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「怖いもの」を聞く

 懐かシリーズ⑤

私は最近人に会って話をする機会が以前よりも多くなり、その人がどんな人なのか知りたいなと思うようになりました。そこで、聞けそうだったらその人の「この世で一番怖いもの」を聞いてみます。正解がない質問なのでお化けとか、お金とか、死とか人によって色々あると思います。その怖いものを知ることで、その人の生きている環境(背景)や考え方を感じとることができると思うのです。

 なぜ「怖いもの」を聞くことがその人のことを知ることだと思うようになったのかというと、今年10月に教育実習で日本史を教えた時に知った白河上皇の言葉です。

白河上皇は院政を行いました。院政とは、天皇の位を息子、孫に譲り自分が上皇という新たな役職について天皇を操って政治を行うことです。いわば国のトップです。白河上皇の時代は院政の最盛期であり、そんな国のトップだった白河上皇にも怖いことが3つあり、それが日本史の資料集にも載っています。
それがこちら。

1.僧兵
2.賀茂川の水
3.賽の目(さいのめ)

僧兵とは武装した僧侶のことです。この時代の天皇、上皇は仏教を熱く信仰していました。僧兵は武装して神輿(みこし)や神木を持って京都に押し入り朝廷へ土地を要求しました。土地を多く持てば持つほど権力を持てるので土地は大切なものでした。天皇や上皇は僧兵に逆らうことは神に逆らうことだとし、その要求を強く拒否できず僧兵には白河上皇も手を焼きました。

賀茂川の水は京の都を流れる川でよく氾濫するので怖いものの一つに入っています。

賽の目とはすごろくの数字のことです。これは白河上皇でもどうにもできません。

白河上皇はこの僧兵、賀茂川の水、賽の目以外この世に怖いものがないというのです。僧兵は別として鴨川の水は自然災害なので当時はどうしようもないし、賽の目はもはや運ゲーです。この3つしか怖いものがないということは、それほど富と財があり3つ以外は自分の好きなようにできる世界だったということです。すごすぎます。

(ちなみに僧兵が武装して都に押し入って来るので都の治安が悪くなりました。そこで上皇の住まいを守る北面の武士というものが誕生します。これはのちに源氏・平氏などの武士になります。この時は護衛なんですね)

このように、「怖いもの」というのはその時の自分自身の考えや置かれている世界がどんなものであるかを知る良い手がかりとなるはずです。だからと言って唐突に聞くと変に思われますので、哲学的な話で盛り上がったときやそいういう雰囲気になった時に気になる人に聞いてみるといいと思います。

そして、私が聞いた人はこう答えています。

その人の怖いものは生活水準が下がることだと言っていました。また別な人は親友に裏切られることと言っていました。

そこで怖いものの正体に気づきます。怖いものとは自分が大切にしているものということです。生活水準が下がるのが怖いということは今のこの生活が最大限幸せで大切に思っている、失いたくないと思っているという気持ちが大きなウエイトを占めているからそれを失うことで自分が不幸せになるのではないかと怖くなります。親友に裏切られるのが怖いということは親友との関係、存在が自分の人生にとって大きなウエイトを占めているということ。なので親友との関係性が良くない人生は幸せではないと感じているのかなと思いました。

「怖いもの」を知ることは自分が大切に思っているものへの気づきになると思いました。

私自身の怖いものについては後々書いていこうかなと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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