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散歩記録 ケルンと芭蕉「萬年橋」

近くに架かる清洲橋等も軽く交えつつ紹介していきます。

本編


今回紹介するのは、東京都江東区清澄の小名木川に架かる「萬年橋」

清澄白河駅から徒歩5分ほどの位置にあるこの「萬年橋」

隅田川と小名木川が合流する地点に架かっていて
隅田川沿いのテラスの江東区側を歩いていると必ず通ることになる橋です。

まず目に入るのはそのゴツい構造。


下路式ブレースドリブタイドアーチ橋と言う構造で
都内では他に隅田川白髭橋

白髭橋


同じく隅田川千住大橋

千住大橋


新中川の明和橋

等がこれに当たります。

正直なところ、橋自体の美しさであれば萬年橋よりも
上記の橋達の方が勝ると感じます。

が、橋の歴史土地との結びつきを知っていくと
また違った魅力が見えてくるもの。

という事で、ここから先は萬年橋の歴史周りを紹介していきます。




ケルンの眺め

まず、橋の北岸西側。

 ここから前方に見える清洲橋は、ドイツ、
ケルン市に架けられたライン河の吊橋を
モデルにしております。
 この場所からの眺めが一番美しいといわれ
ています。

とのこと。


ケルン市ライン河にあるドイツァー橋を参考にした清洲橋を
一番きれいに見られる位置
が萬年橋のたもとにあるためです。

その景色と言うのがこちら

曇天(雨空)に加え工事の船が写り込んでいる。 考えうる限りの悪条件が重なった日だった。

本物のケルンの眺めを知らないので何とも言えませんが
こんな感じなのでしょうか。

曇天なことを考慮しても何とも言えない感じですが
それもそのはず。

「景色が綺麗」という触れ込みではなく
あくまでも「橋が最も美しく見える場所」なのです。


それにしたってマンションが邪魔で橋も微妙に見切れています
清洲橋がドイツァー橋を参考に作られたのはWWⅡ前の話。
当時の街並みではこの位置からが最も美しかった と言う事なのです。

さらに、ドイツァー橋はWWⅡにて破壊消失。
現在は全く別の構造で架け替えられています。

元となった橋が本来の姿を無くしているため
「世界で唯一、当時のドイツァー橋を実際に感じられる場所」
と言われるとこの微妙な景色も途端に有難いものに感じてきます。


まあ萬年橋と直接の関係はないですが。



推定300歳以上の長老


そんな、グローバルな景色をお隣に持つ萬年橋。

実は1680年頃には既にこの位置に架かっていた記録があり
最低でも342才を超える長老橋なのです。

300年前江戸当時の小名木川に架かる橋は水運の邪魔にならないよう
橋桁が大きくカーブし高さのある形だったそうで
勿論萬年橋もその一つ。

その形はまるで虹のよう安藤(歌川)広重葛飾北斎
の手で錦絵が残されています。

安藤(歌川)広重 『深川萬年橋』

葛飾北斎 『深川万年橋下』


また、橋近くにある芭蕉庵史跡展望庭園には
上記の北斎の錦絵が飾られていました。


そんな、大昔からその造形や景色で親しまれてきた萬年橋

流石に当時の姿を残してはおらず架け替えがされていますが
冒頭でも述べた下路式ブレースドリブタイドアーチと言う構造は
もしかしたら江戸時代当時の虹の形を再現するために採用されたのかな
と思ったりもしました。


芭蕉縁の地


自然に芭蕉庵史跡展望庭園なる場所が出て来ましたが
これはかの有名な松尾芭蕉この周辺に居を構えていた為に
縁ある土地として、石造や句達と共に佇んでいる場所。

アオリで撮影しているのもあるけど割と大きい。
椅子が沢山。

萬年橋北にある芭蕉記念館は基本有料ですが
こちらは無料で利用できるためふらっと立ち寄って
一休憩なんてことも可能。

入口が微妙にわかりにくいこともあり
偶に来る歴史系のツアー客以外で人はあまり見かけません。

入口。遅くなると門が閉まり入れなくなる。

また、この場所から見る清洲橋がなかなか綺麗

やはり生憎の曇天。

人の訪れない静寂な空間で松尾芭蕉に見つめられながら
100年前のケルンに思いを馳せる

何とも乙なタイムスリップを体験できます。



※余談 この松尾芭蕉像、動くらしいです。



まとめ

300年以上この地を見守り続けてきた萬年橋。

橋から見えるはケルンの眺め、橋を見れば江戸を思わせる虹のアーチ。
そしてそれらを眺める芭蕉。

とにかく要素が多く、文字に起こすとカオスな感じがしますが
実際に訪れてみるとそのどれもが主張しすぎず調和していて
不思議な魅力がありました。

また、夜間にはライトアップもされていて
北からでも南からでもテラス散歩のゴール地点として最適。

是非訪れてみてください。



おまけ

芭蕉記念館にあった芭蕉庵の再現。
記念館の入り口
ライティングされた清洲橋
その2
漢字名板



おわり


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