイントほど下がっており、昨季むちゃくちゃ多かったターンオーバーも改善(5位)。非常にバランスの取れたチームになっています。

個人に目を向けると、想定外という点ではまずジェローム・ジョーダンの活躍が光ります。35歳のベテランセンターは、7フッターながらシュートレンジが広く、ミドルも高確率で沈めてきます。福島に勝った試合はジョーダンのミドルは相手に捨てられていた感がありましたが、ものの見事にスパスパ決めていました。かなりコンディションが良さそうで、ジェラルド・ビバリーとの動けるビッグマン・コンビがチームを支えています。

ガード陣はサイズ不足が気になっていたのですが、今のところは心配なさそう。梅嵜英毅HCはスピードのあるガードが好きなようで、ステッドモン・レモン、大塚勇人に加えて重冨ツインズの兄・友希も起用し、シンプルなボール運びをやらせています。福島とのGAME1でレモンのところのミスマッチをやられまくって以降は、重冨or大塚をジョーダン&ビバリーのビッグマン2枚と共に先発起用。福岡のガードの起用法はなかなか面白くて、中盤からはスモールPGにレモンや丹野合気といった得点力のあるガードを組ませるようになるんだよね。代わりにレモンが6thマン的にベンチスタートからの得点源になり、その時間帯にはアジア枠の林郅為が起用されるなど、徐々に戦術の幅が広がっています。

そして、見逃せないのは白戸大聖と本多純平の好調ぶり。どちらも昨季から大きく出場時間を伸ばしており、精度の高いアウトサイドシュートと強気なドライブやカッティングからの合わせで貢献しています。特に本多の成績はあっぱれの一言で、1試合平均30.0分の出場で12.5得点はB2日本人選手で堂々の2位(全体でも25位)。しかも3FG39.3%、FG53.3%、FT81.8%はすべてキャリアハイという33歳にして全盛期の活躍を見せています。2人に共通するのはシュートだけでなく、オフボールでよく動くところ。フロアバランスを見ながら中にも外にもよく動き、自らのシュート機会をクリエイトしています。

ざっとこんなところでしょうか。他にも丹野のスリー入りすぎ問題(50.0%て)とか、スピードだけかと思いきや重冨くんシュートめちゃ上手いとかいろいろあるのですが。あと、梅嵜HCってあんまり選手交代を頻繁にやらないよね。そして交代したらしたで長く使う。ある程度、メンバーを固めた状態で戦うのも選手にとっては役割が明確でやりやすいのかもしれない。

まとめてみるとこんな感じ。

・よく動きシュートレンジの広いビッグマン
・スピードがあり球離れの良いガード
・シュートがうまくてよく走るウィング

こう書くとまるで高校生の強豪チームのようだけれど、なるほどスタイルは極めてシンプル。各ポジションの選手がしっかりやることをやっているだけだったりして、それがまた清々しいというか福岡という土地らしいというか。複雑なセットを組んでくるわけではなく、シンプルなピック&ロールやそれに合わせた周りの動き、アクションに次ぐアクションみたいな教科書に忠実な感じのするバスケットボールなのでした。

要はシンプル・イズ・ベストってことなんだろうけど、昨季はスーパー・アグレッシブなディフェンスから相手をあの手この手で削っていくトリッキーな戦い方を見せていた福岡がこれをやるんだから感慨もひとしお。駒不足の印象や出場時間に偏りがある点が長いシーズンの中では気になるけれど、俺の予想なんて当てにならんよ(開き直り)。

一気にイメージチェンジを果たした福岡は、今後どのような戦いぶりを見せるのでしょうか。台風の目になるのか、壁にぶつかることになるのか、まだまだシーズンは始まったばかりです。



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