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2022.5.15|プレーオフという白日

B2プレーオフはクォーターファイナルを終了しました。どのカードもとても見ごたえがあり、やはり「WIN or GO HOME」(勝つか、家に帰るか)のプレーオフは違いますね。今季は全チームがB1ライセンスを保有し、4回勝てば昇格というインセンティブがあっただけに、内容も濃く、面白かったです。私も香川と佐賀のGAME2を現地で観戦。香川の貫禄勝ちではありましたが、佐賀も最後までしぶとく戦い、散っていきました。

試合後、深々とお辞儀をする佐賀バルーナーズの選手たち

さて、プレーオフは互いに死力を尽くす真剣勝負であるがゆえに、そのチームに足りないものが明るみに出てしまう舞台でもあります。私は性格が悪いのでしょう。そういうところばかりに目が行きます。敗れた4チームには何が足りないのか。シーズンオフを展望する形で考えてみます。なお、クォーターファイナルの結果を勝敗数まですべて的中させた人がいるらしいよ。

■越谷アルファーズ

FE名古屋に2連敗でシーズンを終えた越谷。昨シーズンの躍進から、松山駿やソウシェリフらを加えてさらなる飛躍が期待されましたが、バッツ&ブラッキンズの外国籍インサイドコンビ、畠山&長谷川のベテランガードコンビが共に振るわず。こうなると難しいのがオフの動き方です。

何が足りないかと言われれば、全部少しずつ足りない。中心4選手との再契約をどのように考えるのか、GMは頭を悩ませているでしょう。外国籍選手の顔ぶれを刷新するのか、伸び盛りの鎌田をバックコートの中心に据えるのか。また、今季はずっと3人目の外国籍選手に苦しんできたシーズンでもありました。決して弱いチームではないものの、絶対王者相手に力の差を見せ付けられただけに、現有戦力+αでは間に合わないことが明らかになってしまった。大きな変化があったとしても不思議ではありません。

■西宮ストークス

熊本ヴォルターズとの死闘の末に敗れた西宮はタイムリミットを迎えつつあります。これまで何の疑いも持たなかった、谷・松崎・道原の地元出身トリオを核としたチームづくりを見直すべき時期にさしかかっています。

昨オフから今季にかけて、今野翔太、渡邊翔太、福田真央、川村卓也、中西良太と次々に実績のある選手をリクルート。豪華なロスターで臨んだプレーオフでしたが、十分にあったアウェーでのアップセットをみすみす逃してしまいました。シーズン後半は特にHCの選手起用が定まらず、デクアン・ジョーンズの調子の波に翻弄されるような試合運びばかり。年齢構成的にチームとしてのピークを過ぎてしまった感もあり、かと言ってチームを背負えそうな若手もおらず。そもそも選手の獲得方針に一貫性が感じられないことを思うと、長期的な視野を持ったGMを招聘し、HC選びも含めて一からやり直した方が良さそうです。そうでなければ、詰めの甘さと不運だけが印象づけられたプレーオフの意味がなくなってしまいます。

■福島ファイヤーボンズ

森山HC兼GMの長年の積み重ねが実り、ついにプレーオフ進出を果たした福島。白熱を極めた仙台とのシリーズに敗れた結果はもちろん納得のいくものではないでしょうが、賞賛に値するシーズンだったと思います。

その上でさらなる高みを目指すためには、ディフェンス強度の高いチームを相手に打ち勝つ爆発力や、自分たちの得意な速い展開が出せない時の打開策が必要です。それは今のチームの練度を高めることによって解決できる問題なのかもしれませんが、やっぱりもう一つ二つ三つパンチが欲しい。各ポジションにエース級の選手を獲得してアップグレードしたいところですが、そうなるとチームバランスが崩れてしまうのかな。とはいえ、敗退という結果やB3からの昇格チームのことも考え合わせれば上積みがなくては過酷な昇格争いは勝ち抜けません。B2のレベルアップのスピードがどんどん増している今、大きな目標を達成するには、辛い別れも覚悟しなければならないのかもしれません。

■佐賀バルーナーズ

戦力ダウンと思われた今季も、昇格初年度に引き続きプレーオフに漕ぎ着けた佐賀。劣勢と思われた香川との対戦も、レイナルド・ガルシアを中心に不屈の闘志で粘り強い戦いを見せました。その勇敢な戦いぶりは感動的ですらあり、捨て身のオールコートプレスやトラップディフェンスで香川を慌てさせました。しかし、そうした「奇策」はあくまで自らをアンダードックと認めた上での短期決戦用の戦い方であり、上位進出そして昇格を目指すのであれば戦力補強は至上命題です。

今季の佐賀は相次ぐ主力選手の怪我に苦悩しました。西裕太郎やギャレット・スタツらを失い、プレーオフのGAME2では角田を欠きながら、その都度、バックアップの選手がステップアップしてチームを救いました。宮永HCや高橋ACのコーチングの賜物ではありますが、それもガルシアという大黒柱がいてこそ。ガルシアとの再契約を最優先で進めるべきでしょう。ガード陣は岸田・角田をキープしつつ、ウィング陣は日本人選手含めて充実を図りたいところ。マイルズ・ヘソンはいい選手ではあるものの、安定感という意味では疑問符もあり、プレーオフで直面したサイズ不足も含めて、ガルシア以外の外国籍選手の編成も再考が必要そう。将来は明るいとはいえ、オフに解決しなければならない問題は山積しています。




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