【母と私の備忘録】やるかやらないか

抗がん剤治療を始めて、毎日電話でやりとりをすることが日常になる。ちょうど抗がん剤治療が3回目で、手足の痺れが次の治療までに消えにくくなっていた頃、母から相談があった。
「お母さん寝床をベッドにしようかと思うのだけどどう思う?」
これまで畳の上に布団を敷いて暮らしてきていた。

父の頃から伝えた、前日しっかりカラダを休め、緩んだカラダを無理なくしなやかに起立させ、こわばらせたりしないカラダの使い方がある。自重を活用したカラダの起こし方。

【母に問う「何を思ってベッドに切り替えたいか」】
母が相談するときは誰かに賛成してもらいたいから、つまり「娘に許可を出された」という後ろ盾が欲しい。まあ俺もそうだからそこはいい、なので、彼女がやりたいと思うことを否定はしない。「もちろん。闘病しているのはあなただから、快適に生活するために、ベッドに切り替えることはいいと思うよ」
と伝えた。もちろん生活するのは母なので、全体的にプラスになるなら、なんでも取り入れたらいいと思う。しかし取り入れた時におこるデメリットとメリットを知る事、そのほかデメリットを何で補填するかは決断のタイミングにちゃんと決めておいてほしいのだ。それらを鑑みて、最終判断をしてほしいなぁって思ったので。

私「ちなみにどうしてそう思ったの?なんかきっかけあった?」と母に聞いてみた。すると
母「楽かなって思って」
はい。なんも自分のカラダの今後のこと考えてなーーーーーーーい。


私「父の時ベッドに切り替えたのは、尿漏れがきっかけで、冬のクソ寒い中、2階の寝床から起き上がりに1階のトイレに行く負担をかけないようにって1階に設置して、母も介助しやすく、父の自尊心をなるべく折れないようにするためだったじゃん(ちなみに2階の別部屋に簡易トイレを設置したけどそれを使うのを父が嫌がった)」
私「お母さんも抗がん剤3回目の副反応で、毎朝起きるのが辛くて、テンション下がっちゃうのかな?、もしさ、寝起きしんどいぐらいなら、ほかの家事仕事も含めデーサービスさんに来てもらうことも考えたほうがいいんだよ?大丈夫??」

と話したら、
母「そこまでじゃないのよ、ただ楽かなーって思ったの」

私(そーですかそーですか)「・・(沈黙っていうか閉口w)」

母「教えてもらったカラダの起こし方で、起きればつらいわけではないのよ。デイサービスで通ってる運動できる場所でも、みんなと話していても、この年でいまだにベッドじゃないこと驚かれてるの」
「寝た姿勢から、平なところでカラダを起こすのも、正座(椅子)から立ち上がるのも座るのも、歩くのも全部運動になるんだよ。寝て、寝返りうって、カラダが緩んだ時に、無理に癖をつけないで構造にそって、ゆっくり起き上がると次の日は楽にカラダを動かせるんだよ」
「そーそー教えてもらってからずっと気をつけてるのよ」
「・・・・・・・・・私、ベッドに切り替えるのやめるわ。まだ起きられるもん」

(「はい正解!」)

私「日常の動作を、本来の正しい使い方で動かしてたらさ、全部運動になるからね。それでもまた、ベッドに切り替えたくなったら、それはそれでいいんだよ。ダメじゃないからね。ただ無理する必要はないけど、その時は、寝起きの動作が軽くなった分、たとえば散歩を必須にするとか、階段多めに使うとか、変わりの運動量を考えてあげるようにすればいいんだよ」

草笛光子さんも言ってたよ「老いは億劫との戦いって」

そして二人で「ほんとにーーーーーーーーーー!!やるかやらないかだけなのよねぇ」

自分で気がついて、自分で判断する大事大事、またなんか思ったら一緒に考えようね。どっちの決断でも応援するよと伝えて、って笑って、電話を切りった。


その後「どや!」と小鼻を膨らませて、
してやったりと思うちょっと黒い私でありましたw



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