抱えた秘密は、まだ嫌な色で光っていた。

 そのまま家に帰って、鏡で自分を見て、自己嫌悪でひどく嘔吐した時は心底ほっとした。

 ……抱えた秘密は、まだ嫌な色で光っていた。
 人の心の甘く棘々しい部位で。
 こういう種類の秘密って、たった1つ抱えただけで、まるでこの世の大事な知識ぜんぶを手に入れたかのような良い心地にさせてくるんだなと思った。
 自分だけが裏の状況を理解している。それに対して周りの人たちは、まるでみんなアホ面下げた無知の集まり……みたいな。

 けれども、ちゃんとそれはゲボだった。
 ゲボだと思える自分がいた。
 野卑な秘密を抱えてニヤついている自分を自分はちゃんと飲み込めずにいたのだ。
 自分はまだ醜くない。
 3回吐いて、涙が出てきた。

 空きっ腹に缶チューハイを入れた。
 くだらないyoutubeを見て、その夜は寝た。
 思いのほかよく眠れた。
 だから翌朝はまた妙に不安だった。