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ホラー映画の「リゾートバイト」を観たんよ。さっき。付:ホラゲー的想像力について

「きさらぎ駅」の監督が贈る都市伝説シリーズの第2弾。離島の民宿にバイトに来た学生3人を待ち受ける恐ろしい運命とは?ってな本作。ネタバレ絶対にしない方がいい感じなんで詳細は省くんやけど、タイトルの「リゾートバイト」は2ch系の怪談で有名なもののひとつ。元の話は以下など。

今回はこの話に、同じ2ch系怪談や都市伝説をいくつか魔改造したうえで悪魔合体したような話やった。途中までホラーで3分の2過ぎたくらいでギャグっぽくなり、最後にホラーに戻る構成は「きさらぎ駅」と通じるものがあったんよ。ただ、「きさらぎ駅」は転ずるパートのその中身が最大の見せ場で、その前後はまあ、言ってみればそこを成り立たせるための添え物的な印象がぬぐえんかった。シンプルなシングルアイデアの作品やったんよ。ギャグ転までは地道にきさらぎ駅の話を実写化してつじつま付けました、みたいな感じやし、終わり方はヒトコワ系としてオーソドックスっちゅうか。

せやから「きさらぎ駅」観たとき、おっちゃん「うーん」て思たんよ。悪くはないんやけど、そない評判になるほどなん?て。
せやけどね。それはその後しばらくしてから、違った、ちゅうことに気づくんよ。「きさらぎ駅」はホンマは友達とかとやいやいツッコみながら観るんが正しい視聴方法やったんや、って。マルチ前提のゲームをシングルでやってゲーム性やバランスに首かしげるような、おっちゃんが感じてたんはそういうもんやったんやな。

で、今回の「リゾートバイト」。こちらは「きさらぎ駅」と違ごうて、いちおう全部がラストに向かって収束していく感があって、全体のまとまりは前よりもアップしてるんよ。元ネタになった怪談や都市伝説の魔改造や悪魔合体のしかたも上手く…ないな。終盤のギャグっちゅうか超展開パートのパンチ力でごまかされてたけど、よくよく考えるとけっこう「たいがい」やったな。微妙に形の違うパーツを怪力で無理やりくっつけたような感あるわ。いや、その力任せなところが今回は味になっててええんやけどね。

なんにせよ、作中で出てくるそうした部分について、特に説明や言及もない部分がいくつかあって、その辺は知ってる方がより楽しめるっていうだけやなくて、前提知識がある前提なんかな、とも思った。
考えてみれば2ch系の怪談や都市伝説が出回ってから十数~20年以上も経ってるわけやから、さすがにそうか、とか感慨深くなったり。「多くの人が知ってるだろうこと」をわざわざ説明したりはせんもんやし、2ch系の怪談や都市伝説がそうした扱いになるんも、さすがにもう、そうか、みたいな。

ともあれ今回は「きさらぎ駅」からの正統進化っちゅう感じがしたし、ギャグっぽくなってるところも予算が足りなくて欧米ホラーみたいな説得力のある映像にはできない点を逆手にとってああしてみせた、みたいに考えれば、創意工夫から面白いものを作れてたと思うんよ。あの辺のパートはホンマにオモロかったんよ。おっちゃん、声出して笑ろうたわ。

あと、そうや!「リゾートバイト」はおっちゃんの“いつまでも好きな女優フォーエバー部門”で不動の1位、佐伯日菜子さんも出てるんよ。これは知らんで観たからうれしかったなぁ。おっちゃん、その昔「毎日が夏休み」の佐伯日菜子が好きすぎて何度も観てた時期あるんよ。もちろんエコエコアザラクも繰り返し観てたし、まあ、なんか、あれよ。ほら、ええんよ、とにかく。今回も出番は多くなかったけど、今でもあの名状しがたい良さは健在やったね。

でまあ、観終わって少し経ったいま、おっちゃんしみじみ思うんよ。「ああ、これも友達とかとワイワイ言いながら観るんが一番やったんやろうな」って。おっちゃんみたいなんがモニターの前で「後方腕組み批評家ヅラ」して観るんが正解の視聴法じゃないんやろうな、って。まあ、それが正解の視聴法なんて映画はないんやけどな。「どれどれお手並み拝見といきますか、っと」じゃないんよ。

で、ここからは余談なんやけど、いやまあ、言うてずっと余談みたいなもんなんやけど、おっちゃん、もう何年も「ホラー映画とホラーゲーム」の関係について考えてきたんよ。
といってもハッキリした論があるわけやないんやけどね。まず、昔はホラーゲームがホラー映画の影響を受けてることが多かったように思うんよ。ホラーゲームが展開や演出なんかでホラー映画を参照してるっちゅうか。
そうやなくてここ何年か、ゲーム関係ないホラー映画が展開や演出においてホラーゲームを参照しているケースが増えてきたような気がしてるんよ。証明はほぼ不可能なんやけど。『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』とか『FNAF』みたいな、ここ数年のゲーム原作の映画みたいな話やなくてね。

個人的に最初にそう思ったんが2019年公開の「IT/イット THE END」なんよ。リメイク版ITの後編やね。途中の怪物化したオババに追われるシーンとか、ラストのペニーワイズ戦とかね。作画クオリティはゲームよりずっと上にせよ、見せ方とかその場で起こってることとか、すごくホラゲーっぽかったんよ。個人的な感想でアレやけど。わかる人おれへんかな?

「きさらぎ駅」も見せ場のこと周回プレイ言われてたやん? 公式にそれについて何か言ってるんか知らんけど、確かに周回プレイっちゅうか、主人公が攻略知ってる的なムーヴしてるわけやん? ホラーに限定されるわけやないんやけど、ゲームのサクサクプレイを映画に取り込んでるように見えるんも視聴者(と、もしかしたら作り手側も)ゲーム的なもんの影響があるわけや。「リゾートバイト」も(おっちゃんがそう見たいからそう見えただけかもやけど)超展開パートはゲームっぽさあるように思ったんよ。舞台設定と相まって「サイレン」とか「恐怖の森」とか、その他たくさんある和風土着ホラゲーっぽいっちゅうか。

っぽい、っぽい言うばかりでフワフワしてるんは自覚あるんやけど、まあ、さっきも言うたように「ホラゲーからホラー映画への影響」っちゅう話はおっちゃんのなかでもずっとフワっとしてて、あんまり形を成してないんよ。なんかこう、そこになんかありそうな気がしてんねやけどなぁ。
具体例、おっちゃんとしては欧米の最近のホラーを中心に他にもあるっちゃあるんやけど、長なるし感覚的な「っぽい、っぽい」ばかりやから割愛するわ。

ともあれ、その意味でもA24配給、Kane Pixels監督の映画版「The Backrooms」はネットロアとホラー映画とホラゲーの交錯点として、単純に面白そうってだけやなくておっちゃん的には公開が楽しみなんよ。っていうか、日本で公開されるとええなぁ。そもそもホンマに公開されるんかな。

画像はAIによる「楽しいはずのリゾートでのアルバイトで恐怖体験をする大学生3人」


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