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十二月とナナカマド【シロクマ文芸部】

十二月

音が消える
色が消える
モノトーンの冬が来る

ナナカマドに
雪が降る
「冬の色ってナナカマドしかないよね」
と言ったら
「ナナカマドってどれ?」
と聞かれた

同じ地元だけど見てる景色が何故か違う

赤い実に
白い帽子をかぶって
今日もナナカマドは
かわいく揺れている

「冬のナナカマドは可愛いんだよ」
「あっ、わかった」


「踏むと汚い実だね」


あなたの感性に
わたしの心は、雪解けのような味になる

「うん、もうそれでいいよ」


あなたには
わたしの「かわいい」は伝わらない
マッシュルームの形
雪をかぶったナナカマド
天を貫こうとする姫筍

わたしには
あなたの「かっこいい」は伝わらない
ペットボトルのフタ
映画に出てる恐竜
ゲームのいかつい装備


それでいい
それがいい


同じコタツに入って
同じものを見て
違うものを得て

あなたの言葉で
わたしの言葉で

ハッと気がつく
違うものを得る


2人でいればゲットできるものが増える


今年も雪が降り積もる



同じものを見ても、
同じ経験をしても
得るものは全然違くて。

違うからいいんだと思う。

100回のうち、
99回が違っても、それはそれで笑えて
1回が合えば、そんなところで合うのね、と笑えるんだから。

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