見出し画像

魂の格、早慶が旧帝に勝利する日


魂の格とはそもそも何か

 "魂の格"、この言葉自体は私のNoteを読んでいる時点で殆どの人間が聞いたことがあると思う。しかし、この言葉の定義について知っている人間は殆どいない。
 ある浪人生は単に大学の偏差値が高い状態を魂の格だと言い、それを高めるために自分は浪人しているのだと、無職である事を正当化している。それに対して、ある現役生(過去の私、現在仮面浪人生)は浪人生について、何かを生産をするわけでもなく、若い頃の一年という貴重な資源を無駄に浪費しているごくつぶしであるから、浪人生は魂の格が低いのだと主張する。ある受験生は近所の学費の安い公立大学へ行き、親孝行をする事が魂の格が高いと主張し、別の受験生は学費が高く、親にある程度の負担を負わせる事になろうとも、ブランドのある名門私大に行く方が魂の格が高いと主張する。
 一見すると使用者によって意味が異なり、統一された見解を基準を見出す事は難しいように見える。しかしながら上記の例全てを内包し、全員が納得するであろう、魂の格という言葉の定義が存在する。それは「公立中学校の同窓会でどれだけの尊敬を集められるか?」である。親孝行な者、名門大を出たもの、学力の高い者は当然尊敬を集めるし、浪人生は腫れ物のように扱われる。魂の格という言葉の含意を的確に捉えているのだ。
 詳しくは納豆氏のNoteを参照してもらいたい。  https://note.com/natto1919/n/nd35ef384c792

過去の旧帝と早慶の魂の格について

 現在の"魂の格"論者の殆どは東大と京大を除けば、地元での旧帝の魂の格はその地方では最強であると考えている。地元の旧帝大の学生は低い学費による親への低負担、地元の市庁や県庁の職員、大量の雇用と税金を生み出す地元で名の知れたメーカーの技術者、あるいは地元の健康・医療の最前線で戦う医師になり、その学才で地元に莫大な貢献をする模範的エリートであるとその地方の人間は考え、また関東から早慶に行く学生も、関東では似たような扱いを受けることになる。しかし地方から早慶に行く学生は地元で名の知れた"国立"大学ではなく、わざわざ東京の私大を選び、東京で就職して地元には帰ってこない、謎の人間であるのだ。
 これに照らし合わせれば魂の格、「早慶と地元の旧帝、どちらが同窓会で尊敬を集めるか?」この問いの答えは当然地元の旧帝であり、早慶というのは関東では東大京大を除き高い魂の格を誇るが、他の地方ではあまり評価されないという現実が今までは存在しており、5教科7科目やっているから偉いなどと言う、訳の分からない言説を振りまく学歴厨の意見を持ち出さずとも、早慶よりも旧帝の方が好ましいという事を説明するには十分である。

学歴厨、北の大地へ往く

 唐突な話だが私は3月末、親戚の用事で北海道へと行った。札幌で用事を片付けた後、ついでにオンラインゲームのフレンドとオフ会をするために苫小牧に行った。出会ったフレンドは私の1コ下で高校3年生、偏差値50程度の高校に通っていて、専門学校に進学予定と大学受験とは無関係であり、私のツイッターでは常に学歴についてつぶやき、オフ会でさえ学歴の話をする学歴厨浪人生というものとは対照的な人生を送っている。そんな彼に大学受験の話を吹っかけるという迷惑行為をしながら一緒に食事をしていると、いきなり彼はスマホを見せてきて、とあるインフルエンサーのインスタアカウントを見せてきた。そして、彼が言う
  「このインフルエンサー、慶應の学生なんだって!頭いいよね!」
 今までの学歴界隈では、世の大半を占める、大学受験に熱心でないタイプの高校生の学歴観は、そのほとんどが高校教師や親からの影響で形成されると考えられてきた。これに基づくと親や教師の身の回りにいる最もレベルの高い層、つまり地元の旧帝大進学者を高く評価し、身の回りにいない早慶については良く知らない状態になる。しかし、SNSがこの常識を覆したのだ。
 どうせ、このNoteを読んでいるような人間が使用するSNSというのは基本的にTwitterで、リアルでの友達や世間一般との交流が弱いがために若者の主流であり、皇室御用達SNSでもあるインスタグラムはほとんど使用せず、ねじ曲がった性格の為にこれを蔑視している朝敵であろう。しかし偏見を捨て、一度インスタグラムを覗いて人気のアカウントを見てほしい。       
青学生が勉強せずキショいサラダばっか食ってる映像東京の有名私大の学生がキラキラキャンパスライフを送っている光景が一大コンテンツになっているのだ。苫小牧の彼も、それに影響を受け東京の私大に対する評価を高めていた。

SNS、東京一極集中、学歴

 時代錯誤で、非合理的な教育課程を採用している公立中学校でさえ、インターネットを授業に取り入れている昨今、インターネットが中高生の価値形成に大きな影響を与えており、過去のそれとは違うという事は明白である。未だに、ツイッターや5chの受験サロンでは私大を3科目しかやっていないだの、指定校推薦のような裏口入試があるだの、学費が高く親不孝だの、バカにしている学歴厨もいるが、時代は変化したのだ。
 現在、日本の人口は地方を中心に大幅に減少している。それとは対照的に、東京都の人口は若者が地方から進学や就職で上京してくるために、増加を続けており、東京の大学生数は増加している。これが何を意味するか、SNSの若者コミュニティにおける"東京"の影響力が大幅に拡大するのだ。SNSの若者向けインフルエンサーは東京から発信する者や、ネット上での友達も東京に住んでいるという事が多くなる。昨今の中高生たちは現実世界での周りの大人ではなく、インターネット上の人間の経歴を参考に学歴観を形成していく事が珍しくない。そうなるとインターネットで強力な影響力を持っている東京の"魂の格"基準が地方に輸出されるのだ。多くの人間は国立大学の偏差値に+5をし、国立大学にこだわる異常者ではない。我々、"魂の格"論者は地方における"魂の格"論の一部を修正し、東京の私大が評価されるようになっているという現実を受け止めなければならない。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?