見出し画像

授業デザイン#02【3年理科】

身に付けさせたい力

 小学校学習指導要領(平成29年告示)解説理科編の第3学年では、次のような説明がなされています。

 身の回りの生物について,探したり育てたりする中で,それらの様子や周辺の環境,成長の過程や体のつくりに着目して,それらを比較しながら調べる活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

ア 次のことを理解するとともに,観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア) 生物は,色,形,大きさなど,姿に違いがあること。また,周辺の環境と関わって生きていること。

イ 身の回りの生物の様子について追究する中で,差異点や共通点を基に,身の回りの生物と環境との関わり,昆虫や植物の成長のきまりや体のつくりについての問題を見いだし,表現すること。

小学校学習指導要領(平成29年告示)解説理科編 平成29年7月 文部科学省

こういった力が求められています。そこでこれらの力をつけるために…

アフレコ

の授業をデザインしてみました。
 MicrosoftのFlip(旧Flipgrid)を活用した実践となりますが、画面録画ができるタブレットPCでならどれでもできると思います。
 授業の流れは以下のようになります。

①動物の動画を撮りに行く

 まずは動物の動画をみんなで撮りに行きます。使用するタブレットの性能にもよると思うのですが、動物の写真をキレイに撮るのは大人でもなかなか難しいです。まずピントが合わせづらいし、動物が素早く動いてしまうため、なかなかうまくいきません。そこで写真ではなく動画を撮らせるようにしています。動画だと切り抜いて編集できるので、撮影のハードルがグッと下がります。

今回はばっちりカメラ目線の「カマキリ」が撮れたということにしましょう。やる気満々ですね。

②撮影した動画を共有する

 自分でとった動画をクラス内の共有スペースにアップロードさせます。私の場合は、MicrosoftTeamsを使っています。とにかく自分が撮影した動画はすべてアップロードさせました。アップロードされた動画の中から児童はどれでも好きな動画を選ばせます。うまく取れなかった児童もこれによって次のステップに進めるようになります。どんな時でも困ったときは助け合いの精神が大事です。
 さてここで一つ予期せずに盛り上がったことがあります。ふと動画を確認していると、誰かがあげた名前も分からない動物の動画がありました。その動画を見つけた数人の児童が、その動物の名前の同定作業を始めました。試行錯誤の末、結局その動物は「セスジススメ」というガであることが分かりました。未知の動物に対する興味がぐっと増した瞬間でもあります。こういうアクシデントから急速に児童の学びは発展していきますね。教師としてもうれしい瞬間でした。

③動画をミュートで再生しながら、アフレコする

 ここで、授業のねらいを確認しながら、アフレコに取り組ませていきます。具体的にはFlip(旧Flipgrid)にて画面録画をさせながら、選んだ動画を再生し、アフレコさせていきました。「なんでその場所にいるのか?」「何をしているのか?」そんなことを考えさせながら児童はアフレコにチャレンジしていきます。中には声色を変えて、動物の気持ちを話している児童もいて、全体的に楽しみながらアフレコができました。
 例えばここではChatGPTにアフレコのセリフのたたき台を作ってもらいました。こんなセリフを動画を再生しながらアフレコしていきます。なかなかいい感じですね。

プロンプト:
あなたは世界初の日本語を話すことができるカマキリです。獲物のバッタをとろうとしているカマキリの気持ちを、カマキリ語で面白く解説してください。

ChatGPT:
カマキリ「バッタを狙ってるワタシ、今日も気合い入ってるぞ!バッタはあの草むらにいるはずだ!ワタシのステルス技術を見よ!」
(カマキリが静かに草むらに近づく)
カマキリ「ちょっと、バッタ!お願い、ちょっとだけ…まあ、逃げないでくれ!ウィンクしてもいい?」
(バッタがビクッとする)
カマキリ「ああ、やった!あとはひとっとびだ!ここからが本番だ!…って、ちょっと待って!バッタ!?」
(バッタが素早く飛んで逃げる)
カマキリ「えええ!?なんで逃げるの!?まだゲームオーバーじゃないのに!」
(カマキリががっかりしながらバッタを追いかける)

ChatGPT

④相互鑑賞をして多くの動物に触れる

 私の場合は動画をFlip(旧Flipgrid)にあげていたので、相互鑑賞がスムーズにできました。ここでいろいろな動物のアフレコ動画を片っ端からみんなで見ていきます。中には同じ動画を使っている作品もあるのですが、当然制作者が異なれば、セリフも全く異なるので、別の作品として見ることができ、飽きずに多くの作品に触れることができます。

 以上が今回の授業実践となります。従来の私の実践だと、動物の観察と言えば、紙媒体での観察カードにかかせるだけの活動となっていました。観察する動物も1人1種類程度で、浅く狭くといった活動で終わってしまっていました。ここでタブレットをフル活用し、リアルタイムで動くアフレコ動画を作成することで、とてもたくさんの動物の生態について学びを深めることができました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?