見出し画像

N26ミレニアル世代に求められる銀行

ベルリンのスタートアップ企業モバイルバンクのN26がシリーズDの資金調達で米国への進出か?と言うようなニュースが話題になっている。
https://forbesjapan.com/articles/detail/24918#
モバイルに特化した銀行として数クリックで無料で口座が開設でき、無料クレジットカードが発行され、振込み無料、クレジット決済の為替手数料無料。
N26の内容に関する日本語の詳細は以下を参照。
https://jinenbo.me/n26/

 ただ近年のフィンテックで注目されているブロックチェーンのデジタル通貨やAIの技術を使ったサービスではない。既存のレガシーな銀行業務を見直し、モバイルに特化したUXをスマートにイノベーションしている。モバイルバンキングの技術はほぼAppleの提供しているセキュアなID認証やApple Payの決済技術をベースにしている。(AndroidはGoogle Pay)サービスプランは、フリーミアムでユーロ圏でのATM手数料0円、為替手数料0円とサブスクリプション月額€9.9で全世界のATM手数料0、損害保険がついてくる。2つのプランになる。Forbusの言う収益性はサブスクリプションからとされるが、収益の柱にしては、いささか弱い気がする。月額よりも登録後に無料発行されるdebitクレジットカード。マスターカードからの還元なのではないか?またネット決済だけでなくリアル決済でのビッグデータを漏れなく収集することで、今後の個人の取引信用に対する貸付業務などいくらでも考えれる。特に法人カードの場合は借入できるようになれば楽だろう。

 N26のCEOのヴァレンティ スタルフはオーストリア出身の33歳。2013年の創業から5年で欧州17カ国で展開。彼らのサイト https://n26.com/en-eu/ 如何にもドイツ好みのシンプルなロゴとサイトデザイン、情報はN26 magとしてMediumでスタイリッシュに提供しているあたりが、好感をもてる。ターゲットを明確にミレニアル世代に絞っているから、サービスもメッセージも一貫したブランドデザインで統一されている印象。日本の銀行と比較すると、サービスの本質の違いが見えてくる。口座開設に印鑑というだけでもレガシー。

 ベルリンの企業ということも注目される。欧州各国ではスタートアップ支援は手厚い。イギリスのロンドン、フランスのパリ、ドイツはベルリン。資金調達額はイギリス、フランスについでに3位のドイツ。ドイツの中でも半数がベルリンがと抜きに出ている。ベルリンにスタートアップが集まる理由は、多民族のダイバーシティで多言語が当たり前、自由なカルチャーと、物価の安さ、英語が起業家の公用語として通じる点と思われる。そのような背景がサービス設計に活かされ、グローバルにスケールできている。
https://www.houdoukyoku.jp/posts/10458

昨年の暮れから年が明けても欧州からは暗い世情のニュースが多い。移民問題、経済格差の問題など社会の課題が鬱積している。その危機感はスタートアップ支援と若者の起業意識は着実に国や社会の支えになっている。N26の資金調達は明るいニュースになるだろう。

 最後に日本の銀行の手続きのレガシーさ、窓口業務は暇を持て余した老人の憩いの場であり、年金の入出金、遺産相続の管理でしかない。信用金庫は積極的に地域に貸付を行わない。結局、地域にお金が還元されずに社会は衰退の一途を辿っている。日本は単一民族の比率が高く、移民などの社会問題を抱えていない。物価も高いともいえず、安くて良い食事は食べられる。高等教育を受けた国民は男女ともに多い。世界市場の中での円の強さを考えれば、これほど起業に恵まれた国はない。新しいスタートアップ、新しいフィンテックが生まれる可能性がある。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?